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July 05, 2013

自民大勝の選挙結果に何を見る? j-fashion journal(55)

1.ネット世論とリアル世論の乖離

 高齢化社会には、高齢者の意見が反映される。特に選挙となれば、高齢者の人口×投票率は圧倒的だろう。若者は文句を言うものの、人口も少ないし、投票率も低い。選挙という手法では、圧倒的に不利なのだ。
 一方、ネット社会では圧倒的多数だ。だから、ネット世論とリアル世論は大きく乖離してしまう。
 また、ネット世論は、ネットの空気というものがあり、みんなが一つの意見を出している時間には、反対意見の人は黙っていることが多い。これは日本人が本能的に意見を対立を嫌うという性格から来ているのかもしれない。だから、意見を言わない人が多数派であることも少なくない。
 ネット上では、選挙が不正ではないか、という意見もあるが、それはないと思う。それほど、リアルとネットの格差があるということだ。
 このことは小売業にも共通している。百貨店、量販店はシニアが中心であり、ネット通販は若者が中心だ。両者は全く異なると考えた方がいいだろう。シニア層を中心に狙うならば、より店頭が重要になる。若者ならネット通販が重要になる。
 ネットの中で時間を消費していると、ネットという世界しか見えなくなる。もし、ネット社会が更に成熟し、ネット内で様々な政策が議論され、それが誰の目からも有効な政策であれば、リアルな政治に影響を与えることもできるだろう。しかし、人の悪口や揶揄ばかりが蔓延しているだけなら、何も生み出さない。むしろ、ますますネット世界に固執することになるだけだ。

2.経営判断には若者の意見を取り入れよう

 若い時に会社勤めしていても、高齢者になるとリタイアする。会社勤めの時には企業の論理で動いていた人も、高齢になるにつれ個人の論理が強まる。
 老い先短いので、何かと悲観的になる人も多い。高齢者は製造業が日本のリーディングインダストリーだった時代に生きてきた。海外に生産拠点が移り、日本の製造業が空洞化することで、「日本はダメになる」と単純に考えてしまう。しかし、製造業海外移転も製造業空洞化も日本企業の利潤追求の結果なのだ。それを忘れてはならない。
 悲観的になるもう一つの理由は、インターネット等の情報ビジネスや、デザインやコンテンツビジネスが理解できないことだ。現在もICT関係の企業で好業績の企業もある。勿論、繊維ファッション業界にも優良企業はある。しかし、高齢者はそういったプラスの情報に接する機会が少ない。だから、悲観的になってしまうのだ。
 一方の若者達は、就職氷河期の先輩の姿を見て育っている。就職できないのが当たり前という時代に生きているのだ。製造大国日本のイメージも希薄であり、会社に対する忠誠心も希薄である。それでも個人で何とかしなければと考える。私が主催するセミナーも、本来は業界人向けなのだが、学生や個人の参加が目立つようになった。むしろ、企業はコスト削減で金を出さない。金のない若者が身銭を切って自己啓発しようとしているのである。
 高齢者の個人主義は、会社人間がリタイアした悲観的個人主義だが、若者は最初から個人であり、楽観的個人主義とも言えるだろう。
 従って、企業経営の意思決定に高齢者の意見ばかりを重視するのは危険だ。悲観的かつ消極的、内向きに孤立してしまう。その典型が石原慎太郎ではないだろうか。
 若者は最初から個人であり、それがネットでつながるというイメージを持っている。従って、ネットでつながることで新しい可能性を実感しているのだ。当然、ネットに対する意識も情報量も高齢者とは大きくかけ離れている。
 人口は高齢者が多いが、意思決定は若者の意見を積極的に取り入れるべきだ。そうしないと経営判断を誤り、競争にも勝てないだろう。

