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December 06, 2010

なぜ「技術・品質は一流」なのに、展示会は衰退するのか?

 日本の繊維・テキスタイル・アパレル関連企業の人は、「日本の技術は世界一だ」「日本の品質は世界一だ」と言うが、本当だろうか。ジャパンクリエーション、ジャパンテックス共に、世界一の企業や商品が集積しているのであれば、世界中から人が集まらないわけがない。しかし、実際には年々来場者も出展者も減少している。仮に「日本の技術は世界一」「日本の品質は世界一」だとしよう。それなのに、出展者、来場者が減少している理由とは何だろうか。
 来場者にとって、展示会のメリットとは、①ビジネスが成立する、②ビジネスの契機になる出会いがある、③ビジネスに役立つ情報が得られる、④ビジネスにつながる人と交流できる、ことだろう。
 まず、日本の展示会で「①ビジネスが成立する」ことは、非常に稀である。日本の出展者も来場者も展示会場でビジネスが成立するとは思っていない。しかし、海外からの来場者は、通常の見本市だと思って来る場合もある。その場合には、失望して帰ってしまうかもしれない。

 「②ビジネスの契機になる出会いがある」ことも難しくなっている。ほぼ、新しい出会いは出尽くしているからだ。
 たとえば、海外からの出展者を誘致できれば、新しい出会いの場として機能するかもしれない。その場合、日本の展示会に海外企業が魅力を感じているかが問われる。ジャパンクリエーションも、最初の2~3年は世界中の企業から出展問い合わせが殺到したが、全て断ってしまった。当時の主催者が、国内メーカーの団体であったために、海外企業の出展を認めることは、国内メーカーにダメージを与えることと判断したのである。
 その後、アジアの国際テキスタイル見本市としては「インターテックス上海」が定着し、日本の展示会に出展を希望する企業は著しく減少してしまった。
 海外企業誘致ではなく、日本のデザイナーや縫製工場、商社、機械メーカーの参加を促し、新たなソリューションを提供するという考え方もあるだろうが、現在まで実現していない。
 「③ビジネスに役立つ情報が得られる」ことは重要なポイントである。「日本の技術は世界一」「日本の品質は世界一」ならば、その情報が発信されていなければならない。どういう技術が世界一であり、それをどのように活用すれば、ビジネスにつながるのか、というプレゼンテーションが必要である。世界最新の技術、世界最高の技術が展示会場全体で表現されていれば、世界中からの集客が可能になるだろう。しかし、展示会の会場を見ても、そのような展示は見当たらない。
 出展者に聞くと、出展品の中には確かに凄い技術や品質が隠されている。しかし、聞かなければ分からないし、その技術というのがあまりにもデリケートかつ専門的であり、プロにしか分からないことなのだ。微妙なタッチの差が技術だと言われれば確かにその通りだが、その微妙な差に対してコストが二倍というのでは市場では通用しない。
 市場ニーズ、コストパフォーマンスに対して、過剰な技術や品質では、ビジネスとしてのメリットはない。また、各要素の技術は素晴らしくても、完成した製品としてのトータルな魅力が表現されなければ顧客には伝わらないのである。
 「④ビジネスにつながる人と交流できる」ことは、展示会では非常に重要な要素である。香港国際コンベンションセンターにはレストラン、パーティー会場が用意されている。しかし、日本のコンベンションセンターでは会議室と展示室しか用意されていない。日本では、展示会におけるパーティーや交流の意義を認めていない。出展者も来場者も互いに知り合いであり、あえて交流の場を持つことは必要ない。むしろ、飲食店で相対の接待が重要と考えるだろう。
 一方、国際展示会は世界中から業界リーダーが集まる貴重な場であり、その時のインフォーマルな交流がその後のビジネスに直結する。国際見本市では昼間の展示会場だけでなく、夜のパーティーなど、交流プログラムがセットになっているのが一般的である。その意味では、香港や中国の方が日本より国際的であり社交的と言えよう。
 このように見ていくと、来場者が減少する理由が理解できる。そして、来場者が減少すれば、当然出展者も減少するである。

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