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September 24, 2007

ITが経営を阻害する・・・(日本繊維新聞2007年8月2日付寄稿)

アパレル業界が景気の良かった時代、「コンピュータは何でもできます」という営業マンの言葉に乗せられて、基幹業務システムを導入した企業は多い。しかし、システム導入により効率が上がる場合と効率が下がる場合がある。最悪の場合は、作業と人件費が増え、効率と社員のモラルが下がる。しかも、システムが長期リースで固定されていると、システム改造もハード交換もできない「金縛り状態」になってしまう。それでも景気が良ければカバーできた。最終的な費用対効果を判断する前に、現場担当者は残業し、派遣社員を増やし、基幹業務システムに入力するための数字を組み立てたのだ。
 不況が続き、システム経費の負担を重く感じる頃、経営者に素朴な疑問が浮かぶ。「売上も下がっているのに、こんな立派なコンピュータが必要なのか。最近のパソコンは性能も上がっているし、パソコンでも良いのではないか・・・」そして、システムをパソコンに移管しようとすると、数千万円の見積もりを突きつけられる。経営者が「コンピュータに騙された」と叫んでも、最早、システムは止められない。システムを止めれば請求書の発行ができず、経営危機に陥る可能性があるからだ。

 こうした現実を見るたびに、現在が「知る者が知らざる者から収奪する」時代であることを実感する。ファイナンスの分野もITの分野も、中国ビジネスも、知る者は知らざるものから収奪するのだ。
 高額で使いづらいシステムを押しつけた業者の責任は否定できないが、IT導入の事前調査も行わず、「ITを活用してどんな結果を出すのか」という明確な目標も設定せずに、単に業者を値切るだけの経営者にも責任はある。少なくとも、業者は契約書通りの仕事をしたのであり、契約書に判を押したのは経営者なのだ。
 IT産業は成熟していない。ベンダーは注文をこなしながら、自らも進化してきた。ユーザー企業も、ITとは何たるかを十分に理解しないままに導入し、使いながら学習してきたと言える。無駄遣いをしながらも、それをやり切った企業が勝ち組となったのだ。
 増え続ける情報に対応するために、情報処理技術は欠かせない。しかし、情報処理技術が進化するから、情報量が増えることも事実だ。その意味で、「ITは麻薬」である。導入しないわけにはいかず、一度導入すると途中で辞めることができない。IT化が避けられないことならば、全力で立ち向かうしかないのだ。

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