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January 23, 2009

業界標準システムが構築できない理由

 欧米では転職が多い。したがって、業界として業務の標準化を図らないと、転職の度に仕事が停滞してしまう。業務の標準化は、コンピュータのためではなく、流動的人材を活用するための必要不可欠な要素だった。日本では終身雇用が長く続いたために、業務の標準化が遅れている。そのことが、情報システム導入についてもマイナスに作用している。
 OSには「デファクトスタンダード」が存在し、WEBには「ポータル」という概念が存在するが、繊維アパレル業界には業務の標準が存在しない。したがって、業務システムにも標準は存在しない。
 海外の職業教育機関が、その国の業界によって設立されたのは、業務標準化へのニーズゆえである。業界内で業務フローや、評価基準や報酬システムを共有することは、業界内の人材の流動性を高め、そのことが企業の国際競争力を高めるという共通認識があったのだ。
 一方、日本は未だに人材の流動化を良しとしない風潮が強い。人材の流動化は企業にとって望ましいものではなく、人材の流動化に積極的に対応する、という認識がない。専門学校や大学で標準化を目指したのはパターンメーキングのみである。アパレル企業や小売店企業の業務を標準化しようという動きはない。各講師が自分の経験や知識に基づいて、それぞれの講義を行っているに過ぎないのだ。

 情報システム構築とは、システム化された業務をコンピュータ処理することで得られる。日本の繊維取引は互いの信用で成り立っている。日常の取引では売買契約書も作成せず、口頭の指示だけで商品が動いていく。取引時点で価格が決まっていないことも珍しくなく、商品の移動が正式な伝票よりも先行することもある。また、同一品番の商品でさえ、取引相手や取引時期によって単価や取引条件が変わる。欧米ではアンフェアな取引とされることが日常的に行われているのである。したがって、欧米の論理で構築されたシステムは動かない。
 情報システム構築の裏には、取引近代化問題が潜んでいる。繊維アパレル業界標準の情報システムの構築が進まない一因は、この取引問題である。それぞれの立場の人が自分に有利なように取引システムを定義しようとするから、まとまらない。
 ここでシステム屋が割って入る。双方ともにコンピュータに合わせたらどうか。しかし、そのシステムは現実に則していないのだから現場では使えない。ここで挫折することになる。

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