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August 19, 2012

中小企業の課題抽出&解決ワークショップ j-fashion journal(24)

「中小企業の課題抽出&解決ワークショップ」

1.どんな会社にも課題はある
 私はこれまで日本の繊維政策への提言、産地活性化への提言、業界や産地のビジョン作り等、数多く経験してきた。そのため、日本の繊維産業、アパレル産業、流通、百貨店等のマクロ的な課題は頭の中に整理されている。
 繊維ファッション産業だけでなく、日本全体が大きな時代の転換点を迎えており、この巨大な潮流を無視することはできない。それは、大企業だけでなく、中小企業、零細企業、私のような個人企業も同様だ。
 たとえば、和装業界は、きもの着用人口の減少が大きな課題である。一方で、流通の問題も大きいし、古着市場が生まれたことも大きく影響している。七五三、卒業式、成人式等の需要は、写真スタジオが大きな影響力を持ちつつある。また、店頭購入するよりも、ネット購入が増えている。

 和装業界も、生活者のライフスタイル変化、中国生産による価格下落、古着市場の誕生、インターネット販売の影響を受けている。しかし、保守本流の企業経営者は、過去の時代に生きている。現在の問題点をリアルに感じることができず、有効な手段が打てない。
 国際化という課題一つ取っても、中国生産を活用している企業と、国内生産だけの企業では、ビジネスの発想が大きく異なる。インターネット販売をしている企業と、既存流通に依存している企業もまた、全く別のものを見ている。
 我々は、同じ時代に生きているが、実は全く異なる風景を見て、全く異なることを考えている。「時代の変化に対応した発想の転換を」というのは易しいが、過去に成功体験を持つ中高年に発想の転換を求めるのは困難だ。発想が転換できないのなら、新しい発想を持つ人材を活用すれば良いのだが、人材活用するにも共通言語が必要である。しかし、世代間ギャップ、インターネットやデジタルに対する知識や情報のギャップは取り返しのつかないところまで拡大している。
 一般の会社でも、社内の若い社員と中高年の管理職が、腹を割って話し合う機会はほとんどないだろう。あまりにも知識のギャップがあり過ぎて、話が通じないのだ。中高年が若年世代に話を合わせることは不可能であり、若年世代が中高年に話を合わせるしか、コミュニケーションが成立しない。過去の常識の中でしかコミュニケーションが成立しないのでは、新しい時代への対応は難しい。
 多くの企業は、国際化対応、デジタル対応ができていない。というより、そうした変化に基づく自社独自のミッション、戦略を立案することができない。自社の事業領域も過去を踏襲しているに過ぎない。
 日本型流通の特徴である大企業の系列、あるいは、問屋流通の中では、絶えず相手から課題が要求された。多くの中小企業は、その課題を解決すれば良かった。経営とは、労務管理や売上在庫管理のことであり、経営戦略とは無縁だった。ある意味では「経営者」ではなく、巨大な系列の中の「工場長」だったのである。
 現在は、系列構造、問屋流通の一部が崩壊し、課題を出してくれる相手が消失している。「何をやるべきか」指図してくれる相手もいないし、「どのようにやればいいのか」を指導してくれる相手もいない。全てを経営者が考えなければならない。そのため、新しい事業に挑戦したり、会社のシステムを変革することなく、旧来のまま事業を継続し、じり貧になって廃業、倒産するというケースが非常に多い。
 方向性を見失った経営者と共通言語を持たない社員が集まり、旧来のシステムで運営されている会社。現代の日本は、そんな会社が大多数だ。問題がないと感じているとしたら、問題を考えないようにしているに過ぎない。あるいは、問題がどこにあるのかが分からないのだ。

