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January 23, 2009

中国の後継者問題

◆初めての後継者問題
 チャイナ・ファッションウィークのレセプションでの一コマ。某中国アパレル企業の社長が20歳になった自分の息子をファッション業界の重鎮に紹介している。周囲の人たちもニコニコして、「しっかりとデザインの勉強をしてくださいよ」などと励ましている。日本でもよく見かける微笑ましい光景だ。
 しかし、中国ではこうした光景は稀有なことらしい。
 すべての企業が国営だった時代、社長は任命されるものであり、自分の息子に引き継ぐことはできなかった。社長は一代限りであり、社長でいるうちにしっかりと稼いでおかなければならない。会社の利益は、なるべく多く個人に配分し、個人はその資本を不動産や株式に投資する。子供は海外留学させ、社長本人も海外の市民権を得て、いつでも海外に逃げられるようにしておく。それが中国経営者の心得だったのだ。
 しかし、民間企業が誕生し、自分の息子が大人になった。会社は順調に成長しており、一代限りで会社を売却するのは惜しい。息子も会社を継ぐ意志がある。それなら、会社を息子に譲ろうと考えたのである。
 中国は経済発展してから日が浅い。ほとんどの経営者は初代であり、自分の息子に事業を継承することはなかったのである。

◆一代限りの利益優先
 自分の子供に事業をする局面に当たり、中国人経営者はハタと気がついた。自分一代限りならば、信用よりも利益が重要だ。多少のあくどい商売をしても、儲けるだけ儲けて最終的に海外に逃げればいい。あるいは、自分の会社を高く売り抜けても良い。しかし、息子に継がせるのならば、信用が大切だ。場合によっては、利益よりも信用を重視しなければならない。
 日本には創業以来、何十代も続いている会社が珍しくない。日本人は、特別意識せずに信用第一と考えている。しかし、そうした商道徳は2代や3代で築かれたわけではあるまい。何代もの事業の継承の後に、日本人の遺伝子に組み込まれていったのだ。
 その萌芽ともいえる意識が、一部の中国人経営者の中にも芽生えてきたのである。「衣食足りて礼節を知る」というように、中国経済が豊かになるにつれ、ビジネスも正常化していくだろう。
 しかし、現状ではごく少数の人が信用の重要性を意識し始めた段階なのだ。多くの経営者は創業者であり、信用よりも利益を優先している。中国人は面子を大切にするが、それは自分の親しい人に対する面子である。社会に対する信用とは異なる。見知らぬ他人なんて信用する方がおかしいし、知らない人から信用されることに価値があるとは思わないだろう。
 それでも、中国人は徐々に変化している。後継者のために何をしてあげればいいのか。それもビジネスチャンスにつながるはずだ。

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