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July 05, 2013

中国のアパレルビジネスが変わる! j-fashion journal(56)

1.日本の大手アパレル、苦戦の原因

 今年のアパレル秋冬商戦は、全般に低調で中国アパレル企業も過剰在庫を抱えて苦しんでいる。そのため、早い時期からバーゲンセールを行っているが、慢性的なバーゲンセールにより、消費者の購買意欲も低下している。
 特に、日本アパレル企業、特に大手アパレル企業は厳しいようだ。日系百貨店のバイヤーは、「必要な時に商品を積み込まなければ売れるはずがない」と語っていた。
 中国の連休には、旧正月(春節、1~2月)と、清明節(4月)、労働節(5月)、端午節(6月)、中秋節(9月)、国慶節(10月)があるが、小売業にとって、最も大きな商戦は、春節前である。
 しかし、日本アパレル企業にとって、12月から1月という時期は、秋冬のバーゲンセールの末期である。秋冬の売れ残った最後の在庫を並べるか、売れなくても春物を紹介する時期だ。当然、店頭在庫は薄い。
 しかし、中国市場においては、この時期にセールのピークを持ってこなければならない。同様に展開している時期店頭在庫も薄くなっている。

 同様に、中秋節には、中国では「月餅」を配る習慣があり、百貨店も様々な月餅が並ぶ。また、中秋節と国慶節は連続して休暇となることもあり、ギフト需要が膨らむ時期である。
 中国の小売商戦は、これらの長期休暇を軸に回っている。出店をタイミングも同様であり、長期休暇の前に新店をオープンし、長期休暇前、あるいは、休暇中の売上を確保することが重要である。
 しかし、日本のアパレル企業は、日本のシーズンカレンダーを軸に動いており、在庫の構え方も日本に準じている。従って、「必要な時期に必要な商品を積み込めない」という状況に陥るのである。
 もう一つの構造的な課題は、日本の百貨店と中国の百貨店ではターゲット顧客像が大きく異なることだ。
 日本の百貨店の中心顧客は、60代の団塊世代である。従って、商品もシニア向けの色柄、デザインに偏っている。しかし、中国の百貨店は30代が中心である。
 しかも、中国では低価格のカジュアルウェアは服装城のような市場(いちば)に並んでいる。カジュアルで勝負するなら、価格に気をつけなければならない。百貨店ではカジュアルではなく、上品で綺麗めなエレガンステイストの商品が求められている。
 日本の大手アパレルの商品は、価格は高いがデザインが保守的で色も地味だ。品質だけでは、中国の消費者にアピールする力が弱い。
 こうした状況は数年来変わっていない。しかし、未だに具体的な対策が取れない。その大きな理由は、中国の現地法人に権限委譲が十分ではなく、本社の人間が中国市場を理解していないことである。組織、人材の根本的な問題を放置したまま何年も経ち、中国のアパレル市場は冷えきってしまった。
 今後も具体的な対策を取らないのであれば、最早、売上が浮上することはないだろう。

2.中国のリアルターゲットに支持される勝ち組企業

 日本のアパレルでも、好調なブランドはある。典型的な事例が「スナイデル」と「ハニーズ」だ。
 スナイデルは日本でも人気のブランドだが、中国でも好調である。
 好調の原因の第一は商品だろう。中国の百貨店のターゲット顧客である30代の女性にフィットしている。カジュアル過ぎず、クチュールテイストを残しながら、上品でカワイイ女性を表現している。
 富裕層の40代以上の女性はヨーロッパのラグジュアリーブランドが好きだが、その下の30代の中間層の女性には高額すぎる。
 代表的な人気ブランドは、デンマークの「ONLY」「VEROMODA」、韓国の「ELAND」、ドイツの「ETAM」等があるが、「スナイデル」はこれらのいずれとも異なった個性を持っている。
 好調を維持している第二の要因は、全社的な積極的な取り組みである。現地の営業担当者は常に売場を訪問しているし、月に一度は社長が出張し、中国市場を肌で感じている。そのため、意思決定も早い。会社として本気で中国市場に取り組んでいる姿勢が明解なのだ。この点も、大手アパレルは見習うべきだろう。
 「ハニーズ」は、百貨店の中でひときわ異彩を放っている。正直言って、ファッショナブルではない。売場や商品はチープであり、売場内は商品で埋まっている。
 他のブランドが高級化を目指す中で、等身大の中国ボリューム市場に真っ向から勝負を挑んでいるのだ。実際、中国の百貨店からは、ハニーズの商品は安過ぎると言われているらしい。しかし、リアルな消費者には、この価格帯の商品が支持されている。
 日本でも百貨店やファッションビルにカッコイイブランドは溢れているが、「しまむら」や「ハニーズ」が確実に売上を伸ばしている。それと同じ現象が中国でも起きているのだ。
 また、「ハニーズ」の現地化は徹底している。現地に常駐している日本人は総経理と現地採用の品質管理担当の二人だけで、他は全て中国人である。3000名を越す販売員は全て正社員で採用している。
 中国国内に4カ所の自前の物流センターを持ち、約500店舗の店に日本並みの商品供給を実現している。表面的な売場だけでは分からない、ビジネスのインフラに積極的に投資していることも、ハニーズの特徴だろう。

