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August 19, 2012

中国内販ビジネス・ワークショップ j-fashion journal(25)

「中国内販ビジネス・ワークショップ」

1.中国内販ビジネスで悩まない企業はない
 人口減少社会、デフレスパイラルの日本市場では成長の可能性が少ない。隣国、中国は多少成長に陰りが見えているものの、成長基調にあることは変わりない。既に、中国の富裕層は日本の人口を超えている。「これからは中国市場だ!」という威勢のいい掛け声に踊らされ、中国に進出したものの、いつまで経っても利益が上らず、結局、撤退する企業が後を絶たない。また、短期的に成功したかに見えた企業が、数年後に突然撤退を発表することもある。
 現在、日本の繊維ファッション関連企業で中国に関して、課題を抱えていない企業はないだろう。まず、安定した生産基地だと思っていたのに、人件費はジワジワと上昇している。ようやく日本市場に対応できたのに、また生産基地を移転させなければならない。しかし、東南アジア諸国も技術移転が終わる頃には人件費が上昇しているだろう。

 未だ中国市場に参入していない企業は「参入すべきか」悩んでいる。中国市場に参入しても必ず成功するという保証はない。しかし、国内に留まっていてもジリ貧だ。進出するにも、どのように進出すればいいのか。
 それ以前に、中国市場で自社製品が売れるのか、も分からない。それでは、まず展示会に出展して様子を見てみよう。
 中国の展示会に出展した企業も悩んでいる。中国の展示会に出展すると、来場者は多く、褒めてくれる人も多い。山ほどの名刺は集まるが、どのように反応していいのか分からない。展示会出展は継続しなければ意味がないと言われているので、ダラダラと継続出展しているが、なかなか本格的なビジネスにはならない。このままでは埒があかない。中国でビジネスをするには、現地法人が必要だと聞くので、とりあえず現地法人を設立しよう、となる。
 現地法人を設立した企業も悩んでいる。企業を設立しても、ビジネスが向こうから来るわけではない。あらゆることに許認可が必要であり、言葉の壁もあって日本人では対応できない。現地社員を雇用しても、1年程度で辞めてしまう。経費は着実に掛かるが、利益は上らない。このまま赤字を続けていいのか、悩んでいる。
 勿論、成功している企業もある。多くは、現地パートナーに恵まれた企業だ。中国市場全体としては、経済成長が続いているので、うまく波に乗れば市場と共に成長していくことも可能だ。
 それでも、現地で働く人にとって、毎日が驚きの連続だろう。それは日本の本社に言っても分かってもらえない。言っても分からないから言わなくなる。言わないから、ますます本社と現地との溝が深まっていく。順調そうにみえても、どこかでトラブルは発生するものだ。問題が発生すると、本社と現地法人の溝が判断を誤らせる。そして、問題はこじれていくのだ。
 多分、ここまでの話の中で、ほとんどの企業は「うちのことを言っているのではないか」と思ったのではないか。それほど、どの企業でも悩んでいるのである。

2.中国ビジネスの問題を共有する
 中国ビジネスにおいて、多くの企業に共通する課題がある。それは中国人と日本人の根本的な考え方の違いが理解できていないこと。中国のビジネスと日本のビジネスでは、根本的に発想が異なること。中国の企業と、日本の企業では、性質が異なること。個人も企業もビジネスも発想が異なるので、日本の尺度で計ると、全てがおかしいということになる。しかし、日本人がおかしいと思っても、中国ではそれが一般的なのだ。
 もう一つ重要な問題は、トラブルに直面した時に相談できる人がいないということだ。現地法人の悩みの多くは、この日本と中国の違いにある。しかし、日本本社の上司や役員は、日本のことしか分からないし、中国独特の問題に直面したこともないので、相談してもまともな回答が返ってこない。
 多くの日本人は、中国に親類や信頼できる友人がいないので、相談できる中国人もいない。というよりも、トラブルを経験しているうちに、次第に中国人を信用できなくなり、中国人が嫌いになる。従って、中国人の部下も信用することができず、相談できない。それでも、中国語ができれば、ネット上で様々な情報を収集することができるはずだが、多くの駐在員は中国語を話したり書いたりできない。結局、日本人の同僚や他社の現地駐在員などに相談する。しかし、彼らもまた中国人の発想や中国ビジネスの性格を理解していないので、愚痴をこぼし合うのが関の山だ。こうして次第に鬱になっていくのである。冗談ではなく、中国駐在で鬱になったり、ストレスのために病気になる人は少なくないのだ。
 ワークショップでは、まず中国ビジネスを担当している人から、現状の課題や悩みを聞くことになるだろう。大きな会社ならば、グループ企業の中国担当者に集まってもらい、問題を共有することも有効である。また、同じ会社でも、様々な部署で中国に関わっているならば、その人達にワークショップに参加してもらい、情報を共有する。中国問題では、誰にも相談できず、悶々としている人は少なくない。ワークショップという形でそれを吐き出してもらうだけでも、様々な課題が浮き彫りになるはずである。

