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January 28, 2006

システムの変遷と繊維流通

 コンピュータシステムの黎明期は、電算室に鎮座していた大型汎用機による中央集権型システムだった。繊維流通に例えると、問屋流通が全ての流通を支配していた状況に似ている。産地の情報も市場の情報を問屋に集まり、金融や物流などの機能まで果たしていた。
 あるいは、合繊メーカーや紡績の系列構造にも似ている。自社の糸を機屋に供給し、製品に加工してから買い上げる。原料から生産、流通までをメインフレームのようにコントロールしていた。
 次に、オンライン技術やデータベース技術の発達に伴い、現場の端末と中央のコンピュータが結ばれていく。繊維流通では、支店や代理店が全国に整備されていく過程だろう。そして、システムは分散化を進めていく。複数のサーバを結び、分散処理が始まる。分散処理は、流通の細分化に等しい。日本の繊維流通は複雑であり、情報が分断され、流通全体の最適化ができなくなっていった。
 なぜ、流通は細分化していったのか。市場原理が健全に働けば、流通は細分化しない。むしろ、集約化していくだろう。日本では競争原理よりも、リスクヘッジが優先された。需給バランス変化のリスクや与信問題のリスクを分散するために、自らの利益を犠牲にしてでも、安全性を求めたのだ。

 システムの分散化は、電算室という独裁体制に現場が反旗を翻した結果かもしれない。あるいは、ビジネスの意志決定システムにITシステムを合わせたとも表現できるだろう。ビジネス側から見れば当然の帰結である。ビジネス組織は、各部署に権限委譲をしながら、経営者は組織全体のマネジメントをしている。経営者は、全ての情報を判断の材料とするのではなく、必要な情報だけを選択するシステムを有している。つまり、部分最適化システムをつなげるというよりも、個別最適化システムから全体最適化に必要な要素のみを抽出、あるいは必要な要素を自動的に生成し、それらを集めて決定するシステムを構築するという発想である。あるいは、2者間の意思決定をトーナメント戦のように連続して行いながら、最終的に全体の意思決定を行うということか。
 部分は常に変化する。全体も常に変化する。更には、全体が更に巨大な全体の中の個別要素になっていく。最適化のために変化を止めるという発想もあるが、変化を止めたのでビジネスの進化も止まってしまう。むしろ、常に部分最適システムは変化を続けるべきであり、部分と部分の間に存在する空間を埋める作業も継続すべきだろう。全体最適化を強調するあまり、個別最適化を犠牲にしたのでは意味がない。
 繊維流通の場合は、どのように改革されたのだろうか。中国という並外れた低コストの生産地が現れ、国内製造業が淘汰され、複雑な流通構造も崩壊していったのだ。
 システムも同様のことが起きない保証はない。並外れて安価なシステムが登場して、現在の複雑なシステムが維持できなくなるかもしれない。中国産やインド産のシステムが猛烈に普及し、国産システムを駆逐する。一時的には個別最適化も全体最適化も見えなくなり、低価格化の波にさらわれてしまう。しかし、やがては安価で新しいシステムにより、全体最適化が一気に進むというシナリオである。
 勿論、ローテクのアパレル製品とハイテクのシステムは異なるだろう。しかし、価格がクオリティを駆逐することは珍しいことではないのだ。◆

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