My Photo

お知らせ

無料ブログはココログ

« プロデザイナー育成カリキュラム j-fashion journal(34) | Main | さよなら、素人の時代! j-fashion journal(36) »

November 04, 2012

デジタル時代の新FBモデルの提案 j-fashion journal(35)

1.モノを買わないデジタル世代

 若い世代を中心に、リアルな生活がアナログからデジタルに転換されようとしている。
 最近の若い世代はモノを買わない。
 まず、リアルな異性に興味がない。勿論、全てが異性に興味がないわけがない。しかし、少なくともそれ以前の世代よりも、異性に対する関心は希薄になっているように感じる。一部の若い男性は「3次元の女性は面倒くさい」「セックスは不潔だ」と考えているというが、少なくともこうした発言がごく一部の異常な性癖と限定できないところまで来ているのではないか。
 我々が若い頃は、全ての消費や行動は「異性にモテる」ことにつながっていたように思う。
 また、「大人への憧れ」もあった。最初から酒やタバコを美味しいと思う人は少ないだろうが、粋がって大人の真似をしていた。それは、大人になれば、自立できるという憧れにつながっていたように思う。終身雇用の時代は、大人になれば、就職して、経済的に自立することが約束されていた。そして、結婚して、マイホームを持つという人生設計が可能だった。だから、大人への憧れが存在していたのだ。

 しかし、現在の若者は、大人に搾取されていると感じている。大人は既得権にしがみつき、若者の雇用を奪っている。大人は若い世代から年金を搾り取り、若い世代が年金を受け取る頃には、制度が破綻しているか、受取額が極端に減少しているに違いない。大人は憧れの対象ではなく敵なのだ。そんな大人に憧れを抱く若者は少ないだろう。
 と言うより、派遣社員やアルバイトしか職がなければ、結婚したくてもできない。というよりデートする余裕もない。
 様々な要因は考えられるが、結果的に、車も欲しがらず、自動車免許も取らない。酒もタバコもやらない。ファッションにも、グルメにも興味がない、という世代が形成されつつある。
 同時に、この世代はデジタル世代でもある。アナログなことに興味がない代わりに、最新のスマホ、タブレット端末、ゲーム機等には強い興味と購買意欲を持っている。ある意味、ほとんどの時間をデジタル空間で過ごしているといってもいいかもしれない。アナログな世界よりも、デジタルな世界がリアルなのである。
 新聞も取らないし、マンガや週刊誌も読まない。そして、買物もほとんどがネットで用が足りる。確実に、そんな時代が到来するだろうし、今の若い世代はそうしたデジタル生活スタイルの先駆者なのだ。

2.デジタルな検索を基本としたマーケティング

 ファッションビジネスは、生活者のライフスタイルによって変化する。その意味では、デジタル世代の出現は大きなインパクトを持っていると言えよう。
 我々の世代は、アナログの世界でファッションビジネスを展開してきた。従って、全ての発想はアナログからスタートしている。インターネットが普及し、ネットショップが普及してからも、我々はリアルな店舗をバーチャル空間の中で再現しようと努力してきた。
 アナログな世界では、ブランドを表現するために、ショップ空間を利用した。ショップのデザイン様式、カラー、素材(大理石、木材、ガラス、金属等)、デザイン等により、ブランドの世界を顧客に体感させた。店内に入った瞬間に、ブランドイメージを感じてもらうための仕掛けである。
 また、顧客を店に誘導して、購買行動を起こさせるための段階的な戦略も存在した。広告宣伝によって、ブランドイメージを訴求する。同時に、顧客に店の存在を知らせ、店の前まで誘導する。店の前の顧客に対して、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)により視覚的に店内に誘導し、商品を選択させる。そして、接客販売により、購買の意思決定をさせる。こうした膨大な情報の中から、次第に情報を絞り込み、メディアと視覚的情報、接客サービスのようなアナログのプロセスを経て、購買行動まで誘導するという戦略もアナログの世界のものである。ブランドイメージを訴求するために、豪華なインテリアの旗艦店を設置するのも、コーディネートを考えた商品構成をするのも、アナログな世界の手法に他ならないのである。
 しかし、「デジタルな検索」は、少しずつ絞り込むというアナログの手法にはない。いきなり単品にヒットするのであれば、豪華なショップデザイン、広告宣伝、接客販売も飛び越してしまうだろう。
 その代わり、WEBデザイン、SNSによる情報発信、ユーザーの評価、分厚い情報の蓄積等が求められる。ある意味で、アナログの世界以上のノウハウと技術が必要なのかもしれない。しかし、それらはアナログの世界をそのままデジタルに移行することではないはずだ。アナログを基本に考えるのではなく、デジタルを基本に考えた手法が必要に違いない。逆に言えば、店舗デザイン、販売方法、商品MD、商品デザイン等も、デジタルを基本に再構成しなければならないのではないか。

