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April 17, 2013

新次元の製造業を目指そう! j-fashion journal(48)

1.「世界最高のモノを作っている」という自覚を持とう

 日本のコストは高い。世界の中でも図抜けて高い。国内製造業者はそのことをしっかりと認識しなければならない。コストが高い工場で安物は作れない。コスト競争もできない。コスト競争するのなら、人件費の低い国や地域の工場に発注すればいい。
 製造業者には二種類ある。最終製品を生産する組み立て工場と、素材や部品を製造する工場である。日本は分業構造が基本となっており、素材や部品は強いが、トータルな製品に組みあげる力が弱い。
 しかし、最早、最終製品を考えているのは小売業者である。おそらく、製造卸という業態は消えていくのではないか。世界市場を見ても、小売業者がブランドを持ち、直接工場に発注している。自社ブランド製品を展開する小売業者は工場を持たないメーカーと言ってもいい。特に、アパレル分野では、ユニクロも無印良品もH&Mもザラも全て自社ブランドを展開している小売業である。

 異業種でも、工場を持たないメーカーの成功例が出てきている。「Green Fan(グリーンファン)2」という画期的な二重ファンの扇風機を販売しているBALMUDA design(バルミューダデザイン)も工場を持たないメーカーだ。自社でデザイン設計を行い、台湾の工場で生産し、自らが日本国内で販売している。
 電動バイクのベンチャー企業、テラモーターズが2011年国内で販売した電動バイクは約3000台で、設立からわずか2年で国内最大手の座についた。ここもまた、自社でデザイン設計を行い、中国の工場で生産し、自社で販売している。
 これらの企業に共通しているのは、自社で企画設計を行い、海外の工場を活用し、自社ブランド商品を販売していることである。
 日本で生き残るには、海外の組み立て工場を活用して、オリジナルブランド商品を作るか、あるいは、オンリーワンの独自素材や部品を生産することではないだろうか。そして素材や部品でも、半製品としてのブランドを構築する必要があると思う。
 ブランドとなりうる根拠は、日本国内メーカーは、常に新製品を開発し続けていることである。同じ商品を3年も販売すれば、韓国、台湾、中国等のメーカーにキャッチアップされてしまう。これは日本メーカーの宿命と言ってもいい。そして、日本メーカーはその宿命を受け入れ、利益を上げるだけのポテンシャルを持っている。「日本の素材や部品は最先端である」というブランド価値を構築することが必要なのだ。

2.コストダウンではなく、価値アップの発想を

 戦後日本は21世紀を迎えるまで、一億層中流と言われるほど所得格差が少ない国だった。いや、21世紀になっても、海外に比べれば「所得格差のが少ない国」と言える。
 そのため、成功モデルの多くは「大衆向け薄利多売ビジネス」だった。品質やデザインにこだわり、限られた顧客に販売するというビジネスモデルは、日本市場においては非常に困難なのだ。
 バブルが崩壊した90年代から中国生産が本格化した。「価格破壊」という言葉が流行し、薄利多売のビジネスモデルが全盛を迎えたのである。
 しかし、日本企業が国内市場に留まっていたのに対し、世界のファストファッション企業は世界で最も人件費の低い地域で生産し、グローバル市場で販売するビジネスモデルを構築した。
 日本企業は中国生産により製造コストを下げることに成功したが、その他のコスト削減や企業の構造改革に成功したとは言えない。その上、商品価格が下落するデフレが進行し、売上、利益共に減少した。気がつけば、正規雇用者も減少し、若年層の可処分所得が減少した。所得が上がらなければ、結婚も出産も減少する。インターネット、携帯、ゲームなどのデジタルな支出が増え、その分だけ一般の物販は縮小した。
 最早、「価格破壊」という言葉さえ聞くことはない。破壊された価格が定着し、驚きがなくなったのだ。そんな環境の中でも、日本人の新しいものに飛びつく好奇心は失われていない。大阪アメリカ村にオープンした雑貨店「タイガー」に客が押し寄せ、商品がなくなって営業ができなくなった。前述した高額な新型の扇風機が売れるのもその証拠である。
 最早、安い商品を並べておくだけでは売れない時代となっている。安い商品なら、店頭に行かなくてもネット通販で購入できる。それに必要最低限の商品は既に所有している。無理して新しい商品を買わなくても、古い商品を使い続ければいい。新しく買うのは、買いたくなるような新しいモノだ。五感を刺激される商品でなければ売れない時代が到来したのである。
 買いたくなる商品、新しい商品、五感を刺激される商品とは、「価値ある商品」である。価値ある商品で価格が安ければ良いが、価格が安いだけで、価値のない商品は無料でもいらない。いかに安く作るかよりも、いかに価値ある商品を作るかが優先されるべきだ。その商品が大量生産される時に、生産は海外に移転し、初めてコストダウンが問われる。その時には、国内メーカーは次の新商品を開発している。そういうサイクルにしなければならない。

3.「改善の時代」から「発見の時代」へ、そして「発明」へ

 日本人が得意なのは、改善であり、画期的な商品を創造することは不得意と言われてきた。しかし、私にはそう思えない。西欧の新製品のアイディアを基本に商品化し、コストダウンして大量生産大量販売したのは、それが最も儲かるモデルだからだ。西欧の商品をコピーしていたのは、日本に舶来信仰があったからだ。
 現在の若いデザイナーを見る限り、西欧のデザイナーに対しても、全くコンプレックスを感じていない。対等な感覚を持っている。私自身、自分の仕事においては西欧人に負けるとは思っていない。おそらく、産地の若手経営者も同様だろう。
 但し、違いは理解している。西欧人が得意とすることで、日本人が苦手なこと。逆に日本人が得意で、西欧人が苦手なこと。あるいは、価値観や美意識の明確な違い。それが理解できていれば、意味もなくコンプレックスを感じる必要もない。ようやく、それが自然にできる時代になったのではないか。
 そして、日本人が独自の文化を持っていることを、西欧人が評価するようになった。西欧文化を取り入れるだけという一方通行ではなく、我々の文化を西欧社会が取り入れている。
 こうなると自国の歴史や文化を基本にすることが間違いではないと確信できるようになる。日本の独自性は、西欧と比較した時の後進性ではなく、明らかに異質な文化なのだ。そして、そこに価値があることを世界が認めている。
 これにより、我々は自国の文化やデザインを堂々と世界に打ち出せるようになった。世界のオンリーワンになることは難しいように聞こえるが、西欧文化に対して日本文化の特異性があるのなら、オンリーワンは難しくない。いかに、世界に打ち出すかが問われるのだ。我々が当たり前のようにしていることが、世界的に見ると希有なことも多い。それを日本国内だけに留めるならば、何も変わらない。しかし、日本の独自性を世界に打ち出して世界に認められれば、オンリーワンになれるのである。
 我々は改善が得意である。細かい専門分野、あるいは特定の工程の技術を磨くことは得意だ。しかし、それが世界の中でどんな位置付けにあり、どのように説明すれば、それが伝わるかという全体から俯瞰することが苦手なのだ。
 私はこれからは「改善の時代」から「発見の時代」に転換すると考えている。そして、発見から発明が生まれるのである。


*有料メルマガj-fashion journal(48)を紹介しています。本論文は、2012.10.29に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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