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November 04, 2012

さよなら、素人の時代! j-fashion journal(36)

1.時代はどんどん変化している

 製造業、職人が優遇された時代は、「モノ不足の時代」である。製造業が儲かる時代も「モノ不足の時代」だ。「モノ不足の時代」とは、需要が供給より大きな時代だ。戦後の日本はモノ不足だった。これは、需要が大きいわけではなく、供給機能が壊滅的に打撃を受けたからだ。
 戦後の混乱期に続き、朝鮮特需が契機となり、高度経済成長時代が到来する。この時代は消費市場が急激に拡大したために、相対的にモノ不足が続いた。つくれば売れる時代であり、メーカーが最も儲かった時代である。
 やがて、市場拡大期から安定期に向かう頃には、「モノ余りの時代」となった。過剰供給の時代であり、作っても売れない時代。「作ったものを売るのではなく、売れるモノを作れ」と言われた。当時は、「売れるものが分かる」ことに価値があった。メディアや広告代理店の発言権が強まった時代であり、ファッションではDCブランドのようなデザイナーやベンチャー企業が勢力を拡大した。

 そして、グローバル化の嵐が吹き荒れる時代が到来する。外資上陸、海外生産の時代がやってくる。繁華街の表通りは海外資本企業のショップが軒を連ね、ファッション雑誌には海外ブランドがあふれかえる。量販店や大型専門店には、中国製品が山と積まれる。
 最早、顧客の声を聞いて作れば売れる時代ではない。人件費の格差、為替という社会の構造的問題が原因なのだ。
 高級品は欧米からの輸入品、実用品は中国生産の激安商品。日本国内メーカーが国内市場で戦うには、それらの隙間で勝負する時代となった。
 しかし、更に時代は変化している。「どこで生産するか」「いかに製造原価を下げるか」という「アナログの時代」から、インターネットショップのように、トータルな流通コストが劇的に下がる「デジタルな時代」への転換である。
 そして、中国の人件費が上昇し、中国企業も輸出から内需への転換を目指す時代が到来している。更に、時代は変化を続けていくのだ。

2.アウトソーシング依存と社内改革の遅れ

 こうした時代の変化の波に、サーフィンのように乗りこなせる企業は少ない。なぜなら、必ずその前の時代の成功体験を持っているからだ。戦後の混乱期は勘と度胸で勝負をする時代だった。作れば売れるのだから、多少の間違いは取り返せる。それより、決断力とスピードが勝負だ。
 しかし、供給体制が整い、競争が激化すると、勘と度胸では勝てなくなる。そして、勘と度胸の経営者は次の時代には素人になってしまうのだ。
 競争の激化に対応するには、いかにメディアへの露出を高めるか、という戦略が必要になる。この時代に台頭したDCアパレルは、外部のショップデザイナー、グラフィックデザイナー、雑誌出版社等との連携により成長した。そういう人脈を持つことがノウハウでもあった。
 やがて、グローバル化が進み、円高になると、海外生産管理、海外市場マーケティングが必要になった。アパレル企業は、内部を固めるよりも、商社、商社傘下の企画会社等を活用して、その機能を補った。そのことで、素材や縫製に精通した人材がアパレル企業から失われていった。
 プロモーションの手段や、メディアがインターネット中心になるにつれ、旧時代のノウハウは陳腐化していった。インターネット時代になると、それ以前のアパレルビジネスの常識が通用しなくなる。つまり、素人になってしまうのだ。
 ここで問題が生じている。経営者自身が国際化、ICT化の波に追いつけないケースが増えていることだ。問題を正確に理解できないので、会社の組織、社員の構成を改革することもできない。重要な業務はアウトソーシングに依存し、会社内部に無駄な人材を抱えているのでは、競争力を失うのは当然である。
 こういう時に海外企業ならば、将来性のない事業部門を廃止し、有望な事業に転換する。いわゆるリストラを進める。あるいは、企業買収によって新しい部門を強化するだろう。
 これらの対策が打てなければ淘汰を待つしかない。これで新しいベンチャー企業が生まれれば、日本国内で健全な新陳代謝が行われていると言っていい。
 問題は、既存企業が有効な手段を講じていないことである。リストラもM&Aも進んでいるようには見えない。しかも、ベンチャー企業の設立も活発とは言えない。ベンチャーを育成するのではなく、むしろ、海外ブランドのライセンスや、海外ベンチャー企業への投資を考えている企業が多い。
 こうなると、既に結果は見えている。国内での世代交代ではなく、海外企業に世代交代してしまう可能性が大きい。

3.若い世代の日本人と外国人を正社員に

 前時代のノウハウは通用しなくなり、前時代の人材は素人化してしまう。それでも、大企業の社員は危機感を感じていない。日本の常識では、正社員は総合職であり、専門職でなくてもいい、と考えているからだ。つまり、元々素人でいい、と開き直っているのである。しかし、アメリカでは、経営者もプロフェッショナルな人材を登用するようになっている。企画、営業、経理等も勿論同様であり、プロフェッショナルであることが求められる。
 現在の企業がうまく機能しないのは、素人が運営しているからだ。そして、国際化とICT化が課題の現場もまた、素人集団が牛耳っている。仕事のできない集団が仕事を独占し、仕事のできる人材を登用しない。あるいは、仕事のできるプロを安く買いたたき、仕事のできない正社員が高い給料を独占している。
 そして、会議になると、こうした素人集団に分かり易い説明が求められる。当然、複雑なことは分からないので、問題を簡略化する。しかし、時代は複雑化しているのだ。単純化して分かり易いことが良いとは限らない。
 分かり易い戦略が良いというのは、プロ同士で議論している場合である。たとえばインターネットの知識のない役員に、インターネットを活用した経営戦略を分かり易く説明することができるだろうか。デザインの基本さえ理解していな歩経営者にデザイン戦略を説明して分かるのだろうか。もし、分かると思っているのなら、それは錯覚だ。プロフェッショナルの世界はそれほど甘くはない。
 本当は皆、分かっているのだ。自分が時代の変化に対応していないことを。時代の変化を理解できないことを。それでも、生活防衛のために既得権を死守している。しかし、それも限界だろう。私は素人の既得権を全て奪おうなどと思っていない。ワークシェアリングでいいから、若い世代の日本人と外国人を正社員として登用して欲しいのだ。少なくとも、若い世代はICT化を理解している。そして、同世代の外国人社員とミックスすることで、自然と国際化も身につけていくだろう。
 国際化に対応するとは、海外の展示会に出展することではない。商社を通じて海外市場で販売することでもない。企業自らが国際化することである。ICT化も同様だ。アウトソーシングでネットショップを始めるのではなく、ICTを日常的に使いこなす人材を経営の意思決定に参加させることが必要なのである。

*有料メルマガj-fashion journal(36)を紹介しています。本論文は、2012.8.6に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。
 

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