2.何をするべきか?ゴールをどこに設定するのか?
 「本質的な問題はどこにあるのか」が分からなくても、現状の仕事でさえ課題は山積みである。従って、私も目先の課題の解決を依頼されることが多い。しかし、根本的な課題を残しておいたのでは、目先の課題さえも解決しない。解決しないどころか、どんどん新たな課題が生まれ、パニックに陥ってしまう。
 会社の課題で、最も重要なのは、経営者の意識改革である。それには、現状の根本的な課題を理解しなければならない。そして、ゴール目標を設定することが必要だ。これが全ての始まりである。
 次に、社員全員が共通認識を持たなければならない。共通認識とは、全く同じことを考えることではない。世代もスキルも能力も異なる社員が、全く同じ発想を持ち、判断するのは不可能である。共通のゴール目標を持ち、それぞれの立場でやるべきことを理解することが重要なのだ。
 そして、どんな些細な業務であっても、それが全体の中では欠かすことのできない重要なことであることを共通認識し、互いの存在を尊重することだ。
 そして、それぞれの部署の、それぞれのスタッフが課題を発見し、それぞれが判断して課題を解決しなければならない。情報システムに例えると、クライアント・サーバー型であり、分散処理である。分散処理を行うためには、現場で演算処理ができる高性能のPCのような「人材」が必要になるのだ。
 もし、日本企業も欧米企業のようにスーパーコンピュータのような優秀な人材をトップを迎え、全ての意思決定をトップに集中させ、トップダウンで指示が出せるのならば、分散処理は必要ないのかもしれない。しかし、これが実現するのはニッサンのように外国人の社長を迎える場合に限定されるだろう。
 いずれにしても、どんな零細企業であろうとも、情報化と国際化により業務は複雑になっている。そして、意思決定のためには膨大な情報処理が必要であり、意思決定のスピードが求められる。スーパーコンピュータが使えないならば、小さいコンピュータを沢山集め並列処理するしかない。
 チームワークが重要なのは、昔も今も変わらないが、野球のように監督の命令に忠実にプレーできる選手ではなく、サッカーのようにピッチの上で自分のセンスで主体的に行動できる選手が求められているのである。

3.マネジメント過剰からの脱却
 多くの企業は、派閥があり、確執や対立がある。社内政治に熱心なあまり、会社全体がきしんでいるケースも多い。最も問題なのは、無駄なことに熱中して、肝心なことを軽視していることである。
 無駄な会議はその最たるものだ。無駄な会議が一つあると、そのために時間が失われ、会議の資料作りのために莫大な時間と労力が費やされる。しかし、それが商品やサービスにとって重要なことなのか、顧客の満足につながるか、が問題だ。無駄な会議をなくし、少人数の打ち合わせを頻繁に行った方が効率は良い。 そもそも大きな会議というのは、報告会か独演会になりがちである。情報の伝達ならば資料を配布すれば良いし、グループウェアがあれば、共有ファイルに入れておけばいい。予算の進行をチェックしたければ、いつでもチェックできるような情報システムを組めば良いし、それに対するコメントも社内メールで済むだろう。
 日本企業の会議の多くは、リスク分散と責任分散が目的である。自分だけで判断すると自分の責任になる。しかし、会議で決定したことは、会議の出席メンバー全員の責任になる。
 海外企業は個人の業務範囲と責任は明確に設定されており、実績と報酬はしっかりとリンクしている。リスク分散と責任分散はできない仕組みになっているのだ。海外企業の会議は、良いアイディアを出すために、異なる能力をもった人が議論することを目的としている。しかし、日本の会議で本格的に議論することは稀である。
 昔は、本格的な議論は会社帰りに居酒屋などに立ち寄り、酒を飲みながら行っていた。そこでオフィシャルなこともプライベートなことも話し合い、相互信頼を高めていたのである。
 しかし、会社帰りの一杯という習慣は消えようとしている。接待費等の条件が厳しくなり、若手社員はそもそもアルコールを飲まない。本音の議論の場はなくなったが、会社の会議は昔のままである。これではコミュニケーションさえ取れない。
 しかも、10年以上の就職氷河期とリストラにより、若手社員の会社への帰属意識も変化している。マネジメントは給料の高い管理職が行うべきであり、給料の低い我々が難しい経営問題など考える必要はないと思っているのだ。しかし、経営トップの意識が変わったわけでもないし、スーパーコンピュータのような人材をスカウトしたわけでもない。結果的に、正しい判断をする仕組みだけが崩壊してしまったのである。
 誰も決断しないし、改革もしない。しかし、問題点だけは指摘する。そして、細かなルールが定められ、スケジュール管理が厳しくなる。あらゆる業務がチェックされ、チェックするための大量の資料を作成し、そのための会議が増える。しかし、肝心なことは何も変わらない。最終的には、人材がいないからできないと言い出す。そして、アウトソーシングを考える。当然、経費は増える。そして競争力は失われていく。悪循環である。

