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November 29, 2010

継続的にサプライズを提供するシステム

 日本の問屋流通は、産地、メーカーの情報をバイヤーやユーザーに知られてはならなかった。情報を公開されたら、ユーザーが直接メーカーと取引をしてしまうからだ。メーカーはユーザーと直接会うチャンスも非常に限定されていた。
 その業界の常識を打ち破り、日本中のテキスタイルメーカーが初めて公に一堂に会したのがジャパンクリエーションだった。日本のアパレルメーカー、コンバーター、商社も、日本国内にこれほど多くのテキスタイル関連メーカーが存在していることさえ実感していなかったに違いない。その意味では大きなサプライズを提供したと言える。
 ジャパンクリエーションが生まれたのは、問屋流通の衰退が原因である。次々とテキスタイル問屋が淘汰され、メーカーは販売先を失っていった。これまではタブーだったメーカーの情報公開が可能になったのは、圧力をかける問屋自身が力を失ったからである。

 ジャパンクリエーションがスタートして10年を越える頃になると、サプライズがなくなってしまった。出展者の顔ぶれも固定化し、出展者、来場者双方共に年中行事になっていったのである。
 展示会の魅力を維持するためには、常にサプライズを用意しなければならない。プルミエールビジョンなど、ヨーロッパの見本市では継続してサプライズを与えるシステムとして「トレンド情報発信」がある。その中心はテーマとカラーであり、出展するテキスタイルメーカーにとっては、経の密度や縒りを変えなくても、新鮮なイメージを訴求することができる。アパレル企業やデザイナーも、各シーズンのテーマ設定は非常に重要な要素であり、注目度も高い。
 日本にはトレンドを決定し、それをメーカーに伝達し、モノ作りに反映させ、展示会場でプレゼンテーションする仕組みが存在しない。当初、それを実現しようとしてトレンド委員会等を組織したがうまく機能しなかった。日本におけるトレンドの専門家とは海外トレンドの分析と解説であって、オリジナルのトレンド発信ではないのだ。結果的に、現在に至るまで本格的なトレンド情報発信は実現していない。
 また、イベントや情報発信を支えるメディアの役割も重要である。日本のマスコミは客観報道を旨としており、署名原稿等で主体的に意見を述べて、情報をコントロールすることを嫌う。それは業界マスコミについても同様である。常に傍観者であり、当事者ではない。日本のコレクションや展示会の情報発信が弱いのは、業界マスコミに、業界を盛り上げようという意識が希薄であることも起因している。欧米ならば、当然のようにコレクションのランキング等を発信し、バイヤー、読者の興味を喚起するが、日本の業界マスコミは自社の判断でランキングを付けることをリスクと考え、敬遠している。広告ページを作ることだけに熱心であり、積極的に情報を収集、編集し、国内外に発信するというメディアの機能を十分に果たしていないと言えよう。
 本来ならば、展示会やコレクションと業界マスコミの関係は、ブランド企業とファッション雑誌のような関係になるべきである。魅力あるブランドを雑誌が育てることで、雑誌の売上も上る。双方はWIN-WINの関係である。展示会やコレクションが盛り上がれば、業界マスコミの利益につながる。もちろん、その連鎖が産業全体を良い方向に導くのである。
 結局のところ、日本の展示会は運営団体、出展者、業界マスコミ共に主体性がなく、互いに依存し、互いにリスクヘッジしているところに問題がある。全員が文句を言い合い、誰もビジョンを創ろうとせず、ルーチンワークに終始しているのである。

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