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October 10, 2013

売れる店を創る(2)『モノを買う顧客の行動』 j-fashion journal(66)

1.店を知る
 売れないと嘆く前に、顧客はどうやってモノを買うのか考えてみましょう。売れる店を創るには、まず、顧客を知ることから始まります。
 店で売上が上がるには、まず、顧客が店を知らなければなりません。いつも、通っている道に店ができれば、「あ、新しい店だ」と気づくでしょう。しかし、いつも通らない裏路地に店ができても気づきません。
この気づかない顧客に、どうすれば店を知ってもらえるかが第一ステップです。一般的な手法は、新聞の折り込み広告、あるいは、投げ込みチラシ。あるいは、人通りの多い通りでビラやフライヤーを配る。
 古典的な手法ですが、意外に有効なのが、アルバイトのモデルにショップ袋を持って、賑やかなスポットを歩いてもらうこと。生活用品なら主婦がいいかもしれないし、スイーツなら女子高生に頼むのも良いかもしれません。
江戸時代、三越の前身である越後屋は雨の日に「越後屋」と大書した番傘を配ったと言います。それで、江戸中が越後屋の傘で埋まった。とても有効なPRですね。

 最近、様々な広告手法が出てきます。若い女性の太股に店名やブランド名をプリントして歩いてもらうとか、ウェディングドレスの女性にビラを配ってもらったり。
 昔は、ちんどん屋がいました。白塗りで日本髪の女性や時代劇の衣装を着た人が店名などを身につけて、楽器を演奏しながら街を歩くという手法です。いずれにしても、目新しい手法を取り入れれば、テレビや雑誌で取り上げてくれるかもしれません。
 デジタル媒体も有効でしょう。店を企画、準備している段階から、ツイッターやfacebookで情報発信を続け、フォロアーや友達が多数いれば、店のオープンには行列ができるかもしれません。もちろん、WEB、ブログ等を組み合わせることが大切です。
 古い方法ですが、DMや電話による集客、FAX、電子メールによる集客も効果的でしょう。どんな手段を選ぶかは、どんな顧客を設定しているかによりますね。店の顧客にあったメディア、手法を考えて情報発信しましょう。それで、店を知ってもらうのです。

2.興味を持ち、店まで来る
 店の存在を知ったからといって、店まで来てくれるわけではありません。顧客が、その店に興味を持てば、どんな店なのか見に来るでしょう。
 最初に考えることは、「どうやって興味を持ってもらえるか」です。というより、興味を持ってもらえる店を創るという発想が必要です。
 例えば、普通の酒屋さんができても興味を引きませんが、全国の純米酒だけを集めましたといえば、私のような純米酒好きは、銘柄をチェックしに行くでしょう。婦人服専門店では興味がなくても、カワイイ服の大型サイズだけを集めました、といえば興味を引かれる人が出てきます。
 ありふれた店、行かなくても想像ができる店に人は行きません。現在の日本なら、どんな街も店は飽和状態です。新しくできる店が、今までと同じような店では固定客を持っている店に勝てるはずがありません。新たに作る店は、新しいことを期待されています。しかも、簡単な言葉で表現できることが大切です。そうでなければ、口コミ等で伝わりにくい。分かりやすい新しさ。説明を聞いただけで、新鮮なイメージを与えることが必要です。

