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November 13, 2010

成り上がり者の時代

 私がデザイナーズアパレルに就職したのは78年。80年代になると、DCアパレルブームが到来し、倍々ゲームが始まった。そこから10年で、それまで古着のアロハを着て、軽自動車に乗って、居酒屋で焼酎を飲んでいた人が、アルマーニを着て、高級外車に乗り換え、ドンペリをラッパ飲みするようになった。
 でも、着るもの、飲むもの、車を変えても、やっていることは同じだ。チャラチャラして女性を口説いて、酔っぱらっているだけである。お金持ちになったのだから、教養を身につけ、高尚な趣味に遊ぶという人がいても良さそうなのだが、そういう人を見ることはなかった。
 一方で繊維産地に行くと、粋な趣味や高い教養を持つ人に出会うことも少なくなかった。アパレルは歴史が浅く、経営者は成り上がり者であり、やはり、歴史のある街や産業に従事している人は違うと感心したものだ。しかし、商売上の力関係は成り上がり者が上であり、産地企業は下請けに甘んじていた。文化レベルと経済レベルが必ずしも一致しないというのは、あらゆる分野に共通している。

 成り上がり者は、金を失うのが怖い。自分のアイデンティティを失うからだ。しかし、放蕩者の三代目あたりになると、金のありがたみが分からなくなる反面、洗練された趣味が身についてくる。周囲の人間にとっては、ガツガツと金儲けしている人よりも、洗練された文化人の方が好ましく思えるだろう。そして、文化的な素養や知識によってもたらされる富もある。
 どちらが正しいというのではなく、こうして世代交代、主役交代が行われ、それにより全体として進化を遂げていくということだ。世の中全部が金の亡者でも困るし、世の中全部が文化人でも困る。一方で、戦国時代や貴族の時代があったように、地域や時代によって、その比率も変わり、それを人の手でコントロールすることは困難である。
 現在の日本は文化人の比率が高まっており、中国は成り上がり者の比率が高くなっている。その状況を経済的な危機だと捉えることもできるし、人によっては国家そのものの危機だと捉えるだろう。しかし、この変化は人為的にコントロールするのが難しい。経済的成功は、成功体験と既得権者を生み出す。そこから既に衰退は始まっているのだが、それもまた必然なのである。
 

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