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November 03, 2010

ベンチャー企業の季節

 最近、不景気な話しか聞こえてこない。特に、大手企業は既存事業を守るのが精一杯。成長戦略が描けない。
 どんな業界でも、勃興期には共通した空気がある。成功するか失敗するか分からないが、「とにかくやるしかない」という熱い情熱とチャレンジ精神だ。新しい会社に集まってくる人材も、挫折や屈折した経験を持つ人が多い。社内には、コンプレックスを跳ね返し、世の中を見返してやろうというエネルギーがあふれている。
 企業が成長すると、求められる人材も変わってくる。熱い情熱よりクールな判断力。無鉄砲な飛び込み営業よりも、計画的な顧客とのコミュニケーション。企業が成長するにつれ、保守的で安定志向の強い高学歴の人材も集まってくる。こうした人材は、組織を運営するのが得意な反面、新規事業の立ち上げには向いていない。
 現在の日本は、産業界も企業も成熟している。そこで従事している人材もまた成熟している。ルーチンワークに習熟し、マニュアル通りに業務をこなす能力は高い。やがて、成熟はピークに達し、変革の時代を迎える。現在は、成熟した環境の中で、変革が求められる「難しい時代」である。

 既得権を持つ企業が疲弊し、方向性を見失った時こそ、ベンチャーの出番だ。しかし、残念ながら、繊維ファッション業界では、ベンチャーの足音が聞こえてこない。というより、日本中のベンチャー精神が弱まってはいないか。
 生物の進化で唯一正しいのは「多様性」という説がある。多様性を保てば、環境が変わったときにも、誰かが生き残る。反対に、あまりにも環境に適応すると環境の変化に対応できない。
 情報システムの世界では、部分最適と全体最適という言葉がある。部分が最適を目指すと、全体が非効率になることを戒めているのだ。同様に、個々の企業が部分最適を目指すと、社会全体が非効率になることもある。ファッション業界では、個々の企業が均一な売れ筋を追求した結果、価格訴求という均一の価値観だけが市場を支配してしまったのである。
 日本がクールジャパンと呼ばれ、人気を集めているのも、日本文化の多様性によるところが大きい。伝統とハイテクが同居する国。西欧のラグジュアリーブランドを取り入れながらも、独自のストリートファッションを生み出し続ける国。それが魅力なのだ。
 ファッション業界も、更に異質なものを吸収し、多様な価値観を提唱しようではないか。

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