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December 07, 2010

コミュニケーションという視点から展示会を考える

 日本市場は海外に開いている。海外企業も自由に法人設立が可能であり、企業買収や資本参加も可能である。もちろん、出店も自由だ。
 日本企業も自由に輸出もできるし、海外市場に参入することも可能である。しかし、肝心の日本人の心が海外に開いていない。日本の展示会、日本企業のWEBサイトが海外を意識していない。結果的に、海外から日本はブラックスボックスと化しており、どこに何があるのか分からない。業界団体も組合も海外を意識していない。日本は未だに精神的鎖国を保っているのかもしれない。
 日本の繊維アパレル産業は、分業を基本として成長してきた。日本国内では強烈な縄張り意識があり、他人の領分を侵すことはタブーだ。問屋が小売りに進出したり、メーカーが小売りに進出することもタブーだった。最近は流通の際が崩れているものの、それでもタブー意識は完全に払拭されてはいない。無意識のうちに、自らの事業領域を規定し、その中だけで行動しようとする。海外ビジネスは商社に頼むものという思い込みのその一つである。こうした縄張り意識の存在が、自社単独で外部に情報公開する行為を阻害しているとも言えよう。

 飽和状態である日本市場だけでは成長が見込めないとして、成長著しい中国市場に挑戦する企業も増えている。しかし多くの場合、日本の成功体験を元に、日本の商品を、日本のビジネスモデルのまま、中国市場に持ち込もうとして苦戦している。
 中国市場には、中国特有の市場特性や商慣習があり、中国人消費者の嗜好も日本人とは異なる。海外市場に進出する場合、市場調査を十分に行うことは不可欠である。欧米ブランド企業も日本市場に進出する際、競合となる日本のアパレル企業の実態、流通システムやその特性、消費者意識等を数年かけて十分に調査している。
 一方、多くの日本企業は中国市場に進出する際に十分な調査を行っていない。日本より遅れた市場だから、日本のやり方を持っていけば通用するという思い込みがあったことも否めない。
 こうした事象を見る限り、海外から日本が見えないだけでなく、日本人も海外が見えていないことが分かる。つまり、日本全対が海外に対するコミュニケーション能力欠落状態に陥っているのである。これは語学の問題だけではない。もっと心の奥深くに根ざした意識の問題である。
 日本では自分から主張しなくても、周囲が気持ちを察してくれる。アウンの呼吸があらゆる場面で機能している。しかし、海外では主張しなければ存在しないのと同じことだ。自分を理解して欲しいのならば、自分からプレゼンテーションしなければならない。そのプレゼンテーションの場が展示会である。
 海外展示会では、国、業界、企業そして個人がそれぞれの段階でコミュニケーションを取れるような仕組みが埋め込まれている。商取引はコミュニケーションの結果であり、商取引だけが存在しているのではない。
 グローバルビジネスとは、欧州の国際基準に準じたり、米国の会計基準を採用することだけで達成されるわけではない。言葉も生活習慣も異なる初対面の相手に対して、自分をどのように説明し、相手に理解してもらうか。反対に、初対面の相手とどのように交流して、相手を理解するのかが問われているのだ。
 数カ国の人間が集まるパーティー会場にいても、日本人はすぐに固まって知り合いだけで話してしまう。仲間内の協調性はあるが、異質な人達との社交性が欠落している。これではビジネス以前のコミュニケーションを拒否していることになってしまう。
 ビジネスはコミュニケーションを基盤にした経済行為である。精神的鎖国を続けていたのでは、グローバルビジネスは不可能だ。国際的なコミュニケーションという視点から、コレクション、展示会のあり方を問い直す時期に来ている。

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