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July 05, 2013

アンチファストファッション市場を創造しよう! j-fashion journal(59)

1.ファストファッション市場は飽和だ!

 ビジネスは需要と供給のバランスで決定する。日本のアパレル市場は、慢性的な供給過剰だった。従って、常にデフレ圧力が強かった。
 日本生産から中国生産に移行することで、高品質低価格の商品が市場に流通した。しかし、高品質低価格と言っても、あくまで価格優先で品質が決定されることが多い。
 製品の価格設定には、原価を基準にして小売価格を決定する方法と、最初に小売価格を設定して、そこから利益を確保して、それに見合う素材や仕様を設定する方法がある。
 一概には言えないが、百貨店商品は原価を基準に積み上げられることが多く、量販店では最初に小売価格を設定して、素材や仕様を決定することが多い。そのため、百貨店商品は価格が高過ぎる傾向が強く、量販店の商品は品質が悪過ぎる傾向が強い。
 高品質低価格と言っても、あまりに低価格な設定であれば、高品質になるはずがない。あくまで価格と比較して品質が良いというに過ぎない。

 そうした視点を持って市場を見ると、ここ20年は低価格戦略が主流であり、素材や仕様、品質は確実に劣化し続けている。私が見ても、「最低限でもこの程度の品質は欲しい」というレベルを下回っている商品も多い。言い方は悪いが、ゴミのような商品だ。
 こうした風潮が強まるにつれ、日本国内の工場も高級品を生産できる工場は激減していった。腕が良くても、その工賃に見合う商品を企画生産、販売する企業がなくなっていったのである。中国の輸出工場を見ても、日本市場が低価格路線を強めていたために、高級品を生産できる工場は少ない。
 勿論、中国にもヨーロッパのラグジュアリーブランド向けの工場もある。中国内販ブランドで日本ブランドよりも高級品を作っている工場は珍しくない。しかし、これらの工場で生産して、日本に輸入しても日本の価格設定には全く合わないだろう。
 アパレル製品全体の需給バランスを見れば、供給過剰だが、高品質のアパレル製品に限定すれば、供給が間に合わない状況である。品質だけでなくハイデザインの製品を作れる工場ということになると、更に供給が不足している。欧米のラグジュアリーブランドは、生産工場を買収するなどして、生産機能を確保している。ここにも、市場の需給のギャップが感じられる。

2.マイノリティ分野のファッションを狙おう!

 基本的に低価格商品は大量生産されるものだ。生産数量が少なければ、価格競争力を獲得するのは難しいからだ。
 世界のファストファッション企業は、1型で万単位の発注をしているが、多くの日本アパレルはせいぜい千単位、多くは百単位だろう。とてもではないが、価格競争力で勝てるはずがない。
 需要と供給で見る限り、多くの日本企業は大量生産の低価格製品を扱うべきではない。大量生産の低価格製品を扱えるのは、それなりの規模と資金力、店舗数を持っている小売企業に限定されるからだ。
 日本企業、特に中小企業が狙うべきは需要に比べて、供給が少ないグローバルニッチ市場である。ニッチ市場の意味は、小規模なすき間市場という意味だが、グローバルにすき間市場を捉えればそれなりの規模に達するという考え方だ。ある意味、世界に広がるマイノリティ市場と言ってもいいかもしれない。
 私はマイノリティ市場は、日本に向いているのではないか、と思う。日本人には他人の心を察する文化がある。多様性を受容する柔軟性も持っている。
 ファッションで言えば、メジャーは西欧ファッションである。伝統的にも文化的にも、現代ファッションの源流はヨーロッパにある。しかし、ヨーロッパでマイノリティと考えられている分野、タブー視されている分野であっても、日本人にとっては自由に取り組むことができるのだ。
 日本のゴスロリファッション、コスプレファッションが、世界で評価されているのも、西欧文化では異端であり、正統なファッションと評価されない分野だからだ。その意味で、古着もヒップホップも、テクノもゲイカルチャーも日本がトップになれる可能性がある。
 世界のマイノリティを飲み込み、独自のオタク文化として昇華することができれば、次世代のファッションは日本から生まれるかもしれない。そして、日本のファッション企業は、世界のマイオリティこそ、日本が取り組むべきメジャーナ戦略であることを認識すべきではないだろうか。

3.日本をマイノリティ文化のメッカにしよう!

 マイノリティ、希少性に価値を感じるのは、アートやデザイン等の美に関する分野ならではのことだろう。
 伝統的に、パリコレのデザイナーは、服装史と民族衣装にコレクションのリソースを求めてきた。現代のヨーロッパという現実から、時間軸と地理軸を外して考えるという試みである。そして、近年ヨーロッパのトレンドセッターが「東京」をデザインソースの一つとしているのも、そこに西欧とは異なる文化の湧出があるからに他ならない。
 しかし、現時点では、オリジナルのコンテンツがパリコレというフィルターを通して評価されたことによって、初めて価値が生まれるという構造になっている。我々は、そこを変えなければならないのではないか。
 そして、そこにこそ東京コレクションの存在意義が出てくると思うのだ。これまで、東京コレクションの批評は、西欧を土台にしたものだった。しかし、異端のコレクションを正統な視点で見ても意味がない。それをしたいのならば、パリに行けばいいのだ。
 パリコレに出ているデザイナーが東京でコレクションさせることも全く意味がないと思う。むしろ、世界中から異端のデザイナーを集結することが重要である。そして、西欧の異端としてのアイデンティティ、マイノリティのアイデンティティをしっかりと打ち出すことである。
 日本に必要なのは、異端のファッションを異端の視点で評価することである。しかも、異端の評価は評論家ではできない。異端の人々が集い、発注し、購入することで評価すればいいと思うのだ。そして、それを独自のメディアで発信する。
 具体的には、ヴォーグが仕掛けた「ファッションズ・ナイトアウト」のようなイベントこそ、東京に相応しいのではないか。それを「マイノリティファッションズ・ナイトアウト」にする。アートイベントやファッションの展示会を行い、そこで即売あるいは顧客から直接注文を取る。そんなイメージである。

4.モノの輸出より、文化を楽しむファッション観光

 日本のポップカルチャーの人気が高まったことにより考え出されたのが、「クールジャパンの輸出プロジェクト」である。しかし、これは製造業立国の輸出振興モデルに他ならないし、「クールジャパン」の中身が、西欧の異端であるという認識に欠けている。むしろ、「クールジャパン」をメジャーにしようとしているのだ。
 「クールジャパンの輸出プロジェクト」は戦略的に考えても、成功するとは思えない。日本文化がクールだと言っているのは、日本マニア、日本好きな人達であることを理解すべきだと思う。そして、クールジャパンが西欧の価値観を凌駕しメジャーになることはあり得ないのだ。
 クールジャパンを育てるには、マイナーはマイナーのまま、規模を大きくしないでコアなファンを増やし、継続的に発展させることである。AKB48のように一時的にメジャーになったとしても、永遠に人気が続くことはないのだ。むしろ、マイナーのままで、価値を下げない努力が必要なのだ。
 そう考えると輸出ではなく、AKB48劇場のような装置が必要であり、そこに世界中から集客することが戦略の中心になると考えられる。つまり、インバウンドの観光戦略との連携が極めて重要になるのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(59)を紹介しています。本論文は、2013.1.14に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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