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July 05, 2013

ファッションビジネスを取り戻せ! j-fashion journal(58)

1.百貨店よ、「日本のプライド」を販売しよう!
 百貨店の低迷が止まらない。長年、百貨店低迷の原因は「委託仕入れ+派遣販売員」にあると言われてきた。しかし、未だにその課題を打破することはできない。
 一方で、好立地を生かしたJRの駅ビルが好調である。高級な商品を扱うセレクトショップを導入することにより、百貨店以上のグレードを実現している。
 また、大型専門店が直接中国メーカーから商品調達を行い、高い粗利と競争力を確保している。
 百貨店はプロパティマネジメントを重視したテナントビルとして生きていくのか、小売店として生きていくのか、という選択をしなければならない。テナントビルへの道は、リストラが必須である。小売店として生きていく場合でも、新たな人材獲得が必要になるだろう。
 いずれにせよ、根本的な改革をしない限り、更なる淘汰が進むに違いない。最終的には、黒字店舗だけが残るのだろう。そうなれば、最早チェーン店ではなく、個店として生きていくことになる。そして、ネットとどう連携するか、が重要なポイントとなるはずだ。
 日本のファッションビジネスを取り戻すには、百貨店の復権が必要だ。百貨店が何年間も何の手も打たないことが、業界全体に悪影響を及ぼしている。勿論、改革には痛みが伴うだろう。そして、何十年も決断ができなかった企業、経営者が突然、決断することもないのかもしれない。それを分かっていても、改革を期待したいのだ。

2.量販店から質販店に転換しよう!
 生活者は、量販店に並んでいる商品を生活の基準にしている。量販店にその意志はないのかもしれないが、結果的に商店街は大型店に淘汰され、生活者の選択肢は狭まっている。その量販店が価格訴求ばかりで、つまらない商品を販売しているのでは、日本人の生活レベルも上がらないのだ。
 量販店も百貨店同様に低迷しているが、百貨店よりは可能性を感じる。第一に店舗数が多く、第二にPB比率が高いからだ。小売店として存在する条件は揃っているのだ。
 しかし、量販店が製造小売業になることは難しいだろう。もし、本格的な製造小売業を目指すのであれば、これまでの量販店MDを抜本的に改革し、専門店の集積のような業態に変える必要があるだろう。ある意味では、文字通りのデパートメントストアとも言える。
 量販店という業態は、大量生産された商品を大量販売するために考えられた。つまり、標準化と多店舗化が基本になっている。
 しかし、生産システムも変化している。コンピュータを活用することにより、多品種生産が可能になった。市場環境も大きく変化している。
 今後は、中国や東南アジアで調達した大量生産商品と、多品種生産された商品の双方を販売することになるのではないだろうか。前者はこれまで通り、セルフ販売でも良いかもしれないが、後者は売り方も変えるべきだ。
 特に、量販店の中心顧客が団塊リタイア世代になろうとしている状況を考えると、これまで通りの量販店MDでは顧客を満足させることはできないだろう。量を売るのではなく、質を売るという発想が求められるはずだ。

3.ファッション流通もアマゾンが軸になる
 今年の流通業界の最大の話題はアマゾンの躍進になるのではないか。特に、ナショナルブランドを中心に展開している家電量販店は、アマゾン等のインターネット通販と生き残りをかけた戦いになるに違いない。
 SPA(製造小売業)という業態は、小売店が直接メーカーから仕入れることで、高い粗利を確保した。インターネット通販は、更に小売店の経費を大幅に減少させる。大量の店頭在庫の負担を減らし、倉庫と消費者を直結することで価格競争力を獲得しているのだ。これからの競争に打ち勝つには、システムと物流が鍵を握ることになる。その投資ができる流通企業だけが生き残っていく。
 全ての小売店は、いかに消費者を店頭に誘因するかが問われる。店舗は商品を陳列するだけでなく、エンターテイメント性やイベント性が求められる。そして、店頭と消費者をつなぐメディアが重要になる。
 メディアは、WEBやブログだけでなく、SNSも含まれる。また、電子書籍も有力な武器になるかもしれない。今後の小売店の戦略は、商品戦略だけでなく、メディア戦略がより重要な意味を持つ。
 つまり、情報システム、物流システムに加え、メディア戦略、イベント戦略、顧客とのコミュニケーション戦略が小売店流通に求められるのである。そういう意味では、革新的な小売業が出現する可能性は非常に高い。私もそれについて、考えていきたいと思う。

