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January 25, 2011

既存のブランディング手法の問題点

 私自身、アパレル企業内で多くの新ブランド開発を行ってきた。その経験を含めて、日本で行われているブランド開発の手法及び企画書のあり方を見直すべきだと思う。
 アパレルの新ブランド開発においては、「ブランドコンセプト」「ブランドのポジショニング」「ブランド名」「ロゴタイプとシンボル」「顧客ターゲット設定」「年間商品MD計画」「流通チャネル」「店舗デザインとVMD戦略」「販売促進計画」等が行われる。(これらの詳細については割愛する)
 そもそもブランド開発に必要な企画書の目的とは何だろうか?
 第一に、ブランド開発関係者への指針及び情報共有である。日本の場合、ブランドの簡単なコンセプトと予算が同時に設定され、プロジェクトがスタートすることが多い。たとえば、初年度2千万、2年目3千万、3年目5千万などと売上目標を設定。そして、「自転車で移動することを想定した街着ブランド」などと基本的な方針が示される。

 その上で、ブランド名、ブランドロゴ、ショップデザイン、商品企画等の社内外の担当者は、更にイメージを明確にして、互いにイメージを共有し、作業を進めていく。この段階は、分野は異なってもデザイナー同士の作業であり、極端に言えば、企画マップは必要ない。一枚のスケッチ、一枚の写真、対話によってイメージを膨らませることができるからだ。
 しかし、それをデザインの基本を理解していない経営陣や営業担当者に説明する段階で、美しくレイアウトされた企画ボードやコンセプトを言葉で表現することが求められる。
 更に、企画マップと企画書は、百貨店やデベロッパーの担当者に説明するために使われる。ここでは、より具体的な数字の説明が求められる。売場面積、売上・在庫、施工費、販促プランなどが話題の中心となる。また、ゾーニングや周囲のブランドとの調和なども重要である。小売店は顧客ターゲット設定を重視するので、ブランドコンセプトはその内容よりも、商業施設の顧客にアピールできるか否かが確認される。
 売場確保の見通しが立った段階で、プロジェクトは予算中心に動いていく。具体的な商品サンプルの段階になると、ブランドコンセプトに関係なく「売れる・売れない」の議論となるのが一般的だ。
 店頭デビューの時には、簡単なコンセプトをPOPで表示されることはあっても、顧客にブランドコンセプトが伝わることは少ない。そこには、周囲と同様の商品集積の売場が現れているに過ぎない。
 百貨店のバイヤーやデベロッパー担当者にプレゼンテーションする資料にはお金と時間をかけるが、顧客にイメージを伝える努力はほとんどなされない。やがて、2シーズン、3シーズン後ともなると、ブランドコンセプトよりも売れる売れないという通常の会議によるモノ作りとなり、次第に既存ブランドと同質化していく。
 こうして多くのアパレル企業から生まれる新ブランドは志半ばで淘汰されていく。一方ライセンスブランドは、少なくとも、海外からのイメージマップや基本デザイン、プロトタイプという指針があり、それがブレることは少ない。しかもサンプルアプルーバルという縛りがあるため、ブランドらしさや個性が継続的に維持される。また、ライセンス契約の中に出店や広告等も義務づけられているため、顧客にブランドイメージを伝達することも可能である。
 ブランディングとは、的確なブランドイメージを顧客の心に構築する作業である。それにより製品の購入に際して、特別な信頼感を与え、購買動機に結びつくことになる。つまり、顧客の心理に訴求しなければならない。
 しかし、日本の多くの場合は、流通段階のプレゼンテーションでブランディング作業が終了ししまうことが多い。顧客へのイメージ訴求は販売促進が担当し、予算は費用対効果で組まれるために、予算の少ない新ブランドは顧客にイメージを伝達することが困難になる。
 これらの課題は、日本企業の組織の問題でもある。ブランディングは、トップダウンで各部署が統一した行動をしなければ効果が上らない。しかし、縦割りでボトムアップの日本企業の組織ではトータルな戦略を展開することが困難なのである。数字の組み立ては得意でも、イメージ訴求となると動けないというのが実感ではなかろうか。
 これではブランディングとは言えない。流通のためのプレゼンテーションではなく、顧客の心理を動かす行為を継続的に行うことが必要なのだ。

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