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November 04, 2012

Made in Japanを訴求するブランド j-fashion journal(31)

1.日本の技術を最終製品で訴求する

 日本生産の生地はコストが高い。世界中、どこに持って行っても生地だけで販売するのは困難である。生地だけで訴求できないならば、製品として訴求すればいい。生地よりは製品の方が価格も通り易いからだ。
 しかし、通常のファッションデザイナーはテキスタイルメーカーや縫製工場を公開しない。仕入れ先、加工先は重要な企業秘密である。それらを公開することは、競合他社に資することはあっても、自分のためにはならない。そのため、多くのラグジュアリーブランドはテキスタイルメーカーに対して、守秘義務を課している。テキスタイルメーカーは、有名ブランドに納品したことを言いたい。とても大きな宣伝効果が得られるからだ。しかし、言えないというジレンマを抱えている。
 それでも、生地の展示会等では、製品を展示している。生地だけを展示するのでは、製品になった時のイメージが伝わらないからだ。問題は、その製品サンプルが必ずしも魅力的ではないことだ。生地を形で見せる、というレベルに留まってしまうのである。コレクションで勝負しているようなデザイナーブランドの製品と比較しても、どうしても見劣りする。製品が見劣りしたのでは、テキスタイルに付加価値や高級イメージを与えることは難しい。

 これまでも、「Made in Japanをトータルで訴求しよう」という試みは行われている。日本最大のテキスタイル総合見本市「ジャパンクリエーション」でも、デザイナーとコラボしてファッションショーを開催した。また、クリエーション・ビジネス・フォーラム(CBF)では、テキスタイルメーカーとデザイナーがチームを組み、生地と共に製品を展示して、トータルな訴求を行った。しかし残念ながら、繊維関連の補助金がカットされると共に、この試みも姿を消してしまった。
 「日本の技術は素晴らしい」と言うが、その多くは素材、部品、加工技術であり、最終的な製品やブランドの訴求が弱い。しかし、日本には才能のあるファッションデザイナーは少なくないのだ。それなのに両者の間には大きな溝がある。その溝を埋める努力をしなければならないだろう。

2.海外市場をファッションデザイナーと共に開拓する

 一方で、日本のファッションデザイナーも伸び悩んでいる。日本人デザイナーが海外で評価されるには、カラーとシルエットの変化だけでは難しい。日本独特のテキスタイルがあってこそ、日本的なデザインとして評価される。
 しかし、日本国内市場だけを対象にしているデザイナーズブランドは、それほど大きな規模ではない。オリジナル素材を発注するだけの生産ロットに満たないケースが圧倒的に多いのだ。そのため、ファッションデザイナーは誰でも買える素材で勝負する。高級品を訴求することは難しく、どうしても若者を対象とした、なリアルクローズを志向することになる。当然、価格も抑えなければならず、そうなると日本国内生産の生地は使えない。
 一部には、小規模なテキスタイルメーカーと小規模なファッションデザイナーが相互に信頼を深め、比較的高価な独自の製品を発表しているケースもある。しかし、そうしたマッチングが仕組みとして整っているわけではない。あくまで個人の人間関係の中で構築されたものである。
 日本産の生地を海外で販売するには、デザイナーの助けが必要であり、デザイナーが海外で評価されるには、日本のテキスタイルが必要である。ここで発想の転換が必要になる。それなら、最初から両者が一体となって、海外市場に打ち出そうというのが、本企画の趣旨である。