3. 店の様子を見る
 何とか新しいコンセプトを考え、新鮮なお店があることを、顧客に伝えることに成功したと仮定しましょう。そして、顧客は店の前まで来ました。
 顧客は、店の前で立って、店を見ています。しかし、店に入らずに、帰ってしまいました。こうなったら、二度と来ない可能性大です。
 顧客は店の様子を見ても、見るべきものがないと判断したのです。この時、顧客は何を見たのでしょう。
 第一に想像できるのとは、どこにでもあるありふれた店であること。店内の様子は、店の前からも見えます。店内を見ても興味のある商品がなかったのでしょう。特別に、新しい店で買わなくても、以前からある店で用が足りるなら、入る必要はありません。
 第二に、販売員の印象が悪いことも考えられます。話しかけられたら嫌だな、と思うような販売員が立っていれば、私だってそのまま帰ります。
 第三に考えられるのは汚い店です。物理的に汚いのは論外ですが、視覚的に汚い場合もあります。商品の整理整頓ができていない。どこにどんな商品があるのか、全く想像できない。販売員に聞かないと、何の店かもわからない店。それでも、何か面白そうなものがあれば、入るかもしれません。でも、それもなかったということですね。
 第四は、顧客と店の趣味が合わないこと。大型サイズのカワイイ服というから来たのに、顧客が期待していたかわいさではなかった。あまりにも子供っぼかった。あるいは、セクシー過ぎた。いずれにせよ、趣味が合わなかったということです。
 仮に、商品でなくても、何かしら興味を引くものがあれば、顧客は店に入ってきます。例えば、天井でも壁でも、床でもいい。家具でも照明器具でも、壁に飾られている絵画ででもいい。どんなものでも、興味を引くものがあれば、顧客を店に入れる可能性があります。そして、顧客が店に入らない限り、商品が売れることはあり得ません。

4.店に入る
 まず、初めての店に入る時は、店を観察しますね。どんな店なのか。店の人はどんな人なのか。自分と店は相性がいいのか、悪いのか。店がターゲットとしている顧客像が、自分と全く違うのが分かれば逃げ出します。
 それから商品をチェックする。この段階では、具体的に商品を探しているのではなく、どんなものがあるのかを見ている段階です。この段階で、うるさく付きまとわれると逃げ出したくなります。顧客の心理は繊細なのです。
 最近、何がなんでも大きな声を出せばいい、と教えている店が多いような気がします。「いらっしゃいませ」はまだ良いのですが、こちらが商品を見ているのに、人の目の前で「ゆっくりご覧下さいませ」と叫ぶのは理解できません。内心『うるさいな、商品を見ているのに』と思うことも少なくないし、うるさくて店を出たこともあります。
 また、商品説明も分かっていることを、説明されるのがうるさく感じることもあります。「お、きれいな色じゃん」と思って、「この素材なんだろう」と考えている時に、「きれいな色のジャケットでしょう」と言われると、『うるさいな、色は見ればわかるよ』と思います。思考を妨げられるのでイライラしたりする。
 それでいて、「サイズはあるの」と聞くと、「うちのサイズは大きめなんです」という返事。でも、どう見ても私には小さい。質問には答えずに、いい加減な対応をする。こういう対応をされると、即刻店から逃げ出します。
 例えば、いきなり商品の話ではなく、店のデザインや家具、ポスター等について説明してくれるといいな、と思います。あるいは、会社の話とかですね。押しつけがましくなく、知っていることを軽く教えるという感じで。「あ、お邪魔しました。ゆっくりご覧下さい」と遠ざかる。その人がセンスの良い着こなしをしていれば、好感度が上がります。
 なぜ、みんな商品のことばかり話そうとするのでしょうか。そうではなく、顧客とコミュニケーションを図るという態度が望ましいのに。
 商品と言うより、店に良い印象を持てば、また出掛けて行きたくなる。でも、商品の話ばかりでは行く気は失せます。

5.商品を探す
 店の様子を観察して、何となく自分と相性が良い店だな、と感じる。そして、いくつかの商品に目が止まる。それから初めて、商品を探すことになります。顧客側に、店のイメージができあがり、「この店なら、こんな商品が置いてあるのではないか」と予測します。それで探すことになる。
 もし、自分と合わない店だと感じていれば、商品は探しません。また、ピンと来る商品が見つからなければ、やはり商品を探すことはありません。
 商品を探すという行為は、購買につながるものです。そのタイミングで、販売員にアプローチして欲しい。
 しかし、先程までしつこく話しかけて、無駄なことばかり言っていた販売員なのに、こちらが質問しようと見回しても見当たらないことがあるんです。最悪の場合、販売員同士がおしゃべりしていて、こちらに気がつかない。ここでアウトです。
 自分のタイミングで接客するのではなく、顧客のタイミングに合わせて欲しい。プロの販売員は、このあたりの呼吸が憎いほど巧みです。必要な時以外は話しかけないし、顧客がアドバイスを必要としている時を見逃さない。常に、顧客に喜んでもらおうという意識が伝わってきます。