3.ダイレクトな情報発信が影響力を生み出す

 選挙の時は当落情報に一喜一憂しているが、議員にそれほどの力があるのだろうか。地方自治体の首長は、ある意味で自治体の社長だ。自治体職員が社員だ。しかし、議員に部下はいない。私は、議員にそれほどの力はないと考えている。 
 一般の人は、自分達に許されているのは選挙だけであり、選挙で選ばれた議員だけが官僚やお役人と話す権利があると思っている。しかし、たとえば、繊維政策について議員に意見を聞く官僚はいない。議員は何の専門知識も持っていないし、国レベルの産業政策に前向きな提案が出せる人もいないからだ。彼らが登場するのは、利権が発生する時だけだ。
 官僚はそれぞれの専門家に意見を聞くし、ネットで情報収集もしている。だから、本当に国益に適う意見があるのなら、堂々と主張すればいい。たとえば、政策提案を常に行うブログを書いていれば、それは必ず影響力を持つはずだ。
 ビジネスも同様である。企業もまた常に情報収集をしている。企業が必要とする情報を常に発信していれば、どこかで網に引っかかる。やりたいことがあれば、その分野の専門家としてネット上で情報発信しておくべきである。
 日本は官僚政治と言われるが、官僚政治の良さもある。官僚は政治家より若くて優秀である。それぞれに国を憂いてもいる。エリートだけに、現場感覚を理解することは難しいが、だからこそ、我々のような現場を知っている人間が情報提供をして、正しい方向に導いていく必要がある。官僚政治と言って、官僚を孤立させるのではなく、積極的にコミュニケーションを取ることで、新しい可能性が見出せるのではないか。

4.徴兵制と新産業政策

 徴兵制という言葉を聞くだけで、私は身震いしてしまう。何と恐ろしい言葉だと思う。それは一部の人が言うように、私の世代が戦後の日教組教育に洗脳されているからかもしれない。しかし、遠くの日本人は戦争末期の徴兵、そして特攻隊を連想するのではないだろうか。
 冷静に考えれば、徴兵は韓国も中国も行っている。韓国や中国の徴兵経験者に話を聞くと、意外に楽しそうに話すのだ。多分、個人主義的な彼らが体験する始めての集団生活であり、それなりの一体感や充実感を感じたに違いない。
 平時の徴兵とは、基本的な軍事訓練はするが、戦争に行くわけではない。従って、徴兵制が始まっても、外交力があれば、簡単に戦争になるわけではない。また、軍隊があることで、外交力がつくという側面も否定できない。徴兵制=戦争ではないのだ。
 老人は、徴兵される心配がない。しかも、「若い世代は、もっとしっかりしなければ」と勝手に思っている。「徴兵で根性を叩き直せば、日本も良くなる」と思う老人も多いのだ。
 私は、そんな精神的なことではなく、経済的に考えたい。徴兵制は必ず国のコスト増につながる。ある意味で、若年層の失業者を救うかもしれない。また、軍隊で資格を取得することで、その後の就職も有利になるかもしれない。軍隊の経験者を優遇して採用するような制度を整備することもできるだろう。しかし、財源をどうするのか、という問題が残る。それが増税というのでは、あまりにも情けない。そういう知恵のない人間は戦争状態を作り出し、非常時の法律を無理やり通してしまうだろう。これはあってはならないことだ。
 たとえば、徴兵制を具体化するのならば、一方で新たな軍需産業振興も考えなければならないだろう。たとえば、アメリカに封印されてきた、航空機産業を拡大することができれば、日本の大きな産業となる。メタンハイドレート等の地下資源の開発をエネルギーの安全保障問題解決として一気に行うことも考えられる。
 一方で、経済制裁等で、日本の得意な民需産業を衰退させるかもしれない。その予測と戦略を立て、実行に移すことが、今の政治家にできるとは思えない。勿論、海外にこの巨大プロジェクトの正当性を主張し、外交手腕で紛争を回避する能力があるとも思えないのだ。
 最もしてはならないのは、精神論的なイデオロギーだけで軍備に突っ走ること。特に、原発と核装備という発想は安易に過ぎる。技術的には容易だが、どこにも売れないし、政治的な問題があまりにも大きい。
 軍備の問題を語るならば、経済問題も同時に語ってほしい。不景気がなくなるのなら考える余地もあるが、より貧しくなるのなら考える余地はない。それを強行するようなら、革命が起きるかもしれない。日本人だって、明治維新という革命を起こした経験があるのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(55)を紹介しています。本論文は、2012.12.17に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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