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April 17, 2013

政治の季節のビジネスを考える j-fashion journal(45)

1.反日運動で生じる中国のメリット

 世界中が軋んでいる。企業は多国籍化し、先進国は債務超過に陥っている。
 我々の支出も変化している。税金として国に払うよりも、携帯やインターネットの通信費用に払っている金額の方が多いのではないか。
 かつては、国が税という仕組みを独占することで、富を確保することができた。しかし、現在はどうだろう。仕事がなければ税金は払えない。しかし、インターネットにつながらなければ就職もできない。クレジットの支払いは、税金の支払いよりも回収率が高い。
 就職率が下がり、生活保護を受ける人間が増えれば、税金を徴収するどころか、国の支出は増える。しかし、インターネットをコントロールする企業は弱者を救済する義務などない。
 莫大な利益を上げる多国籍企業が本社をタックスヘイブンに移転すれば、税金は掛からない。国家予算を超える規模を持つ多国籍企業は珍しい存在ではない。国がコントロールできる関税や金利より、投機的ファンドの動きの方が影響は大きい。ファンドの投資次第では、小さな国の経済は吹き飛んでしまうのだ。

 国の枠を超える巨大な経済活動が可能なのは、「平和」が維持されているからである。ある地域で戦争状態になれば、その地域の市場経済は衰退する。そして、政治的支配者がその地域の富を独占するだろう。
 輸出に依存していた新興工業国は、先進国の不況で輸出が伸び悩んでいる。人件費の上昇は、更に輸出競争力を阻害している。そこで、日本も経験したように、輸出から内需への転換が行われる。
 しかし、新興国市場が成長すれば、外資が参入してくる。下手をすると国内資本が成熟する前に、外資に支配されてしまう。「世界の工場」として輸出している時には、WTO加盟による自由貿易体制の参入は必要不可欠だった。しかし、輸出競争力が落ちて内需転換するならば、海外資本の参入を抑制する必要が出てくるだろう。
 前述したインターネットサービスの分野においても、中国は純潔主義を守っている。海外資本への富の流出を防いでいるとも言える。
 中国は経済成長の時期には、市場経済に服従するふりをしながら、本質的には中国共産党の支配体制は維持している。中国政府内も、経済成長を優先する改革派と経済成長を抑制し政治体制を強めたい保守派が存在する。反日デモは保守派がリードしたと言われているが、その後、どのように決着したのかは不明だ。もし改革派も期間限定の鎖国に賛同したら、どうだろうか。
 今回の尖閣諸島国有化は、結果的に中国の保守派を後押しすることになった。一部の暴徒が暴れることで、WTO加盟を維持しながらも、海外資本参入を抑制できる。その責任は日本政府にあると主張すればいいのだ。
 しかし、それが本当に中国経済のためになるのかは分からない。確かに、、あまりにも急激に成長した経済をソフトランディングさせることは必要である。その辺りは状況を見ながらコントロールしていくというのが、中国流の政治手法だろう。

2.中国から東南アジアへの流れ

 日本の状況はどうか。自民党から民主党に政権交代した時には、日米同盟体制、官僚支配体制側の人間は、強烈な危機感を持っただろう。そして、小沢一郎が習近平を強引に天皇陛下に引き合わせたことは、これらの陣営に対する宣戦布告に等しい行為だった。
 その結果、小沢一郎はスキャンダルで失脚し、中国の漁船が海保の船に体当たりし、石原慎太郎が尖閣諸島を買い取ると言い出した。野田佳彦は尖閣諸島国有化を決定し、石原慎太郎は簡単に引き下がった。中国が領土問題で激しく抗議し、反日デモが加熱する。マスコミは国民の不安を煽り、日本はアメリカに安保条約の確認を取る。そして、大きな反対もなく沖縄のオスプレイ配備が決まる。
 かくして、記念すべき日中国交正常化40周年は見事に粉砕された。日本と中国が緊密になることは、アジアの安定に貢献するが、アメリカがアジアへの足掛かりを失うことも意味する。
 日本は中国に巨大な投資をしているし、製造業は中国の製造拠点に依存している。その関係を失うことは、日中両国にとって大きな損失であることは間違いない。
 その一方で、東南アジア諸国への生産移転が進んでいる。中国の人件費が高騰する中で、中国生産のメリットも次第に薄らいでいる。そして、中国改革開放時の商社のように、一斉に東南アジアへの投資がスタートしているのだ。
 考えてみれば、生産地から市場へと言われていた割には、日本の総合商社の中国国内市場への投資は進まなかった。
 投資ファンドは、成長性の高い地域に投資する。中国熱が冷えれば、一斉に東南アジアに投資が集中するかもしれない。
 おそらく次の選挙では自民党が政権を取り戻し、以前にも増して日米同盟体制が強化されるだろう。それが日本経済にとって、良いことなのか、悪いことなのかは分からない。それは、中国と同様である。

3.政治の季節のビジネス感覚

 我々日本人は40年以上、「経済の季節」を生きてきた。全ての面で、経済合理性が最優先された。その結果、人件費の低い中国に生産拠点を移転し、国内製造業は空洞化した。
 しかし突然、世界は「政治の季節」に突入した。経済合理性では考えられない事態が次々と起きている。これまで中国政府は政治と経済を明確に分け、経済発展を優先してきた。私も、今回の反日運動も一過性のものだと心配していなかった。
 しかし、今回の反日運動は、政治が経済に強力に踏み込んで来ている。私は、日中の領土問題も、最終的には経済的な問題だと認識していたが、それは経済的な発想に偏っていたのかもしれない。
 もし、本当に世界が「政治の季節」に突入したのだとすれば、最早、ビジネスも経済合理性だけで考えるべきではない。コストよりも安心安全である。安い商品を海外で大量生産するのではなく、高い商品を国内で少量生産するという選択肢も必要だろう。
 中国の経営者は、ビジネスに成功し、資産を増やすと、海外に資産を分散する。自分の子供は留学させ、自らも外国の居住権を取得する。つまり、彼らは自国の政府を完全には信じていないのだ。いつでも国外脱出できる準備を整えた上で、中国国内でビジネスを続けているのだ。
 日本企業の経営者も彼らに習うべきではないか。今回の反日運動も鎮静化するだろうが、これが一時的なものなのか、大きな変化の序章なのかは予断を許さない。
 私は、政治家ではなく、平和を愛するビジネスマンである。従って、今後も中国とは交流を深めていきたいと考えている。国や政府ではなく、個人的な交流を深めながら、相手を信頼し、契約によるビジネスを展開していくことを推進したい。
 一方で、東南アジアにも注視したい。国際資本の決断には逆らえないだろう。。私は生産拠点としての東南アジアより、市場としての東南アジアに興味がある。東南アジア諸国が経済発展するのは確実だし、人件費が高騰するのも目に見えている。中国ではできなかった、市場参入ができないだろうか。勿論、日本と東南アジア諸国がWIN-WINの関係になるビジネスモデルが基本だ。

*有料メルマガj-fashion journal(45)を紹介しています。本論文は、2012.10.8に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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