6.商品説明を受ける
 多くの販売員は、必要な商品知識を持っていません。商品やラベルを見れば分かることばかりを話しかけます。「これ色がきれいでしょう」「これは麻なんです」「ポケットが少し変わったデザインです」。そんなものは見れば分かります。
 色を説明するのなら、「今シーズンのトレンドはきれいめな色です。だから、定番のブルーも去年より少しだけ鮮やかになっています」「このブランドの今シーズンのテーマは、南仏のリゾートなので、明るい海のブルーをつけているんです」と言って欲しい。そうすれば、そこから会話が始まります。
 駄目な接客コメントは心がない。情報もない。口先だけです。当然、会話する気になりません。
 麻でも、「この生地は同じ麻でもベルギーリネンです。一般は中国製の麻が多いんです。しかも、少し縒りの強い糸を使っているので、シャリ感が強いでしょう。シャリ感って変な言葉ですけど、業界では使われるんです」と言ってくれると、他の人にも蘊蓄を語りたくなります。
 デザインについても「このジャケットは普通のものより袖が機能的に作られているので、腕が上げやすい。試着するだけ、着てみませんか」と言って欲しい。
 こういうことは、企画やデザイナーに聞かなければ分かりません。でも、そういう情報を仕入れて、接客に活かすのがプロの販売員だと思います。
 欧米のブランド企業は、展示会の時に販売員を集めて、徹底的に商品説明をします。企画の背景、テーマ、素材の特徴、デザインの特徴、手入れの方法等ですね。そういう情報が頭に入っているから、高度な接客ができる。日本のアパレルや小売店は、販売員に売上のノルマを押しつける割りには、こうした接客に必要な商品知識等を十分に教えていませんね。それで売れと言われても、売れるはずがありません。

7.試着する
 さて、商品を探して、販売員に説明を受けて、試着へと進みます。商品が売れるまでもう一歩ですね。
 私があきれ果てるのは、洋服が体にあっているかどうか判断できない販売員が多いこと。完全に「寸法が足りない」というシワが出ているのに、「サイズはぴったりですね」とか、「ジャケットは前を開けて着こなしていただければ」などと言う。嘘をついているという意識もないのでしょう。判断がつかないんですね。
 プロの販売員が少ないと、第三者の客観的な評価を得られません。単なるお世辞では参考にならない。自分で判断するしかないんです。
 これをサービスが悪いと思うか、顧客の方が過剰サービスを求めているか、は微妙なところです。低価格の商品でそんなに高度な接客を期待する方が悪いのかもしれません。私も基本的に自分で試着して、自分で鏡を見て判断します。
 試着で最も重要なのは、サイズと着心地ですね。サイズにはお直しも入っています。
次に重要なことは、自分の感覚やセンスでは判断がつかない場合です。最後の一押しを販売員にお願いしたい時があります。と言っても、お世辞が欲しいのではない。客観的な判断が欲しいんです。
 その場凌ぎの言葉で商品を買ったとしても、実際に着用して周囲の評判が悪かったり、自分で納得できなければ恨みが残ります。自分では迷っていて、アドバイスを受けて、購入した服を着てみたら、意外と似合う。「自分の幅が広がったな」と感じられれば、信頼関係につながります。次も、あの店で買おうかな、と思いますね。それぐらい、販売員の最後の一押しは大切なのです。
 最も大切なのは、誠実であることです。商品を売るための接客をするのではなく、顧客に満足感を与えるための接客をする。そして、信頼感を構築することが将来の売上につながります。

