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February 26, 2012

ジャパンブランドの販売戦略を考える j-fashion journal(3)

「ジャパンブランドの販売戦略を考える」

(1)メーカー発「ジャパンブランド」の強みと弱み

 日本の繊維関連製造業の空洞化が進み、繊維産地及び各メーカーは生き残りを賭けて、ジャパンブランドの開発を進めている。しかし、産地発、メーカー発のジャパンブランドには強みと弱みがある。
 強みは、メーカー自身がブランド開発をするので、素材開発、加工技術の開発等の技術的な背景を持ったブランド開発が可能であること。また、自社企画なので無駄なサンプル生産や確認作業が必要ないので、合理的な生産が可能であること。
 弱みは、分業構造であったため、製品全体のプロデュースができないこと。素材や部品、加工の技術は高くても、総体的な製品を創り出す能力を持っていない。加工業であれば、原料の仕入れルートが分からず、原料メーカーは製品に加工するメーカーを知らない。

 また、製造、生産に関してはプロでも、プレゼンテーションや営業の交渉等の経験もスキルも持っていないことが多い。
 こうした状況を改善しないまま、自立事業ではメーカーに直営店の開設を勧め、多くが補助金が切れた段階で店舗を閉鎖することになった。また、現在は「海外市場に活路を見出せ」ということで、海外市場進出を支援しているが、根本的な課題は変わっていない。部分的な技術が優れていても、最終製品の魅力がなければ製品として成立しないし、魅力的な製品を製造しても、プレゼンテーションや営業の能力がなければビジネスにはつながらない。展示会や見本市で成果を発表しても、評価は得られるものの、ビジネスにつながらないという事態に陥ってしまう。
 これらの問題をどのように解決すればいいのかを考えてみたい。

(2)百貨店の店頭活性化とイベント販売

 まず、販売チャネルをどうするか。
 アパレルの場合は、一等地に旗艦店を開設し、集中的にプロモーションを展開し、一気に認知度を高める戦略が一般的である。その上で、百貨店、ファッションビル等に営業をかけて、短期間で最低限度の売場を確保する。
 しかし、メーカーの多くは、プロモーションのノウハウがない。また、旗艦店と言えるほどの店舗を開設する資金力もない。店頭が埋まるだけの商品を揃えることも困難である。旗艦店が開設できなければ、ファッション雑誌に記事が紹介されることも少ない。いつまでもブランドの知名度が上らず、営業も困難である。
 直営店の経営が難しいのは、店舗運営の固定費が高く、採算に合わないからだ。そこで固定費が低い通販やネット販売に取り組むことも多い。特に、成果が上るのは、テレビショッピングだろう。一回の放映で数百万円の売上が上ることも珍しくはない。しかし、相応の在庫を確保しなければならない。また、テレビショッピングには通常、半年に一回、一年に一回しか出演することができない。瞬間的な売上にはなるが、安定した売上を上げるのは難しい。
 自社でネットを開設し、ネット通販に参入しても、担当者一人分の経費を稼ぐのが精一杯ということになる。リアルな店舗やリアルな媒体での情報発信を行わずに、ネットだけで販売するのは容易ではない。
 私が注目しているのは、百貨店等を中心にしたイベント販売である。催事販売だが催事場で販売するのではなく、レギュラーの売場の柱回りやエスカレーター横で2~3坪の展開をする。そんな事例が増えているのである。
 その背景は、百貨店の集客力の低下である。レギュラーの売場だけでは集客力がない。そのため、売場の鮮度が上るような目新しいイベントを求めている。反面、百貨店担当者がイベントを企画運営する十分なノウハウを持っているわけではない。百貨店の店頭活性化とジャパンブランドの活性化が同時にできれば、双方にメリットが生まれるのだ。

(3)商品、什器、POPツール、販売員のパッケージ開発
 百貨店のイベント販売ならば、メーカー発のジャパンブランドに限らず、インディーズブランド、卸商の新ブランドも対象になる。しかし、ここでもいくつかのハードルがある。
 第一に、各百貨店に営業しなければならない。バイヤーにアポイントを取り、ブランドと商品のプレゼンを行う。ここでは企画書の準備も必要だ。その上で、取引口座を取得し、掛率交渉を行う。多くのメーカーはここで二の足を踏んでしまうだろう。
 第二に、販売員を確保しなければならない。1~2週間の催事に合わせて、アルバイトかパートの販売員が必要になる。しかも、商品を並べて販売員が立っていれば自動的に売れるというケースは少ない。きちんと接客をして、商品説明をしなければ売れない時代である。
 第三に、展開什器の手配である。什器は百貨店にあるものを使うことが多いが、それでもブランドに合わせて、売場展開イメージを伝えることが重要になる。商品を並べるだけでなく、ブランドや商品の解説、演出小物等も重要である。
 以上をパッケージ化することができれば、全国の百貨店を巡回して営業することが可能になる。これを産地メーカーに「自社で準備しろ」と言っても、できるところはほとんどないだろう。
 そこで、これらの問題を解決する手段が必要になる。

