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April 24, 2004

東華大学日本文化服装学院を訪問して考えたこと

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 東華大学とは元の上海紡織大学であり、以前から日本の文化服装学院と姉妹校の関係だった。そこから発展して昨年の9月に誕生したのが、東華大学日本文化服装学院である。東華大学は国立大学であり、全国統一試験の合格が入学条件になる。授業の半分は通常の大学の授業を行い、半分は日本語と文化服装学院の授業を行う。3年次には日本の文化服装学院に留学し、帰国してから卒業作品の製作を行い、中国で卒業する。
 現在の1年生は約30名だが、応募は300名を超えた。10倍の競争を勝ち抜いた精鋭が中国全土から集まっている。今年の9月に入学する第二期生は約70名。実績をあげることで定員増が認可されるようだ。男女比率は半々であり、将来の中国ファッションビジネスのリーダーがここから生まれる可能性も高い。

 東華大学の画期的なところは、国立大学でありながら、日本の専門学校と提携し、単位を認定する点である。日本でも大学間の単位交換や専門学校から大学への編入が認められるという話を聞くようになった。中国では既にそれ以上のことを実施している。東華大学はこれまでも優秀な人材を育成してきたが、世界的なデザイナーを輩出することはできなかった。一方の文化服装学院は世界的なデザイナーを何人も輩出している。それなら提携して、中国から世界的デザイナーを育てようという誠に合理的な発想から生まれたプロジェクトである。
 クリエイティブな能力は環境に大きく影響される。文化服装学院から多くのデザイナーが輩出したのは、新宿という繁華街に立地していることの意味も大きい。地方出身の学生の多くは、新宿という大都市に突然投げ込まれ、大きなカルチャーギャップを感じる。猥雑な歌舞伎町界隈に出入りし、必死で突っ張りながら、感性を磨くのだ。また、外部から招いた絵画やデザイン、美術史や美学、解剖学等の気鋭の講師陣がファッションの奥行きを教えていた。というよりも、全く異なるタイプの人間に接触することが学生を刺激するのである。もちろん、最大の刺激は友人同士のふれあいである。ファッションコンテストやファッションショーを通じて、様々な才能を目の当たりにして、自分の個性とは何かを模索していく。
 文化服装学院でも、特定の時期に集中して優秀なデザイナーが輩出されている。それは教授陣が若く意欲的で大量のエネルギーが学生に注ぎ込まれた時期ではないだろうか。現在のように教授や講師の高齢化が進むとエネルギーの放出量が少なくなる。過去の成功体験を聞かされても学生の感性は刺激されない。
 中国人の学生は今、上海という環境でエネルギーを受けている。学生の多くは日系企業への就職を希望しているが、それは新たなエネルギーを得たいがためである。
 彼らの中から世界的なデザイナーを育てるには、異なるカルチャーの中で大量のエネルギーを受け、カルチャーギャップに悩み、場合によってはアイデンティティの危機を感じるぐらいの刺激を用意しなければならない。その上で、ファッションを表現する技術や能力を開発するのである。また、かつてのデザイナーと現在のデザイナーとは役割が異なっている。服のデザインだけでなく、ビジネスモデルのデザイン、ビジネスシステムのデザインが求められている。日本と中国のビジネスを理解し、それらを自在に操るビジネスマインドを持ったデザイナーが期待されているのだ。◆

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「ファッション人材育成」カテゴリの記事

Comments

坂口さん。。khu & azumanです。金曜日から本日、日曜日まで関西巡検をしていました。khuの3日間での移動距離は、ざっと2000㌔です。

まずは、新ウェブサイトの誕生と、「坂口和尚BLOG」開設おめでとうございます。中国という広大なフィールドでのご活躍、心より祈念しております。

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