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July 08, 2012

ワークショップとファシリテーション、第一歩 j-fashion journal(21)

「ワークショップとファシリテーション、第一歩」

1.原稿執筆、講演、セミナー、パネルディスカッション
 僕が講演やセミナーをやるようになったのは、業界雑誌、業界新聞にファッションビジネスに関する原稿を書くようになったからだ。モヤモヤした考えを文字に書くと、それなりに頭が整理される。そうすると話ができるようになる。雑誌や新聞に寄稿すると、講演の依頼が来る。原稿を書くより、しゃべる方が楽だし、報酬も高い。これはやるしかないでしょう、というわけだ。
 人前で話すのも訓練なので、次第に慣れてくる。そうなると、今度は話しながら、考えるようになり、アドリブができるようになる。
 元々、書くという作業も書きながら考えをまとめているのであって、考えをまとめたいから書いているところもある。従って、僕が書くものは卒業論文や学術論文のように文献を引用することはほとんどない。他人の書いた文献を写している時間が勿体ないし、それよりも自分の考えを書きたいと思ってしまう。

 自分の考えをまとめたいから書き、それを話したいから話す。しかし、書いている時には、常に読者のことを考えている。原稿料を頂いて寄稿するからには、読者に通じなければ意味がない。読者に分かり易いように書く。そういう意味で、僕の文章は学者的ではなく、ジャーナリスト的だと思っている。
 講演やセミナーで話している時も、基本は話したいから話しているのだが、聴衆が理解しているかは気になる。分からない表情をしていれば、手を替え品を替え説明する。
 これまでは、それで満足していた。分かる人に分かればいいし、分からない人は仕方がない、と切り捨てていたのだ。そういう意味では独善的だったんだと思う。
 講師となって一人でしゃべるのも面白いのだが、パネルディスカッションのコーディネーターの仕事も好きだ。何よりも他人の意見を聞くことができるし、質問もできる。講師は、自分の考えを話すので、新しい発見は少ないが、パネルディスカッションは様々な人の意見を間近で聞くことができるので楽しい。聴衆以上に勉強になるし、多分コーディネーターが一番楽しんでいるのではないか。気にするのは時間配分だけである。
 だから、本当は原稿を書くよりも、編集の仕事が好きなのかもしれない。しかし、自分が発行人にならない限り、他人に原稿を依頼し、それを編集する機会は少ない。書きたければ、自分で書くしかないのだ。
 講演やセミナーも同様である。本当は何人か、バネリストを集めて、コーディネーターをやりたいのだが、それには予算もかかるし、交渉をしなければならない。自分一人で話した方が準備が楽なのだ。
 しかし、一人で行う作業はアウトプットのみである。人間、歳を取ると次第にインプットできなくなる。そして、周囲から持ち上げられる。自分の意見が正しいと思い込み、頭が固まってしまう。それも怖い。
 そこで閃いた単語が「ワークショップ」だったのだ。

2.ワークショップって何だ?
 「ワークショップ」という言葉は何となく知っていたが、きちんと調べたことはなかった。それなのに、「セミナーをやめて、ワークショップをするぞ」と宣言したのが1週間ほど前。何となく、参加型、双方向型にしたかったのだ。
 付け焼き刃で慌てて、書店で「ワークショップ入門(堀公俊著・日経文庫)」を買い求め、読み始める。それによると、ワークショップとは、「主体的に参加したメンバーが協働体験を通じて創造と学習を生み出す場」とのこと。
 (今日の私の文体がいつもと違うのにお気づきだと思う。ワークショップでは、まず、ファシリテーターが自分自身を開示して、場を温めることが必要とされている。それを文章にしてみたつもりだけど、どうだろうか?)
 私は、コンサルタントと名乗っているが、これも外国人に「あなたのような個人で仕事をしている人をコンサルタントと言うのだ」と言われたからだ。「じゃあ、コンサルタントにしておくか」と思って、名刺に書き込んだに過ぎない。
 いつも思い込みが激しく突っ走ってしまう。大学に進学しなかったのも、高校の時に「独学のすすめ」という本を読んで、その気になって、「大学で教わることは本を読んで独学すればいい」と思い、文化服装学院に進んだのだ。
 そんな私だから、ワークショップの意味を正確に知らないままに、「ワークショップやるぞ」と宣言するのは、そう珍しいことではない。
 さて、そんな私であるが、最近は様々な企業でコンサルティングを行っている。内容は企業によって様々。商品開発や商品企画支援、営業戦略立案、人材育成などだ。コンサルタントの仕事は、クライアントの企業の利益に貢献することであるから、自分の話したいことを話しているだけではいけない。私が言うことを理解してもらって、発想を転換してもらって、アクションを起こしてもらわなければならない。
 相手はこちらを先生だと思っているから、おとなしく話を聞いてくれる。反論もないので、分かっているのかな、と思うと全く分かっていなかったりする。それでも、分からない奴は分からなくてもいい、とは言えない。
 そんな問題意識の中で「ワークショップ、やるぞ」と叫んだのだが、その判断は間違っていなかった。、

