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October 11, 2013

クールなジャパンの元素 j-fashion journal(68)

1.祖先崇拝と産土神、氏神
 西欧と日本の最も大きな違いは、宗教だと思います。一神教のキリスト教、イスラム教、ユダヤ教に対して、日本は「八百万(やおよろず)の神」というように多神教です。
 一神教と多神教の違いは、神と人間の関係にもあります。キリスト教の神は、この世の万物の創造主です。そして、人間は神の姿に似せて創られたそうです。だから、人間の身体は美しい。動物の中で人間はずば抜けている。それで、神と契約したりする。
 日本の信仰の基本は祖先崇拝だと思います。これは農業と関係しているのではないか。収穫した穀物の一部を種籾として残し、それが次の年の命のもとになる。命の連鎖ですね。
 農業は土作りですから、自分のにけ親や祖父の代からの積み重ねが今の土になっている。人間も命の連鎖なんです。祖先崇拝は非常に自然なことですね。
 祖先崇拝の次に、生活している土地にも神様を感じる。土地の神様かいるから、その土地が肥えるし、そこから収穫できる。土地の守り神が産土神(うぶすなかみ」です。自分の一族を祖先から継続して守ってくれる守り神が氏神(うじがみ)です。
 産土神、氏神を鎮守(ちんじゅ)と呼ぶこともあります。鎮守の杜ですね。

2.荒ぶる神と怨霊封じ
 日本人にとって神とは、契約するような関係ではありません。絶対的な存在であり、人間は一方的に奉仕するしかない。
 宮崎駿のアニメ「千と千尋の神隠し」は、日本人の信仰を良く表していると思います。「油屋」に集まるのが八百万の神で、人々は彼らを精一杯もてなす。
 農耕民であった日本人にとって、干ばつ、台風、地震、津波などの大規模な自然災害は神の仕業と考えたのでしょう。神様にはご馳走を振る舞って、精一杯もてなして、満足して帰ってもらうしかない。それが日本人と神との関係です。とても、契約とか約束などができる相手ではない。超越した存在です。
 人間に災いをもたらす存在は、西欧では悪魔と呼ばれるかもしれませんが、日本では、それも神です。荒ぶる神、荒神です。
 古事記や日本書紀に出てくる素盞鳴(スサノオ)も大暴れします。素盞鳴は、御殿の中で神聖な衣を織っているところに、馬の皮を剥いだものを投げ込みます。きころに、旗やでお機屋で神聖な衣を織っていると、素戔嗚尊が天斑駒の皮を逆さに剥ぎ御殿の中に投げ入れた。「稚日女尊は驚きて機墮ち所持せる梭によりて体を傷め神退(かむざ)りき」となります。
 日本の神話に出て来る神様は、高天原から天降った天津神(あまつかみ)と、地に現れた国津神(くにつかみ)に分けられます。天津神をヤマト王朝、国津神を土着の豪族と考えると分かりやすい。国津神の代表が、素盞鳴、大国主です。出雲大社は大国主が祭神であり、大国主の怨霊封じとして創られたのではないか、という説があります。
 怨霊封じとは、支配者が滅ぼした者が怨霊となって祟るのを防ぐことで、そのために創建された神社や寺は少なくありません。有名なのは、菅原道真を祭った天満宮、天神さまです。菅原道真は太宰府に左遷され恨みの中で死んだ。その怨霊を封じるために創建されたのが天満宮です。
 どの国の歴史も、支配者が自分の敵を殺しますが、その敵の祟りを恐れて、怨霊封じを行うというのは、実に日本的だと思います。敵でも死んでしまえば、全て神様、仏様になる。そして、超越した存在になると信じられていました。
 
3.古墳と神社、合祀
 古墳は豪族の墓であるというのが定説です。そして、神社が創られるようになった時代と、古墳が消える時代はほぼ同時期です。古墳の代替えとして神社が生まれたのなら、古墳は単なる墓ではなく、何らかの宗教的な祭祀の場だったのかもしれません。
 古墳から神社に移行する時に、「古墳神社」があったと民間の研究者に聞いたことがあります。古墳の丘を削り、そこに鳥居を立てて、神社にしたというんです。
 神社の祭神は時代と共に変わります。例えば、ヤマト王朝が、旧来の豪族を滅ぼします。滅ぼした豪族の氏神さまの神社に、自分たちの神様を合祀(ごうし)して並べるんですね。ここに日本の特徴があります。中国などでは、新しい支配者が古い支配者を滅ぼすと、その痕跡さえ残しません。全て抹殺してしまう。これは、恨みを残さないということでしょうし、安定のための方法なのでしょう。
 しかし、日本では祖先崇拝、継承の文化があり、怨霊の祟りがある。だから、合祀という形で、ゆるやかに新しい神様を祭っていく。そういう支配の方法です。