3.中国人の発想で問題を分析する
 ワークショップの目的は、直面する問題点を正確に理解して、冷静な判断を下すことである。多くの人は、自分が抱えている問題を解決不能であると決めつけている場合が多い。自分はベテランであり、自分が解決できない問題を他人が解決できるはずがないという、プライドが邪魔をして、素直に話を聞けない場合もあるだろう。また、自らで様々な制約を設けている場合も少なくない。自分の立場ではこれ以上のことはできない、と決めつけてしまうのである。
 日本社会は協調社会であり、互いのテリトリーを侵すことを嫌う。従って、自分の範囲を明確に設定する。「うちはメーカーだから」「うちは卸しだから」「うちは商社だから」「うちは量販だから」と会社の業務範囲を日本国内と同様に考えるのが普通だ。しかし、中国は日本のように流通が成熟していないので、なんでも自社でやらなければならないことが多い。某中国のエステティック関連企業は、エステティックサロンで働く人のための学校を設立し、そこで販売するために化粧品メーカーを買収している。一つの事業をきっかけに積極的に多角化し、成長するのである。
 日本人は本業以外の多角化には消極的だ。むしろ、バブル崩壊以降は本業回帰が合言葉である。しかし、中国人経営者は一つの事業にこだわることはリスキーだと考える。全く異なる事業分野の企業を経営することがリスク分散だと考えるのである。
 日本のビジネスは企業組織を中心に考える。しかし、中国では企業は個人が利益を得るための装置に過ぎない。ビジネスは個人のためにあると考えている。
 こうした違いを一つ一つチェックしながら、自分達が直面しているビジネスの課題を考え直してみる。中国人の発想を解説しながら、問題を分析するのは、ファシリテーターが中心となり、参加者の意見を引き出し、自分達で問題を発見することが重要だ。自分達が問題点を発見すれば、自分達が対策を考えることにつながる。それが、自発的なアクションプログラムにつながるのである。
 ここで重要なのはファシリテーターである。中国と日本の双方のことを熟知していて、日本の立場に立つことができる人が望ましい。中国人をファシリテーターにすることも考えられるが、優秀な中国人ほど、自分の意見を滔々と述べる傾向があり、日本人の参加者から不興をかうことも少なくない。ファシリテーターはあくまで自分の意見を言うのではなく、参加者から意見を引き出し、正しい方向に導くのが役割だ。中国人スタッフには、オブザーバーとして必要な時に適切な意見を出してもらうという役割が望ましいかもしれない。

4.中国ビジネス課題解決と人材育成を「ワークショップ」で
 現在の日本企業、特に繊維ファッション関連企業で中国と付き合いのないというところは少ないだろう。ほとんどが何らかの関わりを持ち、何らかの課題や悩みを抱えているはずである。
 しかし、中国問題をトータルに解決しようという部署はないはずだ。また、中国の事情に詳しい人材を揃えて、社内に「中国ビジネス相談室」を設置しているというケースも聞いたことはない。皆、個別に悩み、個別に課題に取り組んでいるのである。
 それならば、ここで述べたようなワークショップを設置してはどうだろうか。原則的に月一回の中国ビジネス連絡会を開催する。しかし、それぞれが単純に課題を報告し合っても、そこで解決策が示されることはほとんどないはずだ。また、担当者が「気付き」を得ることもないだろう。おそらく、「困ったな。まぁ、何とか全力を尽くして解決してくれ」と言われるだけだ。
 そこで、ワークショップ形式の連絡会とする。目的は、①情報共有と解決するための「気付き」を得ること、②中国ビジネスに精通した人材を育成することである。ある意味では、中国ビジネスのOJTプログラムとも言える。
 こうした会議は前例がないだろうが、中国ビジネスで直面する課題もほとんど前例がないのだから、前例のない問題を前例のない方法で解決するというのは合理的なのかもしれない。
 とりあえず、これを半年継続してみよう。最初はぎこちなく、半信半疑でスタートするに違いない。しかし、次第に中国ビジネスの課題を共有し、少なくとも理解はできるようになるはずである。問題は、それから会社や担当者がどのように変わるかである。
 中国ビジネスで重要なことは、中国を変えようとしないことである。日本の一企業が中国を変えることはできない。できるのは、自らが変わることである。そのためのワークショップであると考えていただきたい。

*有料メルマガj-fashion journal(25)を2カ月遅れで紹介しています。本論文は、2012.5.21に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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