My Photo

お知らせ

無料ブログはココログ

« 文化服装学院AD2年特別講義/2004年10月16日 | Main | 若者よ、どうしてそんなに良い子なの? »

October 09, 2004

中国生産の危機

 最近、繊維業界は中国市場への進出に興味が集中している。しかし、その裏で、中国生産の問題が起きていることに注意したい。
 日本のアパレル企業の注文は面倒で手間がかかり、納期は短く、その割に工賃が安い。こういう仕事に対し、中国の工場は次第に嫌な顔を見せるようになっている。欧米向けの仕事の方が簡単で生産ロットが大きく、納期もゆったりしている。だから、日本の仕事よりも欧米向けの仕事をしたいと言っているのだ。
 こうした問題は、日本の産地の工場が抱えていた問題に等しい。多くのアパレル企業は、自らの姿勢や企画の方針を変えることなく、中国に持ち込んだに過ぎない。それでも、初期の頃は、中国の縫製工場も勉強だと思って採算が悪くても我慢してきた。

 「最初は小ロットだが、軌道に乗れば生産ロットも増える。だから今回だけはこの数量でやってくれ」「最初は様子を見ているので工賃も出せない。でも、慣れてきて品質に問題がなくなれば工賃も払える」等々の言い訳に対しても、素直な彼らは信じたことだろう。しかしそんな言い訳は方便であり、どんなに頑張っても生産ロットは増えないし、工賃も上らないという事実もようやく理解してきたのである。
 アパレル企業の担当者は、縫製仕様の違いや、関税の違いなど意に介さず、「この値段じゃなきゃ通らないんだよ。分かってるだろ」と、十年一日のごとく繰り返しているに過ぎない。全く勉強していないし、現在の状況を理解しようともしていない。工場はいくらでもあると思っているのだ。
 勿論、中国には縫製工場はいくらでもある。でも、日本仕様の面倒な仕事を、安く丁寧に縫製する工場は確実に減少している。その理由は、「面倒な仕事は結局儲からない」という事実を中国の工場は学んだからである。日本の縫製工場ならば、儲からない仕事でも義理と人情で引き受けてきた。しかし、中国の経営者には理不尽な理屈は通用しない。量がまとまって、簡単な仕事の方が確実に利益が上るのであり、そうでない仕事は断った方が良いのだ。
 近い将来、中国生産の工賃も二極分化が始まるだろう。単純な大量生産は工賃が上ることはないだろうが、細かく面倒な仕事の工賃は高騰するに違いない。面倒な商品は高い価格設定をしなければならないという当たり前の事実に直面する日は近いのである。
 中国市場への輸出振興も良いが、足元の中国生産の問題の方が優先順位は高いのではないか。以前から指摘している通り、商社への過度な依存はアパレル企業の存在意義を揺るがすことになる。商社に依存しない生産体制を構築し、次にその製品を中国国内でない半する方法も考えることが必要であり、その次の段階でアメリカ市場、ヨーロッパ市場等に進出することを考えるべきだろう。中国生産を上手く活用することこそ、日本のアパレル企業がグローバル企業になるための基盤である。その基盤ができれば、アジアから世界市場を狙えるのだ。
 アパレル企業は、自社の生産体制を自らの目で再確認すべし。そして、縫製工場との取組について膝を交えて話し合うべきである。商社段階では、腕のよい中国工場の取り合いが始まっている。場合によっては、短サイクル生産ばかりではなく、計画生産も必要になるだろう。本当のパートナーシップとは、わがままを聞いてもらうことではないのだ。◆

« 文化服装学院AD2年特別講義/2004年10月16日 | Main | 若者よ、どうしてそんなに良い子なの? »

「中国ビジネス」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30199/1631214

Listed below are links to weblogs that reference 中国生産の危機:

« 文化服装学院AD2年特別講義/2004年10月16日 | Main | 若者よ、どうしてそんなに良い子なの? »