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July 05, 2013

FBコンサルタントは必要か? j-fashion journal(57)

1.2種類の仕事

 仕事には二種類ある。一つは、日々のルーティンワーク。もう一つは、特定の期間だけ必要になる開発型の仕事、創造的な仕事である。
 アパレル企業で言えば、既存ブランドの商品企画や営業活動は前者のルーティンワークである。ブランド開発、新業態開発等は、後者の特定の仕事と言える。 小売店では、日々の仕入れ、接客販売等がルーティンワークであり、新店オープンやリニューアルが開発型の業務と言える。
 経営的に言えば、日々の業務の改善がルーティンであり、経営の抜本的なリストラクチャリング(再構築)は後者の仕事だ。
 ルーティンワークとは、既存の仕事を着実に継続するだ。一つ一つ業務を確実にこなし、社内外の担当者との協調性が求められる。日々のスケジュール管理、タスク管理の能力が問われる。
 開発型の業務は、無から有を生み出す創造的な仕事である。しかし、ルーティンワークに落とし込んだ段階で仕事は終了する。そのため、プロジェクトチームを編成し、集中的に業務を行うことが多い。
 また、ルーティンワークと開発型業務は、求められる資質と、仕事の内容が全く異なる。ルーティンワークはゼネラリストでも可能だが、開発型業務は専門家、スペシャリストの専門的な知識、技能が必要なのだ。

 こう考えていくと、コンサルタントという職業は必要不可欠な職種と言ってもいいと思う。しかし、コンサルタントの仕事はあまりに多岐にわたり、同時に、高い専門性と総合的な知識等が求められる。スーパーマンでない限り、一人の人間だけで全ての問題を解決することはできない。従って、コンサルタントに業務を依頼したのに、十分な成果を上げることができないことも起こりうる。
 そのため、コンサルタントという職種を信用せずに、「コンサルという人種が大嫌い」という経営者も少なくないのである。
 この問題を解決するためには、コンサルタント自身がどんな仕事ができて、どんな仕事ができないか、という自分の専門性を正しく理解することである。そして、自分のできない分野については、潔くそれを認める。場合によっては、自ら仕事を引き受けないという選択も必要だ。あるいは、他の専門家を紹介するか、チームとして取り組むことも考えられる。しかし、予算の問題もあり、ベストメンバーで取り組めるプロジェクトはレアケースと言わざるを得ない。
 あるいは、何段階かに分けて業務を引き受けることだ。まず、3カ月~半年程度の期間で最低限の契約をして、現状の問題点を分析し、プレゼンテーションする。そこから、本格的な課題解決に取り組んでいく。
 あるいは、社員を対象にしたワークショップを開催し、人材育成と共に、会社の問題点を分析するという方法もある。企業にとっで、業務改革よりも人材育成プログラムの方が取り組み易いに違いない。

2.コンサルタントのキャリア形成

 コンサルタントは、易しい仕事を依頼されることはない。
 ほとんどの仕事は社員が行う。日本の企業は、どんな仕事も社員で行うのが基本である。社員に資質がなかろうと経験がなかろうと、辞令が出たら、その業務を担当しなければならない。
 その中で、外部に仕事を依頼しようと思うのは、社員ではできないほど、難しい仕事の場合である。多くの場合、企業にはベテラン社員もいる。一つ一つの既存業務に関しては、プロ中のプロという人達だ。しかし、そのプロにできないから業務だからこそ、外部のコンサルタントに依頼するのである。
 コンサルタントの中には、社員の上のポジションを得るために、必要以上に社員の欠点を上げたり、これまでの仕事を否定する人がいる。しかし、特定の企業の特定の業務については、社員の方が優れているのが当たり前であり、同じ土俵に立つようでは、コンサルタントとして機能しない。同じ分野のキャリアを積んできたとしても、社員とコンサルタントとは全く別の職種である。コンサルタントはそのことを正しく認識する必要がある。
 多くのコンサルタントは、企業内で経験を積み、特定の専門技能、専門知識を身につけてから独立する。
 業態開発、ブランド開発等の開発業務は、一般の社員にとっては、一生のうちに何度も経験しないだろう。経営再建プロジェクトなどは経験する人の方がはるかに少ない。
 しかし、コンサルタントは、そうしたレアケースのプロジェクトを連続して取り組むことになる。しかも、全く人間関係のない組織に単身で飛び込み、成果を上げなければならないのだ。それらの経験が、コンサルタントのキャリア形成につながるのである。