4.新しいビジネスモデルをデザインしよう!
 ファッションビジネスを取り戻すためには、デザイナーの育成が欠かせない。最近、日本人デザイナーが小粒になったとも言われる。それは、コレクションを開いて、高い評価を得たとしても、ビジネスとして飛躍できないせいだろう。
 おそらく、業界人は80年代のDCブランドブームが記憶にあるに違いない。あの頃は、小さなデザイナーアパレルやマンションメーカーが急激な成長を遂げた。「なぜ、今のデザイナーは成長できないのか」と思うのだ。
 DCブランドの成長は、そのデザイン性だけが原因ではない。直営店とFC展開という新しいビジネスモデルを確立したこと。その時期に、全国で駅ビルやファッションビル、地下街等の不動産開発が活発に行われていたことが相乗効果を上げたのである。
 現在のデザイナーは、既存のビジネスモデルの中で仕事をしているに過ぎない。どんなに才能のあるデザイナーも、それだけでビジネスが急成長するわけがないのだ。
 現代という時代の中で、デザイナーが成長するには、新しいビジネスモデルを創造しなければならない。
 新しいビジネスモデルのヒントは、インターネット、新しいメディアによる顧客とのコミュニケーション。そして、テキスタイルメーカー、縫製メーカーとの新しい取り組みによる新しい作り方。そして、ファッションショーや展示会に代わる新しいプロモーションと受注の方法等にあるのではないか。
 いずれにせよ、新しいビジネスモデルが創造された時に、新しい次元のデザイナーが生まれると思う。

5.新メーカー時代を創造しよう!
 価格は需要と供給のバランスで決定する。ビジネスもまた、需要と供給のバランスで決定する。日本のファッション市場は慢性的な供給過剰に陥っていた。そのため、メーカーより小売店の立場が強かったのである。
 現在のデフレ状況も、安価な中国生産商品の供給過剰に原因がある。「ファッションビジネスを取り戻せ」という、今回のテーマは、需給バランスの変化を実感してのことだ。
 現在のアパレル製品は、実用衣料に近い商品ばかりが世の中に溢れている。しかし、中国の人件費が上がり続けることで、需給バランスも変わりつつある。チャイナプラスワンということで、東南アジアが注目されているが、それは中国生産と同様の実用衣料的な製品を目指してのことだ。
 デザイン性の高い、あるいはアート性の高い服の需要が高まり、その生産能力が限定されているとすれば、必然的に価格は上がる。
 デザインやアートは簡単に真似ることができない。そして、生産現場にコンピュータが導入されることで、大量生産ではない一枚生産が可能になっている。最近、インダストリアルデザインの分野で、零細企業、個人企業が新製品を開発し、販売する事例が増えてきている。しかし、本来はファッション分野こそ、個人企業、零細企業がベンチャーを興すのに適しているはずなのだ。
 新しいテクノロジーやメディアは、新しいメーカーの時代を予感させる。しかし、メーカーの時代と言っても、既存のメーカーが成長するのではない。全く新しい切り口のメーカーが、その成長をリードすることになる。そして、新しいメーカーの条件は、優れたデザインであり、新しい生産システムであり、新しい素材であり、新しい販売システムである。そして、それらが統合した新しいビジネスモデルの創造が求められているのである。
 私は、2013年という年に新メーカーの可能性が見えて来るのではないか、と考えている。

*有料メルマガj-fashion journal(58)を紹介しています。本論文は、2013.1.7に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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