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May 29, 2004

自信がないあなたに

 若い人と話していると「自信がない」というフレーズがよく出てくる。考えてみれば自分も若い時は自信と呼べるものはなかったような気がする。あるのは思い込みだけ。自分はやれる、自分はすごいという何の根拠もない自惚れ。
 自信とは、周囲の評価によって形作られていく。地位は人を作ると言うが、部長になった途端に部長然とする人は多い。あれも自信なのだろう。でも、部長という自信はその組織を離れると崩壊してしまう。リストラされた部長はもう部長ではないのだ。小さな組織での評価やポジションよりも、大きな社会での評価やポジションが重要だ。
 私が自信を持てるようになったのは、業界誌に自分の意見を発表するようになったことが大きい。自分の発言が公になり、それを支持してくれる読者の存在が更に自己主張を強くしていくという循環が起きた。会社の上司の意見にも、堂々と反論するようになったし、同時にそのことが自分のサラリーマン人生の幕を引くことにもなった。

 その後は自信を持つ云々よりも、次第に責任のあるポジションに押し上げられていった。辛口のコメントを求められ、胃がチクチク痛むのを感じながら面前の人を批判する。最早、後戻りはできないし、良い人を演じることも難しい。敵と味方は半々で良いという覚悟を持たざるをえなくなったのだ。
 これが自信かどうかは分からない。でも、自信がなければ何も言えない。自分は正しいのだ、という信念。間違っていた時には謙虚に事実を受け入れる柔軟性。それを併せ持たないと、確実に自分のポジションは足元から瓦解していく。私の周囲にも自分の信念にこだわるあまり柔軟性を失い、社会の評価を失っていった人。あるいは、常に周囲の状況だけに反応し、一貫性のない独善的な意見ばかりを繰り返し、社会の評価を失っていった人がいた。それらの人を常に反面教師として、自分を客観的に評価する癖をつけることが大切だと思う。
 自信を持つには、まず一人でもいいから自分を理解してくれる人を探すことだ。その前提には自分が自分を信じなければいけない。自分で自分を信じない人を、どうして他人が信じてくれるだろうか。そしてまずあなたが相手を理解して上げること。そうすれば相手も自分を理解してくれるだろう。その一人の理解者の存在が自信につながる。
 次にすべきことは、その勇気を持って、自分の意見を公にすることだ。本を出版するのが理想だが、今ならWEBやメールマガジンという媒体でも十分である。その時に、私は自分の名前を堂々と出すことを勧めたい。プライバシーの問題を気にする人もいるだろうが、自分の名前を出して発言することでその発言に責任が生ずる。無責任なことは言えない。名前を伏せていると筆が滑る。言わなくていいことを言ったり、調子に乗ってしまうのだ。特に、他者を批判するときには名前を名乗るのが礼儀だと思うのだ。そうすれば批判された相手も反論することができる。自分の存在を明らかにしないで相手を批判することは中傷に他ならない。
 自信を持つには、やはり技術や知識が必要である。十分な能力がない時には自信が持てない。自信が持てない時にコツコツと積み上げていかないと、自信につながらない。一歩ずつ足元を見ながら坂を登ると、ある瞬間に視界が開けて、自分のいる位置が明らかになる。それがいつ来るのかは分からないが、必ずその時は来るのだ。◆

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Comments

こんばんは。佐藤記子です。
素直になることは大事ですよね。素直に生きたいと常に思っています。
自分の意見をきちんと伝え、人の意見もしっかりと受け止める。その繰り返しで人と人がお互い分かるようになるんだなと最近とても思います。
根津は、通っていた高校の最寄り駅だったので、よく散歩しました。最近でもたまに行っています。いいお店があったら教えてください。お願いします。

佐藤さん。元気?
分からない時に分からないと言えるのは、たいしたものなのです。エライ先生でも「僕、分からないな」と言いますよ。
突っ張ると言えなくなります。リラックスして緩んでいると大丈夫。
根津神社はよく行きます。近所だから。
そのうち、友達と根津に飲みにきてください。偶然、となりの席に座れるように努力しますので。

こんばんは。ビジネス専攻の佐藤記子です。
エッセイありがとうございました。
最近自分の意見が人前で言えるようになり、徐々に自信が持てるようになりました。
今までは自分の意見を否定されることが怖くて、なかなか言うことができなかったが、先生がおっしゃったように、間違っていたときには謙虚に事実を受け入れる柔軟性があれば大丈夫だと気づきました。
ありがとうございました。
PS:私もつつじ祭りに行ったことがあります。根津神社は高校生のころよく行きました。

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