3.デジタル時代のプレゼンテーション、ショップ、商品デザイン

 ファッションショーやコレクションのあり方もデジタルを基本に考えるべきである。ファッションショーとは莫大な経費を掛けて、モデルに服を着せて、プレゼンテーションする形式である。確かに、選び抜かれたモデルは美しく、ブランドイメージを訴求するには有効な手段である。しかし、一方で実際に服を着用する顧客はモデルのような体型ではない。また、モデルの写真でブランドイメージを訴求しなくても、デジタルを基本に考えるならば、デジタルな映像を駆使した訴求方法も考えられるのではないか。明確なシーズンテーマがあるのなら、それを映画のようなストーリーで見せてもいいだろう。また、音楽のプロモーションビデオのような作品で見せることもできるのではないか。もし、作品のディティールが見たいのならば、ボディに着せた写真等を添付しておけばいい。
 展示会についても、インターネットで受発注できるのだから、わざわざ展示会場まで足を運ぶ必要はないだろう。勿論、直接的なコミュニケーションも重要だが、それは他の方法で代替えすることも可能なのではないか。
 たとえば、ネット上ならば、年間12回のコレクションを行うことも可能だろう。たとえば、世界の代表的な都市にサンプルを展示し、インターネット上の動画、画像、解説と併用して、受注を取る。最低生産ロットを明示し、その数量に満たなければ生産中止とする。
 デジタル時代のショップは、アナログ時代のように豪華なインテリアを必要としない。シンプルな空間にモニターとサンプルが並んでいるだけだ。しかし、モニター上には美しい動画が流れている。この店に入店するとタブレット端末を渡される。そこには、それぞれの商品の詳細なデータが紹介される。勿論、アプリケーションをダウンロードすれば、スマホやタブレットでも同様の情報が見られるようにする。そこから発注できるのだ。私は、デザイナーブランドは、全て受注生産で良いのではないか、と考えている。無駄な作品をつくらずに、セールも行わない。大量生産のファストファッションとは一線を画したいのだ。
 商品デザインもデジタル化と共に変化していくだろう。これまでの商品はブランドショップで販売されていた。そのため、ショップ全体の視覚的調和が考慮されていた。また、一つのブランドでトータルコーディネートすることを前提にデザインされていた。しかし、デジタル時代は、既にファストファッションや安価なカジュアルウェアが存在することを前提に考える必要がある。
 ここで求められるデザインは、ベーシックな安価なカジュアルアイテムにプラスすることで、個性を表現できるようなデザインである。ある意味で、アナログ時代に服よりは過剰な装飾や、多くの情報が盛り込まれることになるのではないだろうか。
 コンピュータが持つ機能は、大量生産とは正反対なものである。同じ商品を大量につくるのではなく、カスタマイズが可能になるのだ。即ち、コレシクョンの段階で、いくつかのオプションを選択することも可能である。同じシャツでも豪華な刺しゅうを入れたり、クリスタルビーズを埋めつくすことかできる。
 サイズ展開も、サイズオーダーも受け付ける。そのためには、会員制にして、顧客データベースを構築するのもいいだろう。オートクチュールのメゾンには、顧客のボディが並んでいたが、デジタル時代のメゾンは顧客のサイズデータベースである。オーダーを受けた段階で自動的にジャストフィットのサイズで制作された商品が届くというイメージである。
 デジタル技術は発達しても、それに対応したコンテンツやビジネスモデルが追いついていない。特に繊維ファッションビジネスにおいては、歴史のある産業だけに変化が難しい。
 しかし、ファッションとは時代と共に変化するべき分野であり、常に時代と共に変化するべきである。
 私はこの構想を実現すべく、動いていきたいと考えている。

*有料メルマガj-fashion journal(35)を紹介しています。本論文は、2012.7.30に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。
 

« プロデザイナー育成カリキュラム j-fashion journal(34) | Main | さよなら、素人の時代! j-fashion journal(36) »

「ファッションビジネス」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

« プロデザイナー育成カリキュラム j-fashion journal(34) | Main | さよなら、素人の時代! j-fashion journal(36) »