4.悪循環を断ち切るためのワークショップ
 こうした悪循環を断ち切るには、二つのことが必要になる。くり返しになるが、第一は、経営者が現状を正しく認識することである。自分の会社を取り巻く環境はどのように変化しているのか。その変化により、自社の業務領域はどのように設定すべきか。長期的に、中期的に、短期的に考えなければならない。
 その上で、社内の組織、役割分担、業務フロー、意思決定システムを見直すことが必要である。
 そうした分析ができる人材はいるのか?改革に必要なアイディアを出すことはできるのか?それを実行することはできるのか?
 多くの場合、「人材はいない」ということになるだろう。なぜなら、そんなことを考えたことはないし、それが仕事だと思ったこともない。自分に責任がないことに対して「知恵を出せ」と言っても、出るはずはないのだ。
 ここまでの作業は、コンサルティングの範疇に入るだろう。しかし、ここからは、ワークショップの範疇である。
 私が期待するのは、社員の潜在能力である。男性社員の影に隠れている現場の女性社員が本質を言い当てることは珍しくない。しかし、おそらく周囲の男性社員は聞く耳を持たないだろう。何度か、提案してもその反応がなければ、誰でもモチベーションが下がってしまう。そして、そんなことは「私が考えるべきことではない」と諦めてしまうのだ。
 また、常日頃は問題の本質に目を背け、考えないようにしている人も少なくない。そういう社員を対象に、問題の本質を理解させ、自分の頭で問題解決しようという気持ちを起こさせることが重要である。そのためのワークショップを定期的に開催する。
 私のような外部の人間がファシリテイターを務めるのも有効だろう。会社の内容を知らないから勝手なことが言えるからだ。そして、あくまで例えばの話として、あるいは仕事とは関係のない研修のような雰囲気の中で、実際には生生しい問題をテーマに話し合っていく。
 最終的に会社を変えるのは社員である。社員の意識が変わらない限り、例え、私が講師となって企業の課題や問題解決の方法をどんなに説いても、他人事のように聞くだけなら何も変わらないのだ。しかし、社員の意識やコミュニケーションが少しでも改善されれば、会社の雰囲気は大きく変わっていくだろう。
 私がイメージする中小企業改善プログラムはこんなイメージだ。
 例えば、経営者と1時間ほど経営課題と話し合う。その後、社員を20名ほどのグループに分けて、2時間ほどワークショップを行う。その感想、質問をメールすることを宿題とする。そして、ワークショップ終了後、再び経営者と1時間ほどワークショップの結果を踏まえて話し合う。
 1カ月に1回これを行い、半年続ける。おそらく、会社の課題は明らかになり、それを解決するヒントが出され、改革するためのチームが生まれるはずである。これが最初のワークショップのゴール目標であり、半年のワークショップの最後には、次の半年の目標を定めていく。経営者のみなさま、いかがでしょうか?

*有料メルマガj-fashion journal(24)を2カ月遅れで紹介しています。本論文は、2012.5.14に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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