8.購入する
 さて、顧客は商品を気に入って、お買い上げになりました。顧客は軽く興奮しているはずです。そして、販売員の手元を見ています。商品をどのように畳むのか。どのように袋に入れるのか。その時の動きが熟練していると、それだけで楽しくなります。一部の隙もない無駄のない動き。それは、お金を支払い、お釣りを渡し、商品を手渡すまで続きます。
 商品を販売員に渡して、お金を支払って、商品を受け取るまでの時短、顧客は暇です。やることがありません。漠然とレジの前に立っています。ですから、レジの周りを見ます。店舗内のディスプレイやショーイングに力を入れている店も、レジ周りに気を使っていない店は意外に多いのです。統一したショップデザインの店なのに、レジの足元に、キャラクターのついたゴミ箱などが置いてあると、興ざめです。また、販売員のローテーション表などが顧客に見えるように貼ってあるのも考えものです。顧客には関係ないし、見たくもありません。
 顧客にとって、買物という行為のエンディングが支払いなのです。そこで、ショップイメージを崩すことのないようにしたいものです。

9.家に帰って商品を見る
 顧客が商品を購入しても、店の仕事は終わりません。その商品に満足してもらって、次の来店につなげるまでが仕事です。あるいは、固定客になっていただくまでが仕事です。
 顧客は家に帰ってショップ袋から商品を出して見るはずです。そして、下げ札等を取り外して、クローゼット、タンスに収納するでしょう。
 家に帰って、改めて商品を見る時の第一印象が大切です。通販なら、ダンボール箱を開けた瞬間ですね。そこに驚きはあるでしょうか。店からの何らかのメッセージはあるでしょうか。
 時計や電気製品なら保証書があります。デジタル商品、情報機器ならユーザー登録の申し込みのお知らせがついているかもしれません。私はアパレル商品にも保証書やユーザー登録があるべきと考えています。それによって、メーカーは顧客とつながれるのです。
 プラスチック商品などで腹が立つのは、会社名、ブランド名、商品名等が書いてあるシールが貼ってあり、それがきれいに剥がせない時です。あれは本当に生産者発想ですね。顧客にとっては何の意味もありません。

10.商品を使う
 顧客が実際に商品を使用して、初めてそれは商品になります。変な言い方ですが、店に並んでいるのは、顧客にとっては情報に過ぎません。視覚的な情報が並んでいるのです。しかし、自分の所有物として持ち帰り、それを使用することで、物理的な商品になるのです。その商品を着用すると、商品は顧客のアイデンティティの一部になります。着用した時に、顧客はどんな気持ちになるでしょう。また、周囲の人たちはどんな反応を示すでしょう。そして、その反応に対して、顧客はどのように感じるでしょう。
 商品を使用すると、今度は洗濯しなければなりません。洗濯して、縮んだり、色が落ちたら、それまで満足していたとしても、その満足感は崩れます。商品を気に入れば気に入るほど、裏切られた気持ちになるかもしれません。
 商品の品質は、顧客をリピーター顧客にするのに非常に重要な要素です。一度限りの買物ならば、売ってしまえば終わりです。しかし、リピーター顧客にしたいと思うなら、購入後、使用して満足させなければなりません。しかも、何度か着用し、何度か洗濯して、本当の評価が下されるのです。

11.顧客の行動を確認しよう
 ここまで、顧客がどのように商品を購入するかを、顧客の視点から段階的に見てきました。売れない店とは、商品だけが原因でないことが分かっていただけたでしょうか。また、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)だけを改善しても売上は伸びないことが分かっていただけたでしょうか。接客も重要ですが、接客だけで商品が売れるわけではありません。
 それぞれの段階で、それぞれの要素が複合的に機能しない限り、顧客は簡単に買物を中止します。回れ右をして帰ってしまいます。顧客が心変わりをするのは実に簡単なことです。
 店がイメージを変えるのは簡単ではありません。イメージを悪くするのは簡単ですが、より良いイメージを作り上げることは非常に大きな努力が必要です。

*有料メルマガj-fashion journal(66)を紹介しています。本論文は、2013.3.4に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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