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October 13, 2004

「ヨン様」が動かす「大人の女」市場

 「冬ソナ、見た?」「いや、見てない。あ、でも、一瞬テレビで見たかな」「どうだった?」「全然面白そうじゃなかったから、すぐにチャンネル替えた」「面白そうじゃないと思うでしょ?でも、見ていると、はまるんだよ」「まぁ、そうかもしれないけど、別にはまりたくないし」「でも、あれが分からないと、ミセスの気持ちは分からないよ」
 ファッション業界に生きる者、世の中の流行には関心を持たなければならない。そうは思っても、世のオバサマ達の熱狂ぶり見るにつけ引いてしまう。大体、男の私は「男」には全く関心がない。特に、モテル男に対しては本能的に無視するのが常だ。改めてヨン様を見ても、「単なるニヤケ男じゃん」と思ってしまう。私の友人は、冗談で「ヨン様のカツラとメガネとマフラーの3点セット買ってこようかな」と中年女性に言ったところ、「ヨン様を汚すようなことを言わないでください。ヨン様はそんな人じゃないんです」と睨まれたとのこと。何やら「ヨン様の踏み絵」のような状況である。

 確かに、ヨン様がきっかけとなり、日本人女性が大挙、韓国のロケ地巡りツアーに殺到しているらしい。新宿の大久保近辺にも闇のヨン様土産を買い漁る女性達が出現。夜は韓国語教室に通っている。更に、韓国男性と結婚したいという女性が増えて、お見合いツアーまであるとか。ソウルのロッテホテルのロビーには等身大のヨン様写真が立ち、ほぼ全員がそこで記念写真を撮るという。
 これらの経済効果は絶大であり、日韓友好にも大いに貢献していると言えよう。また、大きなビジネスチャンスであることも間違いない。
 考えてみれば、ベッカム様に続いてのヨン様であり、最近の女性は「様」をつけて呼べるような男性を待望していたかもしれない。「様」をつけて呼べる男性とは何だろう。
 まず、「雲の上の人」でなければ「様」はつけられまい。身分の離れている人。自分では不釣り合いな存在。純粋で、崇高で、尊敬できて、いくら妄想しても汚れないような聖なる存在。男女同権と言いながら、「様」は別格なのだ。むしろ、安心して自分を卑下できるような存在なのではなかろうか。
 それに「優しさと強さのバランスが取れている」ことも条件に加えても良いだろう。韓国では、「ペ・ヨンジュンなんて落ち目の俳優のどこがいいのだろう。もっと素敵な男性は沢山いるのに」と言っているらしい。ヨン様人気に引っ張られて、何人もの韓国人スターが来日しているが、私でもヨン様は別格だと思ってしまう。他の人は、男らしさが勝ち過ぎていたり、若さが勝ち過ぎている。肉体を感じさせ過ぎる。
 ヨン様は、ひたすら優しい笑顔である。どんなに顔のバランスが崩れた女性が目の前に現れても揺るがない笑顔である。あの笑顔は凄い。神様、仏様、ヨン様。男から見たら、完璧なプロのホストの笑顔に見えてしまう。心の中では何を考えているか分からない。でも、そんなことは気にする必要はない。相手は雲の上の人。だからこそ、思い切り憧れることができる。どんなに憧れても、誰からも文句を言われない存在。心の中で愛を誓ったとしても、絶対に自分の生活に影響が出ない存在なのだ。
 ヨン様のお蔭様で、日本の中年女性はフェロモンを取り戻した。自分は女性だと再認識したに違いない。これから大人の女性マーケットが動き出すだろう。ここまでは理解したんだけど、それでも「冬ソナ」なんて見る気になれないんだよね。◆

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