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November 22, 2004

自立事業を支援する小売事業を

CIMG0035 全国の繊維産地で、「中小繊維製造事業者自立事業」が展開されている。紡績、合繊メーカー、問屋等に依存することなく、自立したビジネスの展開を支援するもので、自社で小売りまで展開したり、オリジナルブランドの開発、独自の小売業者との取組等が行われている。しかし、製造業という「工」の分野と、小売りや卸しという「商」の分野では、ビジネスの発想が全く異なっていることもあり、現実には成功へのハードルは高い。
 製造業者の自立を促すためならば、製造業から脱皮して業態転換することも認めなければならないだろう。卸しを小売りの視点に立てば、生産を中国に移管した方が利益が上るかもしれない。しかし、国内製造業保護という立場ではタブーである。
 製造業者としての競争力を考えるならば、製造業者自身が中国に進出し、自立していくという方法もある。しかし、これも国内製造業の保護という立場ではタブーだ。

 私は、上記のいずれかの方法、あるいはその複合した戦略が最も時代に対応していると考えている。しかし、現在の自立事業はこうした発想を暗黙の内に否定しているのである。補助金欲しさに自立事業のスキームに乗ってしまうことは大変危険だと思う。
 もう一つの課題は、小売段階にある。製造業者が自社製品を開発するのであれば、それを販売する受け皿を作らなければ消費者に届くことはない。たとえば、イトーヨーカ堂の「メイド・イン・ジャパン」企画は産地メーカーに希望を与えた。消費者に国内製品を支持してもらうことが根本的な解決策であり、そのための手段を考えなければならないのである。こうした小売り段階での企画がなければ、せっかく開発した商品を並べる売場が存在しないことになる。逆に、こうした売場が企画されれば、国内製造業に仕事が流れるのである。勿論、売場でなくても、オンラインモールやカタログ通販でもいい。いずれにしても、消費者に商品情報を伝達するためのメディアと商品の受注システムと物流機能の整備が必要なのだ。
 当然のことだが、製造業者には販売する技術やノウハウがない。メーカーは製造技術だけを技術だと思っているのかもしれないが、それは誤解である。商品のプロモーションや店舗展開にも技術や理論は必要だ。そして、日本のアパレルや小売店はこうした最新の技術やノウハウを持っていないために、外資の流通企業や小売企業に対する競争力が弱いことを見逃してはならない。中国生産だけが国内生産を減少しているわけではなく、問屋企業、流通企業、小売企業に競争力がないために、国内工場に発注していた企業が淘汰されているのも事実である。
 「フェアトレード」という言葉がある。 ただ資金的援助をするのではなく、適正な価格で商品取引を継続することで、発展途上国を支援する運動である。国内産地の自立を支援するのならば、こうした発想も必要だろう。つまり、製造業者に働きかけるのではなく、
小売業者への働きかけが必要なのだ。
 自分で小売りまで行うのが正しいという発想の背景には、小売業者や卸売業者への不信感が潜んでいる。確かに、現在の取引関係では力関係の強い方が有利であり、リスク配分と利益配分が不公平である。しかし、それも取引システムの改善に向かうのが本来の姿であり、いきなり相手の存在を否定するというのはいかがなものか。共存共栄の関係を築かない限り、製造業者は自立ではなく孤立が待っているような気がする。◆

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