3.ファシリテーターの役割とは
 ワークショップに講師はいない。いるのは「ファシリテーター」である。ファシリテーターとは、自分の意見を言うのではなく、参加者の意見を引き出す役割だ。私のような人間は、自分の考えを書いたり、しゃべってナンボという意識が強いので、自分の意見を言わないことは、自分の存在意義がないと思ってしまう。だから怖くてできなかったのだ。
 しかし、そうではない。参加者を全員、パネリストだと思って、そのコーディネーターに徹すれば良い。そのことが、「ファシリテーション入門(堀公俊著、日経文庫)」を読んでいて分かった。コーディネーターという役割は、パネリストをつなぐ役割であり、パネリストの言うことを理解していなければならない。そして、方向性を示したり、議論を導いていくことが必要だ。単なる司会役では面白いディスカッションにはならないのである。
 大学教授にコーディネーターをさせると、多くの場合、盛り上がらないし、つまらない。多くの場合、大学教授は視野が狭い上に、自分の専門以外のことは門外漢だと勝手に決めてしまう。だから相手に突っ込まない。お笑い芸人のように直感的な突っ込みを入れた方が、聞いている方は面白いし、理解も深まる。でも、聴衆の理解よりも自分の立場を優先してしまうのだ。
 考えてみれば、誰でも自分の理解できる内容しか聞いていないし、理解できることしか判断しない。分からないことが出てきても、これまでの知識や情報から類推して、その場で考えをまとめることは訓練なしには難しい。また、ある程度のインプットがないと、そもそも相手の言っている意味さえ分からないのだ。
 それでも会社の仕事は、担当者が判断しなければならない。それぞれの人が、その人なりの理解と判断をして処理していく。中央集権的な処理ではなく、分散処理するしかないのだ。それでも大きな方向性さえ間違わなければ仕事は廻っていく。そして、常に大きな方向性を一致させるために、経営者や上司、仲間とのコミュニケーションが必要になる。
 全ての仕事を上司に相談したり、チェックを受けていたのでは、現代のような複雑な時代には対応できない。会議ばかりが増えて、その資料作成に追われて本来の仕事ができなくなる。それでは効率が悪い。
 「それをなんとか今ままでのやり方で解決しようとあがけばあがくほど、リーダーシップの不在とマネジメントの過剰を引き起こしてしまうのです。」「ファシリテーション入門(堀公俊著、日経文庫)より引用」
 本当におっしゃる通り。この一文を読むだけでも830円は安い。リーダーシップの不在とマネジメントの過剰とは、大企業病の症状そのものであり、多くの日本企業が抱える共通の問題点である。
 そして、外国人経営者を迎えない限り、日本の企業がリーダーシップによる企業統治を経験することはないだろう。また、かつてのように「飲みニケーション」しようとしても、若手社員はアルコールを飲まない。年配社員はSNSなど何のことかも分からない。コンピュータやインターネットが登場してから、世代間ギャップは静かに拡大しているのだ。
 したがって放置しておいても、コミュケーションは取れない。あえてワークショップを仕掛けるしかないだろう。

4,ファッションビジネスのワークショップ
 本格的な企業組織活性化のためのワークショップの前に、通常のセミナーに代わるものとしてワークショップを試してみようと思っている。
 これまでは、私が持っている情報、知識、意見、提案等を伝えるためにセミナーを行ってきた。目的はセミナーを聞いた人が何らかのアクションをしてくれて、それが何らかの成果につながることだった。「何らか」「何らか」と二度も言っていること自体が、目的が明確でないということだ。
 ワークショップでは目的を明確にしなければならない。「セミナーを聞いてアクションを起こす」ということは、逆に言うならば、「アクションする意欲はあるが、セミナーで語られるような情報がないからアクションを起こさない」という状況でなければならない。しかし、現実ではそんなことはない。
 むしろ、意欲が湧かないのだ。半分諦めているのだ。情報がないから動かないなどということはない。やる気があれば、情報を集める。結局のところ、人を動かすのはモチベーションなのだ。
 それなら、どんなワークショップをやればいいのか。まず、ファッションビジネスの可能性を感じることだろう。日本の強みとポジション。その中にどんな可能性があるのか?
 そして、そのビジネスがワクワクするようなものでなければならない。では、皆はどんなことにワクワクするのだろう?それを探っていこう。
 もう一つ解決しなければならないのは、なぜ、「何もできない」と諦めているのか、を解明したい。何が足りないのか?何があればできるのか?
 我々はファッションのことを気楽に,かつ真面目に、熱く語り合ったことがあるだろうか。文化の学生の頃なら確かにあった。でも、社会に出てからめっきり少なくなった。というより、話す相手がいないのだ。
 語られるのは、売上や利益、納期やクレームのことばかり。そんなことが面白いのか。それらは手段に過ぎない。売上を上げてどうする?利益を上げて何に使う?その根本のことを考えないから意欲が湧かないのではないか?
 こんな問題意識を持ちながら、ワークショップをやりたい。本当は学校でやるべきかもしれない。企業内でもやるべきかもしれない。でも、まずはやってみよう。続きはそれからだ。

*有料メルマガj-fashion journal(21)を2カ月遅れで紹介しています。本論文は、2012.4.23に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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モチベーションこそが人を動かす大切なものですよね。

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