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September 01, 2004

輸出、自立偏重は製造業空洞化を促進する

 現在、繊維ファッション業界の課題は、製造業者の「輸出振興」と「自立化」が大きな柱となっている。これらの課題には補助金が付いており、国が認定した課題というイメージが強い。産地や業界団体もそれらの課題に集中している。
 しかし、これらの課題にはいくつかの共通した特徴があり、かなりハイリスクな課題と言える。
 まず、輸出も自立もこれまで経験していない分野への挑戦である。経験していないのでノウハウもなく、人材もいない。「自社にどのような条件を整えれば、輸出が可能になるのか、あるいは自立したビジネスが可能になるか」という明確な条件が分からないのだ。「でも、国が補助金をつけるのだから取り組むべきなのだろう」ということで、事業を申請する。この段階でも何も分からない。認定されて補助金がついて、実際に事業を進める段になっていろいろなことが分かってくる。

 例えば、輸出をするには、商標登録やライセンスの取得が必要であること。輸出業務は商社に頼めばいい、と思っていたのだが、商社も細かい仕事には対応してくれない。あるいは、思ったほど商社が機能しない。国内で売れないから輸出と考えていたのだが、国内で売れないものは海外でも売れない。出張経費や物流経費などの負担が想像していたよりも大きく、採算が取れない。自社製品に自信を持っていたが、実際に海外市場には同様の商品がはるかに安い価格で出ていた・・・等々。
 自立事業も同様である。店舗を作れば自社の製品が安定して販売できると予想したが、一店舗で売れる数量は少なく、反面、商品のバリエーションが必要であり、店頭在庫の負担が大きい。商標登録すればブランドになると思ったが、ブランドを認知させるための宣伝広告のことを考えていなかった。自社製品の売上は季節的にバラツキがあり、年間を通じて店舗を運営することは不可能だった。小売店には小売店の厳しい競合が存在した。小売店運営の基本的な知識やノウハウがないために、売上が悪くてもどのように対応していいか分からない。製造業では想像できない速さで赤字が増えていく・・・等々。
 おそらく、どちらの課題も成功する確率は1割以下ではないだろうか。つまり、輸出と自立だけに経営を集中すれば、あっという間に9割は赤字を抱え、あるいは赤字を増やし、倒産か廃業に追い込まれるのである。
 繊維ファッション政策で常に欠如しているのは、企画力、営業力の強化である。情報システムを導入しても、展示会に出展しても、ショールームを設置しても、ファッションショーやデザインコンテストを開催しても、企画力も営業力も向上しない。そして、企画力と営業力がなければ、輸出も自立もできない。
 輸出、自立というテーマは言い換えれば、業態転換である。卸や小売りへの進出、輸出や輸入業務への進出である。それを実現するには、本社移転、既存事業の整理等も必要になるだろう。多くの中小企業は、不振の製造業を抱えながら、新規事業に投資するほど余裕はない。どちらを選ぶかの選択が迫られるのだ。しかし、補助金は、製造業の保護が目的であり、製造業から他の業態に転換した業者は対象にならない。補助金をもらうために、現業を保護し、その補助金で業態転換を支援するところに根本的な矛盾がある。自己矛盾を抱えながら、利益を上げられるほど、現在のビジネス環境は甘くないのである。◆

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