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April 29, 2007

システムへの幻想とシステム業界のいい加減さ(日本繊維新聞2007年3月8日付寄稿)

 つい最近まで、私はITに関してはズブの素人であり、SEとプログラマーの違いも分からなかった。最近になって、本格的にファッションビジネスの業務システムに関わるようになり、システム業界の内情についてもかなり理解するようになってきた。
 そこで思うことは、ファッションの世界もかなりいい加減だが、システムの世界は更にいい加減であるということ。ファッション常に変化を続け、感性や好き嫌いで消費が決定する。しかし、店頭で販売されている商品は、最低限の品質は保証されている。また、顧客は完成した商品を試着してから購入することが可能だ。購入してからでも、無条件に返品を受け付ける店も多い。
 業務システム業界は、完成品を試してから購入することもできず、返品も認めない。「オーダーメイドだから」というのが理屈だが、ファッションのオーダーメイドなら仮縫いがある。しかも、仕立て職人は、素材、デザイン、パターン、仕立ての十分な知識と技術を持っている。しかし、業務システムの世界では、商品を作るための必要十分な知識や技術を持たないままに、商品を生産し、販売している。

 SEの仕事をアパレルに例えると「デザイナー」だ。服のデザインと縫製仕様の概略を決める。プログラマーは、SEの仕様に基づき、具体的なパターンを作り、服を組み立てる「モデリスト」のような存在である。
 この分業の中で欠如しているのは、「デザイン提案と顧客との話し合い(心理的ニーズの把握)」「採寸(肉体的ニーズの把握)」「仮縫い(試作と検証)」である。多くのSEは、相手のニーズを聞き、そのまま具体化しようとする。しかし、顧客は自分からは提案できない。デザイナーから提案があって初めて意見が言えるのだ。したがって、まず、デザイナーは顧客を観察しながら、相手が気に入るデザインを予測し、提案する必要がある。そうでなければ、現在着ている服の素材やボタンを変えたり、サイズを直すことしかできない。つまり、画期的な業務改革はできず、中途半端な改善に終わるのである。
 もちろん、業務システムをファッションと同じには論じられない。しかし、多くの顧客はシステムを導入することで、夢のような改革が起きると期待している。ITによる幻想は、ファッションの幻想を上回っている。そんな幻想を信じる方が悪いというのなら、システムベンダーの営業担当者はその説明責任を十分に果たすべきだろう。

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