4.言霊と和歌
 再び、「千と千尋の神隠し」の話。千尋は、油屋で働くときに、湯婆婆に名前を奪われ、「千」という名前を与えられます。そして、ハクも本当の名前を奪われ支配される。最後には、「ニギハヤミコハクヌシ」というコハク川の神様の名前を思い出して、支配から自由になります。
 これは言霊の典型的な例です。自分の本当の名前を知られると、呪(しゅ)をかけられてしまう。だから、昔の日本では、大人になるまで本当の名前を使わないという習慣もあったようです。
 元々、言葉の始まりは、人間同士の会話ではなく、神への呼びかけに使った、という説もあります。ですから、全ての言葉や音には意味がある。言霊とは、それが現実世界に作用するという考え方です。
 和歌にも言霊こ考え方が浸透しています。高校の古文で習う和歌は、呪術的な解釈は全て割愛されており、本当の意味が分からなくなっています。本歌取りというのも、単にコピーしたのではありません。その中に、政治的メッセージや呪が込められています。掛詞も単純な遊びではなく、全て意味があります。(興味のある人は、
 講談社文庫「QED百人一首の呪(高田祟史)」をどうぞ)
 掛詞の伝統が、江戸時代の戯れ言葉につながり、それが親父ギャグにつながっているのかもしれません。

5.密教とキリスト教
 日本に密教を伝えたのは、最澄と空海です。特に、空海は一介の修行僧として入唐し、中国密教の正式な後継者となって帰国しました。
 当時の唐では、既に仏教はピークを過ぎており、道教、明教(マニ教)、祆教(ゾロアスター教)、景教(古代キリスト教ネストリウス派)、回教(イスラム教)等の様々な宗教が存在していました。
 密教、あるいは空海もその影響を色濃く受けています。密教を象徴する曼荼羅にも、元々仏教ではないヒンドゥー教などの神も数多く描かれています。
 私が想像するに、当時の密教は、当時の日本人にとって、キラキラと輝く最先端トレンドだったのでしょう。空海は密教と共に、様々な文化や技術を輸入しました。
 そのうちの一つが景教のキリスト教的思想であり、密教にも景教の影響があると言われています。
 聖武天皇の后、光明皇后には、ライ病患者の膿を吸って吐き出したという説話が残されているが、そこにはキリスト教的な思想を見ることができます。
 また、空海は、山岳信仰や稲荷信仰も密教に習合したと言われています。日本の八百万信仰は密教によって高い次元に昇華したとは言えないでしょうか。

6.稲作とムラ社会
 日本に水稲栽培が定着したのは、弥生時代です。私は集団的な水稲栽培がムラ社会を生み出し、ムラ社会が日本独特の和を重んじる文化のスタートになったと考えています。
 現代社会の経済の基本は、資本主義、市場主義。簡単に言うと弱肉強食の社会です。また、民主主義、市民主義の基本は個人主義です。日本は民主主義国家で、資本主義社会とされているが、どうも西欧社会とは異質な部分が多いように感じます。
 私は、日本社会のダブルスタンダードが不思議でした。建前では民主主義、資本主義でありながら、組織の行動原理は集団主義。世間の常識は市場原理というより談合主義であったりします。競争で相手を蹴落とすよりも、共存共栄を重視するのです。
 明治以降、日本は脱亜入欧を目指してきました。積極的に西欧の文化を輸入し、それを学ぼうとした。第二次世界大戦後は、アメリカ的な合理主義と民主主義を学びました。
 しかし、前述したように、日本が異文化を導入するときには、合祀してしまいます。古い神様を追放するのではなく、古い神様の隣に新しい神様を祭る。
 つまり、建前の法律は西欧流になっているものの、社会の基本的構造は集団的出納栽培を基本としたムラ社会のままなのです。
 グローバル経済は、狩猟民族の発想です。その中で、農耕民族的な発想を持ち込み、競争に打ち勝つのは非常に困難です。ムラ社会では競争そのものを嫌います。基本的に共存共栄であり、相手の気持ちを考えます。自己犠牲しても集団の利益を考えるのです。
 これがクールでもあり、不思議な国日本というイメージにもつながっていると思います。


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