3.カッコだけでは売れなくなった中国アパレル

 数年前から、中国アパレルは高級ブランド開発がブームになっていた。バブル経済下では、高級ブランドが売れたのだ。また、次第に人件費が上がり、現状のブランドでは採算が合わないのだ。そこで、「高級ブランド」開発である。
 しかし、高級ブランドが簡単にできる訳はない。中国のアパレル企業はブランド開発の経験が少ない。コンセプトも曖昧で、ヨーロッパの商品をコピーするだけだ。あとは、有名タレントをイメージキャラクターモデルとして契約し、ブランドイメージを上げる。そして、豪華な旗艦店を作り、代理商を集めれば、商売が成立したのである。
 しかし、この成功の公式が崩れつつある。不動産バブルが徐々に崩壊し、景気に陰りが見えている。不動産や株価が上がっている時には財布の紐も緩かったが、資産が目減りすれば消費意欲も減退する。
 中国の消費者は海外旅行の機会が増え、中国国内には次々と海外ブランドが進出している。中国人消費者も次第に商品の選択眼が肥えおり、商品の品質、サービス等の評価も厳しくなっている。単純なイメージ戦略だけでは、売れない時代が到来したのである。
 いよいよ、中国アパレル市場は本格的な競合と淘汰の時代を迎えようとしている。
 これまでのような安易な成功モデルは存在せず、商品企画、ショップデザインやVMD、接客販売技術が必要になっている。また、半期に一度の発注だけでは、市場の変化に対応できなくなっている。今後は、日本のように「シーズンの細分化」「QR生産」「商品フォロー」等が必要になるに違いない。そして、それを可能にするには、物流システム、店頭販売管理システム等の整備が必要になるだろう。

4.真のスペシャリストが必要な時代に

 日本のアパレル企業は、新卒の採用に消極的だが、中国アパレル企業は人材確保に積極的である。日本のファッション専門学校にも、積極的にアプローチしている。最近はその質が変わってきているという。
 2~3年前までは、中国人留学生を採用したいという希望が多かったのだが、最近は「日本人を採用したい」というケースが増えているらしい。それだけ、商品企画を重要視しており、成熟した市場に対応するには、異質な人材の組み合わせが効果的だと判断しているのだ。
 残念ながら、日本の学生は中国への就職に積極的ではない。しかし、最初は嫌々中国に出掛けた若者が、一年経つと目の色が変わってくるそうだ。日常の中国語も話せるようになり、何よりも仕事を任せてもらえる。初年度からデザインが採用され商品化されるのだから、仕事が面白くてしかたない。待遇も以前は月10万円程度だったが、現在は日本企業の給与水準に追いついている。その上、社員寮完備、食事付きである。
 上海の東華大学は、これまで10年間、東京の文化服装学院との合作を継続してきた。通常の大学教育に加え、日本語教育とファッション技術教育を組み合わせ、最終年度は日本に留学するというコースである。
 現在はそれを発展させた「国際ファッション学院構想」を推進中である。これは、日本だけでなく、アメリカ、フランス、イタリア、イギリスの教育機関と提携し、英語教育と本格的ファッション教育を組み合わせるというものである。将来的には、海外からの留学生も受け入れたいとのこと。
 日本企業は、グローバル人材が必要ということで、中国人留学生の採用が増えている。中国企業はグローバル時代に対応するために、会話はできなくても、日本人学生の採用を実践している。
 そして、中国の教育機関は、相手が大学、専門学校等に関わらず、世界中から良いプログラムを積極的に導入して、学位を与えようとしている。中国はますます手強い相手になっていきそうだ。

*有料メルマガj-fashion journal(56)を紹介しています。本論文は、2012.12.24に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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