3.ニューヨークでMade in Japanをプロモーションする

 具体的には、以下のようなプロジェクトである。
 長年、ニューヨークで活動してきた日本人デザイナーをクリエイティブディレクターとして、オリジナルブランドのメンズ製品をニューヨークで発表する。彼は、ニューヨーク市場のビジネスに精通しており、プレスやスタイリスト等との人脈もある。
 ニューヨークをステージとするのは、アメリカ市場には隙間が多く、ヨーロッパ市場よりも取り組み易いこと。レディスと比べて、メンズの方が生地、縫製等の技術を重視している。階層化が進んでいるため、不景気と言っても富裕層が存在すること。そして、日本市場よりもマーケティングしやすく、成功する可能性が高いこと。現在、日本のファッション業界があまり注目していないため、同種のプロジェクトとのバッティングが少ないこと。世界市場の中でニューヨークは確固たる位置を占めていること・・・等の理由からである。
 本プロジェクトのコンセプトは、デザイナーの作品を発表するのではなく、「Made in Japanをトータルで訴求する」ことにある。製品サンプルには、原糸メーカー、テキスタイルメーカー、染色加工場、縫製メーカー、付属メーカー、雑貨メーカー、デザイナー、パターンメーカー等を全て表示する。あるいは、ラベルにQRコード等をつけ、そこからWEB上で全てのサプライチェーンを確認できるようにする。
 デザイナーのコレクションの中に込められた日本の技術、日本のセンス、日本文化の遺伝子のようなものを「intel inside」のように訴求しようというものである。こうした試みは過去に例がなく、話題性もあると考えている。
 サンプル段階では、なるべくコストを掛けないようにする。原糸メーカーは糸を提供し、テキスタイルメーカーは生地を提供する。染色加工場は加工を行う。縫製工場はサンプルを縫製する。デザイナーはデザインを提供し、パターンナーはパターンを提供する。勿論、全てを無償という訳にはいかないだろうし、調整は必要だと思う。しかし、基本的な理念としては、サンプルは皆で経費を分担するということだ。その代わり、会社名等を公表する。
 本プロジェクトは、原糸メーカー、テキスタイルメーカー、染色加工場、縫製工場、デザイナー等がそれぞれ海外展示会に出展するよりも、はるかに顧客やバイヤーに与えるイメージが高く、効果的かつローコストのプロモーションができるだろう。
 イベントの経費、ショップに関わる経費については、各社が分担する。そして、現物製品へのオーダーが入り、入金した段階で、利益をシェアする、というのが基本的な考え方である。
 勿論、全く初期投資が必要ないわけではない。しかし、各社が通常の展示会に出展し、ブースを構え、担当者を出張、滞在させるよりも低コストなオペレーションになるはずだ。
 そして、ニューヨークで話題になれば、日本国内市場、アジア市場等への波及効果も期待できる。

4.こんな企業を結集したい!

 今回のチーム編成は、まずテキスタイルチームが重要な役割を担う。日本のテキスタイルは欧米でも評価が高いからだ。
 北陸の合繊テキスタイルメーカーと染色加工場。一部、タテ編み、丸編みのニットも。スポーティなコレクション、コート等を展開。日本のテキスタイルの特徴としてハイテク素材が上げられる。デジタルプリントも展開する。
 ウール産地である尾州の機屋。旧式の機械と技術者の技を融合。ビジネススーツではなく、よりモードを重視したコレクションなので、梳毛よりも紡毛。春夏は麻関連が中心となる。
 西脇、浜松の綿織物の産元、機屋。染色加工まで管理できる企業との取り組みになるだろう。主にシャツアイテムで展開する。
 備後のデニムメーカー。デニムも日本の強みである。製品洗いまでのオペレーションが必要になる。
 泉州の厚地コットン。主にカジュアルパンツ。春夏ならば、ジャケット、コート等の素材としても活用。
 桐生、米沢の合繊複合素材のジャカード機屋。メンズにはあまり使われていないが、それだけに差別化が可能である。
 桐生の刺しゅうメーカー。大胆でグラフィカルな刺しゅう、様々なテクニックの組み合わせはインパクトを与えることが可能だろう。
 次に縫製加工チーム。今回は、イージーオーダー、パターンオーダーのジャケット、パンツ、シャツの縫製メーカーと取り組みたいと考えている。アメリカ市場て最大の課題はサイズであり、日本ではリーズナブルなパターンオーダー、サイズオーダーもアメリカ市場の方が高級な打ち出しができるのではないか、と考えている。
 また、婦人服縫製であっても、設備、技術がしっかりしていれば、取り組んでみたい。
 ニッターのチーム。これは新潟の五泉、見附、あるいは泉州、あるいは都内のニッターと取り組みたい。
 カットソーは、都内墨田区のカットソーメーカーと取り組みたいと思う。
 この他に、バッグ、ベルト等の革製品、あるいはストール、スカーフ等の服飾雑貨も欲しいところだ。
 加えて、アメリカ市場に日本の風合いの良いタオルをぶつけてみたい。今治か泉州のタオル機屋になるだろう。
 かなりベテランのデザイナーといえども、以上のようなチームを編成するのは非常に難しい。私はジャパンクリエーション総合コーディネーター等の経験があり、ほぼ全国の繊維産地に知り合いがいる。だからこそ、構想できるプロジェクトとも言える。そして、ニューヨークで長年活動していたメンズデザイナーは、文化デザイン科の後輩でもある。正に、個人との出会い、産地との出会いが、今回のプロジェクトの基盤となっているのだ。
 産地、業種業態の枠を超えて、志がある企業の経営者と取り組んでみたいと考えている。最初は小規模に、次第に成長していくイメージで・・・。(現段階ではあくまで構想です)

*有料メルマガj-fashion journal(31)を紹介しています。本論文は、2012.7.2に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。
 

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