My Photo

お知らせ

無料ブログはココログ

« 少食と薄着の美学 | Main | メーカーに問われる真の企画力 »

November 01, 2004

産業は変わる、産地は変わる

CIMG0362 法政大学の岡本義行先生の話。ヨーロッパの繊維産地の多くは、見る影もなくなっている。産地や産業というのは変化するのが普通であり、ひとつの産業が何百年も続くというのは極めて稀なケースということだ。
 しかし、浜松のように、繊維産業から派生した技術から自動車産業に発展するケースは多い。ひとつの産業がシーズとなり、次の産業を生み出すのである。こうして時代と共に変化していくことが、地域社会、地域経済の健全化につながる。
 日本では、ひとつのことを継続することに価値を置く。滅びゆく技術があるというと、必ず「残すべきだ」という意見が出てくる。繊維製造業の空洞化に対しても、「日本の産地を守れ」「日本の技術を守れ」と言われるが、そこには「産地、産業は変化するもの」という発想は感じられない。しかし、これまでの歴史を見ても、産地、産業は変化してきているのである。

 「産地、産業は変わるもの」という常識を持てば、常にどの方向に変化させなければいけないかを考えるだろう。しかし、「保護すべし」という発想からは、現状維持、既得権保護しか生まれず、結果的に次の産業や技術の芽を摘むことになっている。
 特定の地域と特定の産業で定義されている業界団体の存在は、既得権保護には都合が良いが、変化を妨げているという側面も持っている。そういう意味では、繊維産業政策の多くも、変化を妨げてきたと言えるだろう。時代と共に、企業が移転したり、業種転換をすることは企業を継続させるためには不可欠である。産地の活性化とは、産業を保護するだけでなく、新しい産業への転換というプログラムが不可欠なのだ。
 こうした発想は、個々の企業や個人にも必要である。老舗と呼ばれている店や企業も、常に時代の変化に対応してるからこそ継続しているのであり、変化を止めた瞬間に衰退が始まることは間違いない。
 生産地の移転という変化もまた歴史の必然であり経済の必然である。もし、国内産地の保護を優先し、保護貿易政策を取っていれば、日本経済は国際競争力を失い、最終的に製造業だけでなく全ての産業が活力を失うことになっただろう。現在の中国は変化を続けているからこそ活力がある。動きがあるからこそ成長があるのだ。
 日本の製造業空洞化も、見方を変えれば、別の産業の勃興を意味していると言えよう。事実、日本の映画、アニメ、ゲーム、小説、アート等が世界の中で注目され、巨大な産業に成長する可能性もある。オタクやフリーターという存在すら、新たな産業につながるかもしれないのだ。
 基本的に若者は変化を好み、老人は変化を嫌う。高齢化する日本が変化を嫌えば、衰退が待っている。周囲を見渡せば、デザイナーもコンサルタントも随分と長い期間、顔ぶれが変わっていない。後継者がいないことを憂う声も多いが、逆に言えば、変化がない産業は衰退産業であり、そんな産業に若者が集まるはずがないのだ。その証拠に、若者は将来性のある産業分野に集まっており、若者が集まるからその産業は成長するのである。
 そう考えると、まず自分達が変わらなければならないのではないか。自分から新しい分野に飛び込み、古いカテゴリーで培った技術や知識を新しい産業に生かすことが健全な変化なのだろう。既存の産業から脱することは決して裏切りではない。◆

« 少食と薄着の美学 | Main | メーカーに問われる真の企画力 »

「ファッションビジネス」カテゴリの記事

Comments

 内村さん。書き込みありがとう。
 「産地が変わる、産業が変わる」とは、たとえばファッションがなくなるというわけではありません。日本から中国に生産が移ったとしても、単に生産地が移っただけです。ファッションがなくなりはしません。日本人のファッションの支出も、海外に比べればまだまだ多いと思います。
 しかし、日本の製造業、アパレル企業、小売業の仕事のやり方、役割が変わるということです。あるいは、変わらなければ生きていけないということです。デザイナーも同様です。生産地が変わり、市場が変わり、ビジネスのシステムが変われば、デザイナーの役割やデザイナーに求められる能力も変わります。でも、デザイナーが必要なくなるというわけではありません。
 問題は変化を恐れ、変化を止めてしまうことです。時代は変化し、ファッションは変化します。もし、ファッションが変化をやめたらどうなるでしょう。それこそ、デザイナーは不要になるかもしれません。大切なのは現状維持や現状保護ではなく、変化への対応です。
 心ときめくものとは何でしょう。それはどのようにすれば実現できるのでしょう。なぜ、今のファッションシーンは心ときめかないのでしょう。なぜ、日本のアパレル業界から心ときめく商品が生まれないのでしょう。変化を止めてしまったらときめきは生まれないと思います。内村さんのような若者がどのように変われば、日本のファッションシーンを変えることができるのか。ぜひ、考えてみてください。

お久しぶりです。BFBの内村です。
今回の記事を読んで考えたことについて。
衣料品への支出が減りつつあり、その原因について
勃興産業である携帯電話やインターネットへの
支出増大が挙げられますが
生活を便利にしてくれるものへの支出増大は当たり前のことで
しかし、それを言い訳にアパレル産業の衰退へと結ぶつけては
いけないと思います
今の日本人のワードローブは有り余るほどの衣服があり
また、小売店では異常なほどの衣料が並べられており
消費者の欲しいものを創れない
このような状況では、衰退していくのはあたり前のことであり
競争力の無い企業は生き残るのが困難なことは学生である
自分でもわかります
それでもファッション産業に関わろうとしている自分としては
もう無駄なもの(意味の無い商品)は創りたくないし
何よりもファッションはただ洋服を買うだけではなく
それを買うことで心がときよくようなそのような何にも変えがたい気持ちにさせてくれるそういうものだと思います
そういう気持ちにさせてくれるような商品、ファッションを楽しむ人がたくさん増えるようにすることが
自分の夢であります
日本人だけではなく世界中の人の生活を豊かにすることが
壮大ではありますが、将来の夢であります
それに向けて何をするべきか今必死に考えています
若者の戯言に
叱咤激励の程よろしくお願いします

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30199/1830394

Listed below are links to weblogs that reference 産業は変わる、産地は変わる:

« 少食と薄着の美学 | Main | メーカーに問われる真の企画力 »