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December 14, 2010

EUの環境規制による非関税障壁

 自国の産業を保護するための政策として関税と非関税障壁がある。世界的な傾向としては自由貿易を推進する立場から、関税の撤廃への動きが加速している。最近話題のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が典型的な事例と言えるだろう。自由貿易主義者にとって非関税障壁はあってはならないものだろうが、EUは非関税障壁をうまくコントロールしながら、EU域内の産業保護を行っていることは間違いない。
 自由貿易は経済問題だが、環境規制、人権問題等の問題は、地球的な人間の存在に関わる問題であり、異議を唱えることは困難である。また、環境問題や人権問題における法令を遵守せずに、企業が摘発されれば、消費者の不買運動が待っている。アメリカや中国においても、EUの基準に従おうという流れになっているのである。

 2009年7月29日発表のユーロバロメーター(EUの世論調査)によると、欧州では5人のうち4人が、買い物をする際に、その品物が環境へ与える影響を考慮に入れているとのこと。最も環境への関心が高いのがギリシャであり、10人のうち9人以上が、環境への影響が商品購入の際に大きな要因になると回答。同調査によると、回答者のおよそ半数が、環境破壊的な製品に対する増税と、環境保全的な製品に対する減税を組み合わせることが、エコ製品の促進にとって最善の方法であるとしており、また、環境配慮型製品の促進に小売業者が役割を果たすこと、および炭素表示の義務付けに対して、強い支持が表明されたという。
 肌に直接触れるアパレル製品に対しても、経皮毒(皮膚を通して毒素を吸収して起きる障害)の観点から、EUでは染料、糊剤、添加剤等が厳しく規制されており、各企業はトレーサビリティにも積極的に取り組んでいる。
 現在、EUではREACH 規制(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals:欧州連合における人の健康や環境の保護のための欧州議会及び欧州理事会規則)などが前提となり、輸入に際しての検品が義務づけられている。EUで使用が禁止されている染料等を使用した商品のリコール情報を毎週WEB(「RAPEX」www.rapex)で公開されている。
 こうした厳しい基準を義務づけることで、発展途上国からの輸入を抑制し、EU域内の企業を間接的に保護しているとも言える。少なくとも、「品質が良くて価格が安い」という経済合理性の基準だけでなく、環境、健康、人権等の価値観を与えることで、市場をコントロールし、検査や認証のビジネスにより、EUに利益をもたらしていることは間違いない。
 日本国内の染色工場等では、EUが禁止している染料等は使用されていないが、中国の現地調達素材の製品については、十分な検査が実施されているとは言えない。
 その中国でも、中国企業がEUに輸出する際には、有害物質などのGB 規格(中国工業規格)に基づいた品質管理が行われている。また、中国国内で販売される輸入品に対しても税関検査などで染料等に対しては厳しい検査を行っている。
 今後、日本企業が中国市場で製品を販売する際には、中国企業以上に厳しく検査が行われることを覚悟しなくてはならないだろう。

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