3.依頼内容と問題の本質のギャップ

 コンサルタントの仕事は、クライアントから特定の業務を依頼されることから始まる。しかし、多くのクライアントはコンサルタントに業務を依頼した経験かない。あるいは、何が問題なのか、どんなことを依頼したらいいのか、という分析ができていないことの方が多い。
 たとえば、「売れるブランドを開発する」という依頼があったとする。多くの場合、ブランドコンセプトも固まっていない。また、ブランド開発というプロジェクトの全貌がイメージできていない。どんな専門家が必要であり、何を決定していけばいいのか。社内の組織をどのように整備さればいいのか。そうした諸々のことが分かっていないのだ。
 では、それを教えればできるか、というとそうではない。まず、会社が持っている人材、取引先、販売先等を確認しなければならない。ブランド開発とはブランドを発表して終わりではない。その後のルーティンワークまで落としこまなければならない。そして、一流ブランドを開発するなら、一流の人材による一流のチームが必要である。どんな高望みをしても、チームの能力以上の成果は上がらない。勿論、外部のコンサルタントと契約したから、事業が成功するわけではない。
 コンサルタントにできることは、どんなスケジュールで何をするのかを明確にすること。そして、必要な人材を明確に設定すること。そして、組織、チームを構成する。場合によっては、そのチームのメンバーを教育しながら、レベルアップを図ることになる。
 会社の業務改革は、更に難しい。たとえば、「利益の上がるようにMDを改革する」という依頼があったとする。しかし、現場の意見を聞いてみると、「その原因が社長にある」ことも多い。しかし、社長に「辞めろ」と言うわけにはいかない。
 こうした場合は、短期的な成果を上げながら、長期的に社長を説得していくという二つの業務が発生する。短期的な成果を上げないと、コンサルタントはたちまち契約を打ち切られてしまう。また、社長の責任を追求しても、同様に契約を打ち切られるだろう。コンサルタントは社長に業務を依頼されているのであり、自分が契約したコンサルタントに批判されることを望む社長はいないのだ。
 と言って、社長の気に入るようにふるまうだけでは、コンサルタントとしての存在意義がない。それでは、社員と同じになってしまうのだ。
 私は「コンサルタントはプロフェッショナルでなければならない」と思っている。クライアントに対しても責任があるが、その仕事自体にも責任がある。会社は社長だけのものではない。社員の生活を支えており、顧客にも社会にも責任がある公的な存在でもあるのだ。
 この考え方を外部に公開する必要はない。しかし、コンサルタントは胸に刻んでおくべきだと思う。

4.コンサルタントの発想トレーニング
 
 コンサルタントを育成することはできるのか。あるいは、養成プログラムを構築することはできるのだろうか。
 率直に言って、「これさえやればコンサルタントになれる」というプログラムを作ることは不可能だろう。相談や依頼の内容はあまりにも多岐に渡り、求められる専門性があまりにも高いからだ。
 それでも、コンサルタントとしての発想をトレーニングすることは可能かもしれない。コンサルタントに求められるのは、問題を発見し、その原因を分析し、問題解決のための方策を提案し、その実行を支援することである。
 この一連の作業は、通常の分業の発想では不可能である。経営全体、更には、サプライチェーン全体を俯瞰しなければならない。
 それには、基礎的知識として、業界全体が抱える構造的問題、百貨店が、量販店が、専門店が、ネット通販が、アパレルが、テキスタイル企業が、縫製工場等が抱える問題を理解しておくことが大切だろう。
 その上で、個々の企業がどのような問題を抱えているかを分析し、論理的思考による解決方法を提示するのである。
 こうしたことを学校の授業のようなスタイルでトレーニングするのは、時間が掛かり過ぎる。学校の授業は、分業で行われる。必要な知識、情報、技能を細分化し、それぞれの先生が教える。こうしたスタイルでは、問題解決の全体像が見えない。
 コンサルティングの全体像を学ぶには、ケーススタディが最適だろう。具体的な企業を設定し、その問題を推測し、それを解決していくというワークショップである。可能ならば、提案をまとめ、対象となる企業にプレゼンしても良いだろう。
 ワークショップに参加することで、プロのコンサルタントがどのような発想をするのか、を垣間見ることができるはずだ。
 こうしたトレーニングは、実はコンサルタントではなくても有用である。問題発見~解決ワークショップになるからだ。
 また、プロのコンサルタントにとっても、自分以外の発想に触れることは仕事の範囲を拡大することにつながるだろう。冒頭に述べたように、本来、企業の問題解決には、各専門分野のコンサルタントがチームとなることが重要なのである。バーチャルなコンサルティングファームを組織し、常にケーススタディを行い、企業に提案していくことでコンサルタントのスキルはアップするに違いない。

*有料メルマガj-fashion journal(57)を紹介しています。本論文は、2012.12.31に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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