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July 05, 2013

電子書籍でこんなことをしよう! j-fashion journal(63)

1.外国人向けの電子書籍を作る

 アマゾンKDPの大きな魅力は、世界中のアマゾンに電子書籍が並ぶことである。KDPの出版手続きの中に、世界各国での販売価格を設定する欄があるのだが、記入しながら「どうせ日本語の本など売れないだろう」と思っていた。
 しかし、実際に電子書籍が発行され、外国のアマゾンのページを見た時に衝撃を受けた。何だか分からないけど、スゲェと思ったのだ。
 私は最初から、日本語の本が日本以外で売れるとは思っていなかった。勿論、海外にも日本人は生活しているのだから、全く売れないということもないだろう。しかし,大した数は売れないはずだ。それなのに、わざわざ私の本をアメリカやヨーロッパで紹介してくれるのだ。これを利用しない手はない。
 日本語の書籍の発行部数が少ないのは、日本語人口が少ないからだ。もし、英語で書いてあれば、世界中の人が読める。中国語で書いてあれば、中国本土から東南アジアの華僑社会に至るまで読むことができるのだ。分厚い本ならば翻訳も大変だが、私の本は薄い。最悪の場合、機械翻訳のブロークンな英語でもやらないよりはやった方がいいだろう。そして、読者に翻訳の間違いを指摘してもらうのも面白い。
 「この本は、機械翻訳した本です。当然、正確な翻訳はできていないと思います。そこで、読者のみなさまにお願いです。本書を正しい英語に直してください。そして、本書を完成させてください」と、冒頭に書いてしまうのはどうだろう。

 英語や中国語で出版することを前提にすれば、様々な企画が湧いて来る。外国人向けの旅行案内でも良いし、日本の文化の紹介でもいい。日本のファッション、居酒屋メニュー、雑貨を紹介する本でも良いだろう。しかも、できるだけ写真を多くして、言葉を少なくする。そうすれば何とかなるはずだ。

2.プロフェッショナルが作る電子書籍

 私が電子書籍に期待しているのは、これまでの紙の本にはできなかったことだ。その一つが、著述を専門にしていない、様々な分野の専門家、職人、プロフェッショナルによる電子書籍である。
 以前、日本全国の繊維産地の技術者を集め、自社製品を持参して、各自が製品について説明するというシンポジウムを行ったことがある。口下手なメーカーの技術者も、自社製品があれば、語ることは限りなくある。一般の生活者には関係のない話でも、そういう話は面白い。テレビ番組でも、工場の紹介、職人の紹介は素人が見ても面白い。
 新興工業国には、専門職や技術職が少ない。機械設備や従業員を集めることができても、プロフェッショナルを集めることはできない。プロフェッショナルが語る仕事の話は、新興工業国の若い技術者の参考にもなるだろう。
 たとえば、私はテキスタイル、アパレルが専門なので、機屋の技術者に集まってもらって、テキスタイルの話をしてもらう。あるいは、縫製工場の工場長に集まってもらって、自慢をしてもらう。そのテープ起こしをまとめるだけでも、電子書籍を出すことはできる。もし、それらのメーカーが海外市場開拓を望むのならば、英語に翻訳して出版すればいい。
 アパレルのデザイナーがコレクションを作るまでのドキュメントも面白い。どんな生地を選んで、どんなデザインをするのか。デザイン画や作業中の写真を入れた電子書籍を作れば、販売促進にもつながる。
 勿論、農業、水産業を紹介することもできる。中国では、日本の果物が大人気だ。果物の種類と生産者を紹介する本があれば、彼らの方から買いに来るかもしれない。

3.ブランドブック

 ファッションに限らず、どんな商品でもブランドが重要だ。しかし、ブランドを説明するのは難しい。会社の歴史、経営者の哲学から始まり、ブランドのストーリー、イメージ、テーマ、顧客ターゲット、想定するライフスタイル等を詳細に説明しなければならない。詳細にと行っても、言葉だけで説明するわけではない。様々な画像やイメージ等を駆使して、相手にブランドの論理とイメージ、世界観を同時に伝えるのである。
 ブランドを説明するには、WEBサイトよりも電子書籍が向いていると思う。電子書籍にはページがあり、次々とストーリーやイメージを展開できる。また、分厚い情報を収納するのに適したメディアでもある。また、電子書籍ならば、シーズン毎に改訂することも可能だ。
 ブランドブックをアマゾンの店頭に上げておくことで、様々なコミュニケーションが可能になる。アパレル企業であれば、小売店がブランドブックを確認することで、販売促進につながるだろう。また、テキスタイルメーカー等の仕入れ先はブランドブックを見ることで、そのブランドに適した素材を提案することができる。
 ブランドの顧客に対しても、最新のコレクション情報、ショップ情報、WEBショップとのリンクなど、様々な情報提供が可能になる。また、顧客とのコミュニケーションツールとして電子書籍を活用することもできるだろう。

