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July 07, 2013

インターネット時代のパトロネージ j-fashion journal(64)

1.自分の服を量産しよう

 私は普段、ベーシックなカジュアルウェアを着ている。しかし、好きで着ているわけではない。一つは、サイズの問題。大型サイズのデザインバリエーションは少ないのだ。加えて、私はブランド物と分かる商品は嫌いだ。ブランドのシンボルマークやゴタイプがワンポイントで付いていると、取りたくなる。(ま、最大の理由はお金がないことだが、それは内緒)
 また、基本的にスーツが嫌い、ネクタイが嫌い。他人と同じ格好は嫌だが、そういう服は少ない。あるとしたら、非常に高価なインポートか、デザイナーものだ。それで妥協して、ベーシックなカジュアル商品を着用している。
 昔、こんなことを考えた。自分で機屋にオリジナルの生地を依頼する。ウールのジャケット地、パンツ地、綿のジャケット地、パンツ地、綿のシャツ地、カットソー用の生地等々。そして、デザイナーとパターンナーに、自分の体型に合わせたパターンを作成してもらい、1反潰しで自分の服を作る。一型あたり、2~30枚できるので、それを一生、着続けるという計画だ。
 しかし、一生同じ服を着続けるのも勇気がいる。体型も変化するだろうし、流行も変わる。まず、自分自身が飽きるだろう。やはり、まとめて作るのには無理がある。そう思って、その構想は諦めた。

2.顧客がデザイナーを支える仕組み

 中世のヨーロッパでは、上流階級の王族や貴族が芸術家や作家を抱えていた。「お抱え」という奴だ。パトロンとして生活を保証し、芸術家に創作を促す。パトロネージというシステムが芸術を育てたのである。
 現在は、個人がパトロンになるのは困難だ。しかし、複数の人間が一人の作家を抱えることは考えるかもしれない。
 SNS等を活用すれば、こうしたビジネスに可能性が出てくる。大量生産商品が中国生産、東南アジア生産に移行する中で、日本の製造業の生き残り策として、完全予約制のお抱えデザイナービジネスについて考えてみたい。
 この構想を思いついたのは、某ファッション専門学校の学生がとても面白いメンズウェアを作っていたからだ。「この子ならば、お抱え専属デザイナーとして、オリジナルの服を作ってもらえるのではないか」と考えた。それとなく打診すると、良い返事だった。(残念ながらまだ実現してない)
 デザイナーにとって、自分のデザインが評価され、オーダーの仕事を依頼されれば、嬉しくないはずがない。しかし、一人の人間が一人のデザイナーの生活を保証するだけ、服を購入するのは難しい。それでも、何人かの顧客がシーズン予算を組み、必ずその人から服を購入するという契約ができれば、可能性はある。 例えば、1人のデザイナー兼職人が1カ月で10着の服を作るとしよう。単純に1着10万円として、100万円の売上げだ。原価率を30%と設定すると、粗利益が70万円。これなら何とか生活は成り立つだろう。
 毎月、10万円の服を購入するという契約を1年間結ぶ。そんな人を10人集めれば、この構想は実現する。勿論、1人当たりの予算を減らせば、個人の負担は減る。たとえば、年2回10万円使うという設定なら、50人集めればいい。

3.「俺の洋服」
 現在のコレクションは、プロモーションが目的だ。しかし、プロモーションになっても、ビジネスには結びつかないことが多い。それなら、50人の顧客のためのコレクションを考えた方が良いのではないか。リアルなファッションショーだと費用が掛かるというなら、ネット上でファッションショーを行ってもいいし、展示会だけでもいい。
 個性的な服を作りたいデザイナーは、大量生産の服など作れない。単価の低い商品を大量に作るより、高額な商品を少数作る方がよほど可能性がある。その場合、高額な商品を買えるのはどんな顧客か。その顧客がどんなタイプの個性的な服を好むかを考えなければならない。
 縫製工場やニッターも同様だ。上質で高額な商品を購入する人はどんな人なのかを考えるべきだろう。現状の服に満足している人は、市場に出回っている服で足りている。満足できない人は、品質だけを求めているわけではなく、個性的なデザインや色を求めているのだ。
 たとえば、ニットなら定番ではない色ばかりを扱うブランドがあってもいい。その代わり、素材は上質、デザインはスタンダードだ。
 あるいは、友禅の職人に、シルクのシャツとシルクのネクタイをオーダーする。先程の設定で、シャツとネクタイで10万円というのはどうだろう。世界の富裕層を対象に販売する。たとえば、会員100名限定のコレクション。。
 「俺のフレンチ」という立ち食いのレストランが人気を集めている。高い食材を使い、低価格。但し、立ち食いで回転率を上げる。ファッションなら、高価なテキスタイルを使い、原価率も上げる。その代わり、オーダーメイドで無駄をなくす。店の内装には金をかけない。「俺の洋服」だ。

4.オートクチュールとライセンス
 限定された顧客のためのモノ作りを考えるなら、無難なデザインではダメだ。定番の色もダメ。個性的と言っても、デザイナーの好みではダメ。あくまで顧客の好みを吸い上げたモノ作りを行う。ある意味では、オートクチュールに回帰する。サイズを顧客に合わせることは、絶対的な条件になるだろう。
 「オンリーワンのモノ作り」というと、そんなの簡単にできるわけがない、という人がいるが、「俺の服」はオンリーワンだ。顧客の好みを徹底して聞く。そしてデザイナーと話し合いながら、服を作っていけば、必ずオンリーワンになってしまうだろう。
 ドレスでもいいし、ゴスロリでもいい。世界で100名の顧客を組織化する。そのためにはマスメディアに出る必要もないし、評論家に褒められる必要もない。仲間を集めることが重要なのだ。
 そして、ビジネスを大きくするのは、ライセンスビジネスである。俺の服のエッセンスを既製服にする。しかし、「俺の服」のデザイナーはそんなことに関わらない。それは、ライセンシー企業に任せればいいのだ。そういう割り切りができれば、ライセンスビジネスも成功するのではないか。

*有料メルマガj-fashion journal(64)を紹介しています。本論文は、2013.2.18に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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