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October 10, 2013

春日部流通戦争 j-fashion journal(67)

1.イオンとIYのシニア戦争
 3月5日、イオンモール春日部がグランドオープン。これまで春日部は地味な街だった。有名なのは「クレヨンしんちゃん」だけ。隣の越谷市には日本最大のSCモール、イオンレイクタウンがあり、新三郷にはららぽーとイケアがある。
 ある意味、春日部はショッピングの空白地帯だった。唯一目立つのは、イトーヨーカ堂のロビンソン百貨店があるくらい。そのロビンソン百貨店も3月1日に西武春日部に看板を掛け替えた。
 この二つの商業施設は、どちらもシニア層をメインターゲットに設定し、これまでの店づくりからシニアシフトへと転換している。春日部という地味な街が、イオン、IYの二大流通グループの戦略的拠点となっている。
 

2.シニアシフト強めるイオンモール春日部
 イオンは、シニアシフトを積極的に推進している。2012年4月13~15日には、東京国際フォーラムにて、グランドジェネレーションコレクションを開催した。
 それ以降もリアル店舗においてもシニアシフトを強めてきた。イオンモール春日部は、その一つの重要なマイルストーンといえるかもしれない。
 モール全体の色彩デザインも落ち着いた環境となり、高級感を演出している。
 イオンの食料品売り場は、生鮮食品売り場を縮小し、冷凍食品、惣菜、弁当売り場を拡大している。子供が独立し、シニアの夫婦二人住まいになると食事の量も減ってくる。育ち盛りの子供がいれば、家で調理しないと食費がかさむ。しかし、量が少なければ、惣菜や冷凍食品で間に合わせた方が合理的だ。
 また、年齢を重ねるにつれ、家事の負担も大きくなる。自分の趣味には、お金も時間も使うが、日常的な家事はできるだけ省力化したい。実際に生鮮食品の売上は減少傾向にある。
 ホームファッションの売り場も変化が見られる。什器に高さ制限を加え、売り場の見通しが良くなっている。通路を広く取り、VP(ビジュアルプレゼンテーション)のステージを設け、商品にきちっと照明を当て、高級感を演出している。全体的に地方百貨店に近いイメージとなっている。商品も天然素材を増やし、シニアの嗜好に合わせようという意志が感じられる。
 
3.百貨店MDを拡大する西武春日部
 ロビンソンから西武に変わることにより、より本格的な百貨店になった。開店当時からロビンソン百貨店には、どことなく量販店の雰囲気が漂っていた。それが払拭された。
 しかし、旧来通りの百貨店MDでは売上を確保できないだろう。西武春日部は明確にシニアにターゲットを絞っている。
 それが色濃く感じられるのが子供服売り場である。明らかに孫ニーズに対応しており、高級品を、ブランド商品をしっかりと展開している。
 西武春日部地階の食品館は、イオンモールと異なりしっかりと生鮮食品を展開している。しかも、食品スーパーと異なり、高級生鮮食品だけが並んでいる。
 家事としての調理はしたくないが、趣味としての料理はしたいというシニアは少なくない。シニア層のライフスタイルは画一的ではなく多様だ。その両端のニーズをイオンと西武は分け合っている。
 西武春日部の婦人服も、旧来の百貨店MDから脱したいという意志が感じられる。一つは、量販アパレルのクロスプラスが企画生産しているプライベートブランド「LIMITED EDITION(リミテッド エディション)」である。1階には、「LIMITED EDITION by ATSURO TAYAMA(リミテッド エディション by アツロウ タヤマ)」と「LIMITED EDITION by JUNKO SHIMADA(リミテッド エディション by ジュンコ シマダ)」が並んで展開されている。
 また、専門店アパレルであるセンソユニコの個性的なブランドも積極的に展開している。
 これにより、既存の百貨店MDに量販アパレルによるリーズナブルなラインと、専門店が展開する個性的なラインの双方を加えたことになる。
 
4.SCモール、百貨店、SPA、通販の競合は続く
 春日部というマイナーな街にまで、SCモールと百貨店ができたということは、今後も日本全国で同様の開発が行われることが予測できる。しかし、日本市場全体は人口も減少しており、縮小傾向にあるのは間違いない。
 その中で、成長しているのは、グローバル展開をしているSPAである。SPAの特徴は、小売店でありながら問屋を経由せずに、海外のメーカーからダイレクトに商品調達していることだ。
 量販店はPB比率を高めており、最終的にはSPAを目指しているように見える。しかし、量販店はあくまで小売企業であり、社内に企画開発部門が確立していないし、専門の人材の層も薄い。
 一方、百貨店は相変わらず問屋に依存している。今後は、テナントビル路線とセレクトショップ路線に分化していくだろう。
 その中で、インターネット通販がジワジワと成長している。ナショナルブランド商品なら、店頭で説明を受けて、ネットで最も安い商品を購入することができる。そのため、家電量販店は存続の危機を迎えている。
 それを防ぐには、PB商品、あるいは、その店だけで展開するエクスクルーシブ商品に取り組まなければならない。
 市場全体を俯瞰すると、「イオン」「セブン&アイ」のどちらも完全な主役になるようには見えない。しかし、その序盤戦が春日部で行われているのは確かだ。

*有料メルマガj-fashion journal(67)を紹介しています。本論文は、2013.3.11に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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