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January 04, 2011

NHKスペシャル「2011 ニッポンの生きる道」の感想

 元日放送のNHKスペシャルは、「2011 ニッポンの生きる道」がテーマ。
 ①意思決定の遅い大企業より元気の良い中小企業にチャンスがある。
  ・大企業も中小企業の協力工場に対して共同体として考えるべきである。
  ・研究者は零細企業のようなもので、常に頑張っていないと負けてしまう。しかし、そういう人生もやりがいがある。
 ②日本の不況は、労働者人口が減少傾向にあることが一因である。
  ・薄利多売というビジネスモデルは、労働者人口が増える成長期には良い戦略だが、労働者人口が減る状況下では売上、収益、税収減につながる。
  ・労働者人口が多い現在の中国は有望な市場。中国市場を対象に、厚利少売を目指そう。
 ③技術力、商品だけでは売れない時代。
  ・日本の総合力で問題解決を売ることを目指すべき。まず、明確なビジョンを提示し、その問題解決を図り、商品は最後に来る。大きな構想力を持つことが重要だ。
 ④国際的競争に勝つには個人の力を高めること。
  ・教育機関、研究機関にも国際的な競争の環境を作ることが重要。
  ・日本の学生はもっと海外に出て欲しい。
 以上のような内容だったように思う。

 私の感想も付け加えておきたい。
 ①日本は高い技術力により、優秀な素材、部品を作ることが得意。しかし、それを製品化し、世界市場に販売することが不得意。これまでのイメージは、下請けの中小企業が部品を生産、供給し、大企業が製品化して販売するというものだが、現在は素材、部品にこそ大企業の高い技術力が求められている。今後はむしろ、意思決定の早い中小企業は大企業が生産する優秀な素材、部品を駆使し、優れたデザインの製品に組み立て、世界市場に販売していくというビジネスモデルが重要になるのではないだろうか。
 パソコンは既にこうしたモデルになりつつあるし、電気自動車も同様のモデルになるだろう。繊維ファッションビジネスにおいても、大企業が開発した素材を、中小企業が製品化するというモデルが相応しいように感じる。
 ②人口動態の問題については、労働者人口が減少しているから不景気ということだが、実際には若年層の失業者が多い。そのことが若年層の所得を押し下げ、消費の低迷を招いている。これは人口動態に合わせて、価格低下と縮小均衡を繰り返し、中高年正社員の既得権者を保護するために起きていることである。この悪循環をどのように打開するのか、という議論が必要になるだろう。
 中国市場進出も可能性はあるが、実際には苦戦している。その要因の一つが人材の問題である。中国企業経営者は若く積極的であり、日本の担当者は高齢化し消極的である。両者のコミュニケーションが取れていないのだ。
 中国ビジネスにおいては、もっと若い人材を活用しなければならない。そのためには、大学や専門学校も中国語教育を強化する必要があるだろう。実は、中国の大学生も就職に苦しんでおり、英語、日本語を学んだ学生の方が就職率が良くなっている。中国の大学でも日本語教育が見直されているのである。日中の教育機関が交流を深め、互いの国の言語を学び合うことは、互いにプラスになるに違いない。
 もう一つの課題は、若者に対する起業家教育である。不況が続く中、学生も大企業志向、安定思考が強まっている。これは親や先生の指導の問題もあるが、そもそも学校教育において、起業家に必要な事項を教えていない。学生は、良い成績をとって、良い学校に進んで、良い会社に就職するというコースを理想と教えられている。中小零細企業であっても、個人であっても、自分で経営し、挑戦し、成功する楽しさを教えられたことはほとんどないだろう。
 また、日本の組合、商店街等は、新規参入をいかに防ぎ、既得権を守るかばかりを考えてきた。もっと簡単に起業して、失敗しても、何度もやり直しがきくような制度を整備しないと、誰も起業しなくなるだろう。この問題については、制度改正が重要であり、政治に期待するところが大きい。
 政治に期待できないのならば、大企業が自らの素材、部品を販売するために、起業家支援することはできないだろうか。自社の素材や部品を多様な製品に展開できれば、最終的に自社の利益につながる。しかし、社内でそれをやろうとしても、リスクヘッジばかり考えている組織、人材では難しいだろう。
 ③ソリューションというテーマについては、私はブランディングに置き換えて考えたいと思っている。ブランドビジネスとは、ある意味でソリューションビジネスである。ブランドの世界観を構築し、その実現のためにショップ環境、商品構成、プロモーション等が組み合わされる。逆にいうと、ブランド構築にも、環境や健康という大きなビジョンが必要な時代になろうとしているのだ。そして、既に一社だけでブランドを完結することは難しくなっている。複数の会社の素材、部品、技術等を一つの理念の元に編集し、具体化するのがブランドとは言えないだろうか。少なくとも、ファッションビジネスの上では、ブランドに置き換えて良いのではないか、と考えている。
 ④経済の活性化には、ビジネスの活性化が必要であり、その基本は人材であり、個人の力であることは間違いない。私は、中小企業より個人が有利な時代が到来しようとしているのではないか、と感じている。若者が海外に出ないのが問題だという意見には多少の異論がある。
 欧米のキャッチアップを追求する時代においては、海外留学にも価値があった。しかし、現在は何を学ぶべきなのかが曖昧になっている。インターネット環境の整備は、海外に出掛けなくても、国際的な情報を入手することは可能だ。反面、海外に赴任しても、日本人社会に埋没し、現地に溶け込めない駐在員も多い。
 海外留学をしない学生が問題なのではなく、国際レベルの教育ができない日本の大学が問題なのであり、その大学だけに満足している学生に問題があるというのなら否定しない。アメリカのように国際的な人材育成システムが国内にあれば、海外に出なくても良いのかもしれない。
 コンペティションが人材育成につながるという点については賛成である。日本の教育は、協調性に比重が置かれ過ぎており、空気の読める人材は育つかもしれないが、空気しか読めない人材になってしまう危険性もある。もっと自己主張を強くし、対立や議論を恐れず、競合に打ち勝つ人材が必要なのだ。
 これに関連して、私にできることはセミナー、個人レッスンということになるのだろうか。個人の力が強くなり、しかもチームワークが発揮できれば、日本の強みは失われないだろう。まず、個人にできることをしようではないか。

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