(4)「ビジネス支援+展示会+セレクトショップ」構想

 これまでもジャパンブランド、インディーズブランドの合同展示会は存在した。しかし、単なる展示会の場を提供するだけであり、具体的なビジネス支援を行うことはなかった。成果を上げるか否かは、出展者の自助努力次第だ。
 しかし、前述したように多くのメーカーは、ビジネスを展開するスキルも人材もないし、十分な資金力もない。そこで問題解決のための、新しい展示会のあり方を考えてみたい。仮に『JPB倶楽部展』としておこう。
 『JPB倶楽部展』では、販路を具体的に設定する。百貨店、専門店、セレクトショップのイベント販売をメインに据える。売場展開は2~3坪。展示会の段階で、2~3坪の什器展開を想定し、売場のイメージが伝わるような展示を行う。
 ここで問題になるのが、一社で2~3坪の売場を構成できない場合である。その場合には、オーガナイザーが他の出展者を紹介し、数社で一つの売場を構成する。あるいは、異分野のメーカーを紹介して、商品開発のアドバイスを行いアイテムを増やす。
 『JPB倶楽部展』は、展示会が中心的なイベントではあるが、展示会前の商品開発、ブランド開発等の支援プログラムを用意するところに特徴がある。
 展示会の段階で、POPツール等も準備し、なるべく売場に近い提案をする。展示会で見せるのは、商品だけでなく、売場なのだ。勿論、什器のコーディネート、POPツール制作についても、それぞれの専門家が支援を行う。
 更に、展示会をしても、バイヤーを呼べない出展者も多い。しかし展示そのものがイベント販売のプレゼンテーションになっていれば、百貨店、専門店等の担当者の動員をかけることも可能になる。
 このようにビジネス展開に必要な要素を全て支援するので、最初から大きな会場で多くの出展者を集めるという展示会は不可能である。また、経営者の意欲や商品内容に魅力がなければ、支援を行うこともできない。誰でも参加できるという展示会ではなく、会員制展示会、つまり「倶楽部展」である。
 シーズン1回としても、展示会はせいぜい年2回の開催。継続的な商談や小売店へのアプローチを行うには、ショールームが必要になる。そこで、「JPB展セレクト」というショップ兼ショールームを開設する。
 経費は出展者が折半し、利益が出れば各社の負担分と相殺する。このショップはテストマーケティングの場ともなる。一つのセレクトショップを構成するので、希望すれば誰でも出展できるわけではない。ショップコンセプトに相応しい出展者を選ぶことになるし、出展者が揃うまでに時間をかける必要もある。
 ここまで来ると、倶楽部はバーチャルな法人という色彩が強くなってくる。会員は、毎月一度の会議に出席し、そこでは必要な情報の伝達やセミナーを受講する。会社のレベルアップ、ブランドのブラッシュアップも同時に進めていく。

(5)セレクトショップ単位で海外市場進出を!

 セレクトショップという単位にこだわりたいのは、海外市場に進出するには、ショップ単位が望ましいからである。海外にも卸商はあるが、日本のように問屋業態が成熟してはいない。卸商が扱う商品はブランドとも呼べない商品であり、高級品は全てショップ展開が基本になる。日本製品、日本生産はそれだけでコスト高である。本人が望まなくても高級品であり、高級品なら高級品の売り方が必要になる。高級品を卸商に販売したのでは、店頭コントロールもできないし、ブランド価値を維持することはできない。そこで、ショップ単位でマーケティングしていくことが必要になるのだ。
 日本国内でイベント販売で巡回しながら、セレクトショップを構築し、その単位で海外市場に進出することを考えたい。海外展示会に出展する場合も、セレクトショップ単位である。そして、セレクトショップの販売権を代理店、代理商に譲渡するという形で海外市場に進出していく。

*有料メルマガj-fashion journal(3)を2カ月遅れで紹介しています。本論文は、2011.12.19に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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