4.「村おこし・町おこし」の電子書籍

 全国の市町村で「村おこし・町おこし」という言葉を聞かない場所はない。それほど、どの地方自治体も「村おこし・町おこし」が重要なテーマとなっている。地場産業の活性化、観光客の誘致、地場産品のPRなどにより、街を活性化しようということだ。
 たとえば、地場産業ブック、観光ガイドブック、地場産品カタログ等を電子書籍にまとめる。地場産品の輸出、海外観光客の誘致等であれば、英語で出版することで、WEB以上の効果が期待できるだろう。
 たとえば、電子書籍を制作した段階でニュースになる。また、出版のニュースをSNSで伝える。
 地域情報を電子書籍にまとめることで、それを教科書として産学連携で地域活性化について考えることもできる。電子書籍の良いところは、世界中で販売でき、持ち運びが可能だということだ。電子書籍を携行して旅行することを前提にすれば、スタンプラリー、体験ワークショップ等、様々なイベントを連携させることも可能である。

5.生産地の本

 全国には特定の産業が集積している地域、産地がある。今治のタオル、鯖江のメガネ、京都の和装商品等々である。また、食品の生産地も産地と呼ばれる。小田原の蒲鉾、博多の明太子等だ。
 これらの産地には、産地ブランドを訴求しているケースも多い。また、産地の中小企業が独自のブランドを展開している場合もある。
 産地を紹介するにも、電子書籍は有効だと思う。産地の本、産地ブランドの本、企業の紹介本等々が考えられる。
 また、産地とデザイナー、産地と料理研究家、産地とテーブルコーディネーター、産地とフォトグラファー等がコラボして電子書籍を作成するのも効果的だと思う。これまで、地域のイベントというと、展示会、体験イベント等が主体だったが、今後は電子書籍の制作も地域イベントのメニューに入るのではないか。

6.サプライチェーンの紹介

 あなたは自分のシャツがどのように作られたかを知っているだろうか。
 アメリカ、あるいは、インド、中国等で綿花が栽培される。綿花はインドネシア、バングラデッシュ、中国等の紡績工場に運ばれ、綿花から糸をひく。その糸が輸入され、兵庫県西脇市等の染色工場で染色し、染色した糸がテキスタイルメーカー(機屋)に送られる。機屋は、糸を糊付けし、整経(タテ糸を並べる)する。その後、機織して生地にする。整理工場で、糊抜きと柔軟加工、ガスで毛羽を焼くなどして、シャツ生地が完成する。
 一方、アパレル企業では、デザイナーがシャツのデザインを起こし、パターンメーカーがシャツのパターンを引き、縫製仕様書と共に東北や岐阜の縫製工場に送られる。縫製工場では、生地とボタン、織ネーム等を仕入れ、シャツに縫製する。
 勿論、ボタン、芯地、織ネーム等もそれなりの生産工程が存在する。シャツは小売店に配送され、店頭に並ぶ。それをあなたが購入するのである。
 この生産の全ての工程をサプライチェーンというが、これを紹介することは、様々な意味がある。それぞれの企業には独自の技術があり、技術者が存在する。
 コストの軽減のために、海外生産が増え、日本国内の製造業は空洞化し、雇用が失われた。それらの事実を消費者が確認することで、世の中のあり方、生態系のように連携する産業構造が理解できるだろう。
 綿シャツの他にも、カシミヤのセーター、シルクのドレス、合繊のスポーツウェアも面白いだろう。

7.ストリートファッションの本

 海外で販売することを考えると、日本独自のポップカルチャーを紹介する本は有望だ。ファッション分野では、ストリートファッション、コスプレの紹介が考えられる。何よりも、これらのファッションは日本が本家であり、日本発の情報発信に価値がある。
 この種の本は私のようなおじさんには作れない。若い人に作ってもらいたい。たとえば、ファッション専門学校の学生を対象にしたワークショップのような形で写真を撮影し、それを編集し、キャプションを付けて、電子書籍に仕上げるのも面白いと思う。学生だけで制作するのではなく、プロの編集者やデザイナーが参加することで、学生も勉強になる。
 電子書籍はコストが掛からないので、教育機関でカリキュラムとして活用すると良いだろう。
 卒業製作のファッションショーも単に観客に見せるだけでなく、電子書籍として出版する。少なくとも、参加した学生は購入するだろうし、親戚や友人に紹介すれば欲しがる人も多いはずだ。コストが掛からないのだから、それだけでもいいのだ。
 また、電子書籍にして販売すれば、業界から反応があるかもしれない。記録にもなるし教材にもなる。
 電子書籍で儲けるという発想ではなく、電子書籍を活用して様々なことをしかけていくという発想が重要だ。それにより、電子書籍も進化していくのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(63)を紹介しています。本論文は、2013.2.11に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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