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March 29, 2007

アパレルの業態転換に伴う業務システムの変化(2007年3月27日付繊研新聞寄稿)

◆システムが原因でフリーズする会社
 現在、多くのアパレル企業、小売企業はシステムの悩みを抱えている。高額なシステムをリースで導入した結果、ソフトとハードが固定化してしまった。その間、ハードウェア、サーバー、回線等のIT基本インフラは性能が向上し、低コスト運用が可能になった。しかし、リースで縛られた企業は手も足も出ないのだ。
 更に、多くのアパレル企業、ファッション小売企業は、業績が悪化し、展開店舗数や売上が下落。リース切れになっても新しいシステムを構築する余裕はない。新たにリースを組めない企業も増えている。再リースで化石化したシステムを使い続けているだけなのだ。
 一方で、アパレルビジネスを取り巻く環境は大きく変化した。かつては、生地を仕入、縫製工場に工賃を支払い、加工した製品を小売店に卸売していたアパレル企業は、製品仕入が増え、直営店を持つようになった。現在の小売店経営にシステムは欠かせない。店頭の動きをリアルタイムで把握し、商品の鮮度管理を行い、いかに店間移動を行いながら、適切な時期に適切な値下げを行うことが求められている。

そもそも「年二回の半額セール」は、80年代の売上が好調で不良在庫が少ない時代に始まった。一気に在庫を整理して、きれいにプロパー商品を立ち上げるための方策だった。それが慣例化し、売上が下がっても、不良在庫が増えても、同じ手法に頼っているのである。単品管理が可能な売場でさえ、年2回の単純なセールを打ち続けているのは無策の誹りを免れないだろう。
アパレルの勝ち組と言われている「しまむら」は、高いプロパー売上比率と効率的な商品移動と適正な値下げにより商品を売り切る力を獲得した。このノウハウはシステムなしでは不可能である。旧世代の営業上がりの経営者が「昔はコンピュータなんか使わなくても商売ができた」と言ったとしても、それは本当の昔話に過ぎない。
 どの会社も稼働しているシステムを止めることはできない。伝票の発行が止まってしまうからだ。その結果、システム上の数字を手製のエクセルシートに入力したり、システムのための派遣社員の雇用や残業の増加という、システム中心の非人間的な環境に陥っている。正に、会社全体がフリーズする一歩手前の状況である。

◆日本版SaaSを育成することが課題
 こうした状況の中で、救世主のように現れたのが「SaaS(Software as a Service)」という概念である。ソフトウェアをサービスとして提供すること。ASP(Application Service Provider)と似ているが、ASPが完成したアプリケーションソフトをネット上で使用するもので、基本的にはカスタマイズに対応しない。カスタマイズのサービスを行っている場合も高額の費用がかかることが多い。
SaaSも同じようにインターネット経由でソフトを使うシステムだが、カスタマイズ可能であることや、他のシステムとの連携が可能であること、現在の進化したITインフラを背景にしている点で、ASPの次世代サービスと言えるだろう。
SaaSの事例として有名なのはCRM(Customer Relationship Management)システムを提供している「Salesforce.com(http://www.salesforce.com/jp/)」である。全世界に29,800社、646,000ユーザーという実績、低い料金設定とカスタマイズ機能により、大手システムベンダーの脅威となっている。大手システムベンダーがこぞってオンデマンド・アプリケーションへ参入しているのも、SaaS台頭への警戒と対策ゆえだろう。
システムはリアルな業務を反映するものであり、業務は長い商業の歴史と文化が背景にある。外国製の基幹業務システムが日本企業でスムーズに稼働しないのは、文化の違いに由来している。ヨーロッパの商習慣に合わせたシステムは、そのまま日本で使うことはできない。もちろん、アメリカのシステムも同様である。
願わくば、日本独自のアパレル基幹業務システム(販売在庫管理中心)を構築し、SaaS方式でサービス提供することが望ましい。
それを実現するには、業界としても解決すべき課題に取り組むべきだろう。IT知識・ITリテラシーの向上、社内の業務の棚卸し、業務フローと役割分担の明確化、業務のルール設定とマニュアル化等々である。
そして、システム開発企業を育成するという姿勢が望まれる。システムは開発者とユーザーの共同作業による構築されるのである。

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